第3話「お偉いさんが来た!?」

チュンチュン

朝だ!

ナオは一瞬で覚醒した!

これまでのが夢かもしれないと思ったからだ


しかし…


ナオ「知らない天井だ…」


現実である


とりあえず顔を洗いに宿を少し散策するハメになった


宿は二階建てで二階には部屋しかなかった


トイレも1階のぼっとん便所だけである


生活魔法と言う物があるためここら辺の衛生管理も悪くはなさそうだが匂いがあるのは悲しい


1階は宿のカウンターと食堂と奥にトイレ

後は働いている人達の部屋(立ち入り禁止!)



カウンターのおねえさんに顔を洗いたいと伝えたら外の井戸か部屋に持ってきてもらうくらいであると伝えられた

生活魔法のせいで井戸なのかー


とりあえずナオは外の井戸で顔を洗う事にした


井戸には申し訳程度に桶にロープが付いていた

使ってみようとした所中々の重労働


ポンプくらいあっても良さそうなのになぁ

馬車があるから滑車付きの撥ねつるべはあってもおかしくないけどなぁ


昨日の話で聞いていた感じだと迷い人と言う異世界人はいるのならそう言う知識を持った人達がいてもおかしくないと思ったのだ


これは今日、役所で色々聞こう


クリーンと水で顔を洗ったナオは桶ロープを井戸にポイして宿に戻った


カウンターで朝飯もあるよと言われ食堂で待機する


チラホラ人がいるがまばらである


ナオは考える

宿でこれならここら辺は中々発展していないなと


これからどうなるのかどうすればいいのか

自分の知識を出して発展させていいのか

車のガソリンはあるのか

魔物がいるのか

等々


お姉さん「お待たせしましたー」


ご飯が来た!

テンションが少し上がりニコニコ

昨日の晩御飯美味しかったもんな


今日もパンとスープとサラダと肉である


しかし今日のパンは黒パンではなく普通に噛み切れるくらいのパンだった


小麦の味がするくらいのパンで全粉乳パンだな

スープはキノコで出汁を取ってあることに気づいた

野菜ゴロゴロのキノコ塩スープである

具材はジャガイモ、にんじん、玉ねぎだな

美味しかった


サラダはドレッシングなんてものはなかった

塩オンリーである、が

野菜自体が美味い!

キャベツとトマト、細切りの玉ねぎだ

キャベツはみずみずしくシャキシャキ!

トマトは真っ赤でジューシー

玉ねぎは辛くなくいいアクセントである

新玉ねぎかな


最後に肉

薄切り肉の塩炒めって所だな、肉の種類的にはポークな感じ

美味い!

肉美味い!

ご飯欲しい!


くぅぅ、残念


完食しました


よーく見渡すと宿には大きなのっぽの古時計があっておじいさんの時計っぽかった

時計あるのね

ただしチクタクはしてないな

あれ動力なんだろな?


カウンターで宿泊時間を聞いて朝の10時にはチェックアウトとの事


役所は9時にはやってると話を聞けたので現在の時刻は9時前であったので自室に戻り忘れ物がないかチェックしてからチェックアウトした


役所までの道のりはカウンターで再確認してあるので一人で大丈夫なのだが問題は通行人がチラチラ見てくる


街の中では武器を持ってる人が少ないな

昨日の5人組はみな腰に剣やナイフを所持してたのが割と印象深かったからだ

街中で物騒な事はそうそう無さそうなのか

兵士の巡回も見受けられるしな



さて絡まれることも無く役所に到着


カウンターでしばらくお待ちくださいと言われ、確認を取ってもらって個室での話があるので1時間ほど時間を下さいとの事


わかりましたと伝えて役所で待ってていいか尋ねてOKを貰えたので役所で人間ウォッチングをする


まず紙がある、ペンは羽根ペンでインクもあるみたい


次に文字の確認だが何故か俺は文字は読めるみたいだ


役所自体は20-30人ほど働いている


そう言えば異世界テンプレのエルフやドワーフに獣人は見かけないなぁ


役所自体は1階のみで広いフロアと個室が何個かチラホラ


トイレは宿と同じだった


水飲み場があるらしくここには井戸から近いそうだ


そんなこんなで今日は2階の個室に通された


しばらくお待ちくださいと言われて待つこと5分



コンコン


ガチャっと開けられた先には20代のスーツ姿のお姉さんと側近である初老の男1人が入ってきた


「失礼する」


ナオ「あ、はい」


「私はここの辺境の領主でミルド・クーンと言う。宜しくナオ殿」


ナオ「は、はい!自分はナオと申します、宜しく御願いします領主様」


ミルド「あぁ、多少無礼な受け答えは気にしないので楽にしてくれ。それでは宜しく頼む」


ナオ「わかりました」


ミルド「君が迷い人と言う事が昨日私に伝えられた、この辺境の地では土地はあっても中々貧しくてね。で、迷い人の観点からこの地の状況をどうみるかね?」


ナオ「ええ、それなら少し私の元いた世界のお話を挟みますが、自分のいた世界は暦をつけ始めて2000年程なのです、大体1000年程前くらいの技術かと思われます。ただし魔法がありませんのでこちらの世界の事をある程度調べないと状況がわかりません」


ミルド「魔法が無い世界か…技術は大分前なのだな?なら貴方なら先の技術を持ってすればこの街は発展できそうかね?」


ナオ「領主様、知識だけで発展は出来ません。物を作るには人がいりますし、自分の世界での知識を上手く使えなければ知識も無用の産物でしかありません。私はこちらの、この世界の知識が全くないので回答するのは不可能です」


ミルド「ふむ、こちらの事は私から説明したいのだが如何せん時間が無いのでな。今日も午前中少しの時間を作り来たのだ。それならば是非この街が発展出来るよう手伝ってくれないか?私は辺境伯であるが故にこの街の人達を幸せにする義務がある。税を取って贅沢してるだけのダメ貴族じゃこの街ではやっていけないからな」


ナオ「⋯わかりました。私としてはこの街の事で出来る事が無いか模索してみます、すいませんが少しの間、時間を頂ければ幸いです」


ミルド「ふむ、なるほどな…よし、少しでも話のすり合わせておこう。役所の役員を交えて話をしようか、クラークすまないが役所長を呼んで来てくれないか?」


クラーク「ハッ!かしこまりました」


ミルド「ちなみにナオ殿、街の発展は何が必要だと思うかね?」


ナオ「そうですね⋯建築、娯楽、食、色々ありますが心のゆとりでしょうか」


ミルド「ふむふむ、なるほど。貴方は私から見て聡明な感じが見受けられる。前の世界ではどう言う職業だったんだね?」


ナオ「私は…工場と言われる場所で食品を作る加工職の役員をしておりました。人の上に立つ仕事だったので技術や知識には偏りがあるかもしれません…」


ミルド「そうか、それで工場とは?」


ナオ「え?工場ですか?」


ミルド「うん?」


ナオ「!!!( ゜д゜)ハッ!!!!失礼しました。工場とは人が集まり一つのものを作る場所です。私の工場では一日の生産数が約1万から2万ほどのものを作る小さい工場でした。従業員は100名程です」


ミルド「それで小さい工場なんだな…私の領地には5000人ほどの人がいるかいないかなんだが…」


ナオ「工場と言われる場所では機械を使って食品を刻む、すり潰す、混ぜる、形を纏める、焼くと言う感じの仕事を朝から晩までやっていました、私自身は一日8時間労働です」


ミルド「それで1万も出来るのか…作る物の大きさはどのくらいだったのだね?」


ナオ「大きさは手のひらサイズでしたから大きくはありません」


ミルド「ふむふむ参考になった。ありがとう」


ナオ「いえ、私自身が手を加えればの話なのですがこの街というか宿や役所を見た感じだけでも上下水道の自動化は出来そうです。簡単なのから少し手を加える物もあるでしょう、食生活は良さそうな感じでしたがそこはまだわかりません。そちらはまた後日になるかもしれません」


ミルド「そうか、出来ればその所も知恵を貸して欲しいな」



コンコン



クラーク「役所長をお連れしました」


役所長「失礼します」


ミルド「役所長、お忙しい所すまないな。私達のすり合わせの為に呼んだのだがその前に彼を街の為に留まって貰いどのような事が出来るかを形にして貰いたいと思う。何処かに空いた家があればと思ったのだが手配して頂けるか?」


役所長「空いた家ですか、わかりました。どのような希望はあるでしょうか?」


ミルド「ナオ殿、希望があるかね?ある程度の希望は聞こう」


ナオ「でしたら移動の為の馬小屋付きの家がありますか?もしくは庭が大きければ何とか⋯」


役所長「ふむ、でしたら商人ギルドに売りに出されている一軒家があったと思いますぞ。そこを領主権限で買い上げてはいかがでしょう?」


ミルド「あぁ⋯あれか⋯よしすまないが手続きを頼む。あぁそれと今日はナオ殿は昨日と同じ宿に泊まると良い。流石に宿や食べ物が無いと安心出来ぬだろう、私の懐からではあるが支度金で金貨20枚ほど出しておこう。生活する分には1ヶ月は持つ金額だ、何かあるなら領主館に来るといい」


役所長「わかりました、では家の件は今日の夕方…大体17時前後でもう一度役所に来てくだされ。ナオ殿」


ナオ「了解しました。宜しく御願いします領主様、役所長様」


ミルド「ふふふ、こちらこそ宜しく頼むぞナオ殿」


役所長「それでは私はこちらで失礼させて頂きます」


ナオ「はい、お手数をおかけいたしますが宜しくお願いします」



家が貰えました!


まぁ街の発展だけど水1つにしても滑車から手押しポンプだけでも全然違うだろうしなぁ

魔法のせいでそこら辺いらないから技術の発展が遅いのかもな


そんな事を考えるナオだった










後書き

ミルド「ふふふ、迷い人が確保出来た」

クラーク( ˙꒳˙ ).。oO「俺の給料くらいのお金がお小遣い感覚で出たな」

ミルド「クラーク何か言いたそうだな?」

クラーク「いえいえ」遠い目

ミルド「あぁそう何も言わないのねー、クラークの明日からのおやつはしばらく止めちゃおうかしら」

クラーク「ずるいです!ミルド様ご勘弁を」

ミルド「おやつは正義、まぁ辺境の楽しみ少ないものね…」

クラーク「色々な意味でナオ殿には期待ですね」

ミルド「私自身が動くのにも領主のお仕事次第ですからねぇ、多くはないけどやらないといけないのも事実だし期待しましょう」

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