dating again
彼女が可愛すぎる
べったり彼女。
散々泣いた彼女の目は赤く腫れ上がっていた。
このまま学校に行って、他の生徒に勘繰られるのも嫌だったから、持っていたハンカチを水道水で濡らして、彼女の目にあててやる。
もたもたしていたら学校に間に合わなくなってくるので、目にハンカチをあてたまま彼女の手をひいて、歩き慣れた歩道を歩いた。
手を繋いで登校するのは初めてで、周りの生徒からの視線が痛い。人の目が付くところで(生徒たちが大勢いる場所)手を繋ぐようなバカップルは、この学校にはどうやら存在しないようで、僕たちは色々と目立っていた。(もっとも男女二人組で歩いているのはみかけるのだけど。)
一度手の力を緩めて離そうとしたのだけど、離さないと言わんばかりに強く握られてしまった。
「ようやく手を繋いで登校できたのに、離すわけないじゃん」
どうやら彼女は前々からこうして登校したかったらしい。そんな彼女の可愛い願いを断れるはずもなく、気づけば絡めてなかった指も恋人繋ぎへと変わっていた。
手を繋いで教室に入った時は、軽い騒ぎが起きた。女子の好奇の視線、男子の憎悪に溢れたドロドロの視線。
もちろんその後、男女共に問い詰められ朝から体力を大量に消費した。
「今日、一輝の家行きたい」
帰りのSHRが終わり、帰り支度をしている最中に凛華は横からひょこっと顔を出した。
先に帰りの準備を終えていたらしい。
「え、今から?」
唐突な彼女のお願いに、少し困惑した。
「やっぱり、駄目だよね」
俺の反応をネガティブにとらえたらしい。
「来てもいいんだけど、家族がいるけど大丈夫?」
「お義母さんと義妹さんだよね。大丈夫だよ。……挨拶しておきたいし。」
「え、なんて?」
「な、なんでもないよ!」
最後の方は少し聞き取れなかった。
まぁ一度も誘ったことはなかったし、彼女が来たいというのならしょうがない。家族に知られるのは恥ずかしいけど……。
「じゃあ帰ろうか」
「うん!」
ちなみに、帰り道は手繋ぎから、腕組みにレベルアップしていた。
「ただいまー」
「お、お邪魔します」
電車に揺られること三十分、腕を組んで歩くこと十分。ついに彼女を連れて我が家に到着した。
玄関には母の靴はもちろんのこと妹の靴も置いてあった。
「おかえりー、おにいってだれ!?」
中学生の妹こと葵梨香は、後ろにいるとんでもなく綺麗で可愛い自慢の彼女を見て、驚いていた。
「あ、えっと。初めまして。一輝くんの彼女の…」
「おかあさん!大変!おにいが女連れてきた!!」
妹は慌てて、台所にいる母親に伝えに行った。
そう大きくない家だからわざわざ行かなくてもその馬鹿みたいに大きな声で十分伝わる。
奥の方からとだばたと聞こえる。妹は母と共に小走りで戻ってきた。
「あらやだ、なにこの子」
「えっと、一輝くんの彼女の速水 凛華です。初めましてお義母さん」
「こちらこそ初めまして。一輝の母です。まさか一輝がこんな可愛い子連れてくるなんて思っても見なかったわ。…どうやって落としたのよ一輝」
「え、そんな。可愛いなんて」
「すっごく可愛いわよ!ねぇ葵梨香」
「うん、凛華姉ちゃんすっごく綺麗」
「え、えぇ?」
我が家のマイペース女ダブルタッグに、押され気味?な凛華だった。
というか僕も聞きたいこといっぱいあるんですけどね。お義母さんとかお義母さんとか。
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