可愛すぎる彼女との尾道デート
お互い素がいちばん。
平日の授業を乗り越え、ついに凛華とのやり直しデートの日がやってきた。
電車を乗り継ぐこと一時間弱。
海と山と坂の街、尾道に到着した。
尾道には訪れたことはなく、今日のデートプランは全て凛華に任せていた。
行きたいと言ったのは私なのだから、当然計画を立てるのは私の仕事でしょ?—とのことだ。
行き先が把握できてないのは少し不安だけどそれ以上にわくわくしていた。
尾道駅について一番最初に抱いた印象は、意外ときれいだな、だった。
つい最近に改修工事が行われたらしかった。
ぼんやりそんなことを考えていると、繋がっていた手を引かれる。
「じゃあ行こっか」
快い感じでにこにこしている凛華をみて、今日来て正解だったなと思った。
まず尾道に来て、最初に訪れたのはラーメン屋だった。駅から徒歩三十分といった距離で少し遠かった。
凛華は一度前に訪れたことがあるラーメン屋だったらしく、本当にすごく美味しいから一度食べてほしい、と子供のような笑顔を見せながら歩いていた。
普段は体に気をつかって、カロリーの高いものを口にしない彼女も今日は別のようだ。
デートだからってオシャレなカフェとかで昼食を済ませるよりは、こっちの方が仲良さそうで良いかもって思っていた。
「デートでラーメン屋ってやっぱないよね?」
弱々しい顔つきで不安そうに尋ねてきた。
「おしゃれなところに行くより好きな人の好きなものが食べれるほうが良いから」
思わず右手が彼女の頭を撫でる。
なでりこ、なでりこ。
「えへへ、そうかなぁ」
隣り合わせで歩いているというのに、横から抱きついてきた。
嬉しそうに笑ってる彼女のほっぺをぷにぷにと触る。
彼女も頬を膨らませたり、手を頬に擦りつけたりとイチャイチャのスイッチが入った。
それからお店に着いたのは、予定のさらに三十分後だった。
お昼前の早い時間に到着したというのに、外では人が既に並んでいた。
休日だからということもあるのだろうけど、こんなにも人気な店だとは思わなかった。
ようやくお店に入れたけど、案内されたのはカウンター席だった。
四人座れるテーブル席も座ろうと思えば座れるのだけど、もう少し待たないといけないのと、二人で座るのは気が滅入ったから座らなかった。
お店の中は、思ったより大きくなく一度に座れるのは20人程度のようだ。
様々なメニューがあり、どれにしようか散々悩んだ挙句、尾道に来て尾道ラーメン食べないとかありえないという隣の天使さんからの助言に従うことにした。
運ばれてきたラーメンはとても美味しかった。これ以上のラーメンは食べたことがないって思うほどに。ただ食べてる最中に隣の天使さんに手を握られたりしたから、食べることにずっと集中はできなかった。
しっかりと汁まで飲み干し、ラーメン屋を後にした。
また来た道を戻るのだけど、なにせ距離が遠い。おんぶしてー、という可愛いお願いがあったのだけどこれからの移動距離を考えればおいそれと許可は出来なかった。俺にもっと体力があれば……。
断られたことは若干不満そうで、不服そうに俺を見上げていた。
当然こんな可愛い天使に何もしないってことはなく、頭をなでりこしておいた。
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