第15話 鬼

 結果から言うと。

 大変、残念なことに。

 封印が解けてしまいました。


 まあ何があったか簡単に振り返るとだ。

 魔獣の軍勢から何とか逃げ切り、封印の洞窟を見つけ、一番奥にある封印の札の場所まで来たまでは順調だった。

 『アイズ・オブ・ヘブン』で洞窟内を見渡し、封印の札まではそこそこ歩かないといけないほどの距離があると確認した僕は、もう移動が面倒なのでアティナとカオリンには入り口辺りで待っててもらい一人でそこまで行くことにしたのだ。

 洞窟内には魔獣の影はなかったし、張り替えるだけなら一人でも構わないし。

 なにより僕一人なら遠慮なく『オーバー・ザ・ワールド』で転移出来るからな。

 かなり疲労しているけど、洞窟内を長々と歩くよりはそっちの方がまだマシだ。

 その後は狙い通り、封印の札が貼ってある石碑の前まで行くのはほぼ一瞬で時間はかからなかった。

 そこで思い出したことがあって、村長さんに古い方の封印の札は剥がして持って帰ってほしいと頼まれていたんだ。

 というわけで、べりっと札を剥がしたんだ。

 

 

 

 石碑にはヒビがはいり、そこから真っ黒い煙がもうもうと放出している。

 すぐに新しい札を貼ったが効果は見られない。

 どうやら完全に手遅れのようだ。

 なんてこったい。

 迂闊にも程がある。

 やってしまった。

 取り返しが付かない、圧倒的失態だ。

 くそ、剥がしてすぐ解けるような貧弱な封印が悪いんだ。


 しかしまだ慌てるような状況ではあらず。

 幸運にも此処には僕しかいなく、誰も見ていない。

 これが意味するところはもはや言うまでもないだろう。


 ひとまず僕は『オーバー・ザ・ワールド』の能力で洞窟の入り口まで転移し、アティナとカオリンには急いで戻ってきた様に見せかける。

 

「あ、クズゴミが戻ってきた。早かったわね、もう終わったの?」


「新しい札を貼る前に古い札を剥がさないかと心配でしたが、クズゴミなら大丈夫ですよね?」


 岩に腰掛けていた二人が呑気に言ってくる。

 カオリンは冗談混じりで言ってるのだと思うが、その言葉はもっと早く聞きたかった。

 

「それがどうやら遅かったようだ。僕が行った時には既に封印が解けていた。封印の札が貼ってあった石碑から謎の黒い煙が出ている状態で、一応新しい札は貼ってきたけど 全然効いてないみたいだ。とりあえず僕たちでは手がつけられないし、一度村に戻ろう」


 僕は何の罪悪感もなく、誰も見てないことをいいことに都合のいいように改ざんした虚偽の報告を伝える。

 充分にその可能性もあり得たし、無理のない内容だ。

 これで僕のヘマが発覚して咎められることは皆無。

 ただ少々本来なら気にしなくても良かった面倒ごとが生まれてしまったが、まあそれはそれで。

 村長さんや村の人たちには申し訳ないが魔王が元凶ということで、恨むなら魔王の奴を恨んでもらおう。


「黒い煙……? クズゴミ、その黒い煙ってもしかしてあれのことですか……?」

 

「え」


 カオリンの視線が僕の背後の更に遠くへ向いているのを見て、恐る恐る後ろを振り返ってみる。

 恐ろしい光景だった。

 黒い煙がまるで意思を持った生き物のようにうねりながら洞窟の外を目指して猛スピードで移動してきた……!

 

「ヒ、ヒィィィ……! なんだありゃあ、怖すぎるだろ。やばいって、早く逃げよう!」


「落ち着きなさいよクズゴミ。ただの煙を相手になにを怯える必要があるの。それよりも封印されたのはあの煙ってこと? どんな魔獣だの魔人かと思っていたけれど、拍子抜けね」


 得体の知れない煙に動じずにいるアティナはとっても頼もしく感じる。

 僕はあの煙よりも何をしでかすか分からないアティナの方が怖いが。


 それでも一応注意を向けているアティナと同じく警戒しているカオリン、いつでも逃走出来るように身構えている僕を通り過ぎて黒い煙は外へ出る。

 それを追いかけて外に出る僕たち。

 このまま空中に溶けて無くなっていくのかと思ったが全く違った。

 黒い煙はそのまま留まり、次第に人の形に変わり始めていく。

 そして煙が変化してその場に姿を現したのは、隆々とした筋肉の肉体に身長は二メートル以上ある巨体だった。

 その手には何かの骨で作られたような長剣が握られており、その刃は鋭くはなさそうだが岩石でも叩き壊せそうなほど分厚い。

 そしてその長剣よりも目を引いたのが形相だった。

 赤く鋭い眼差しの眼球が四つに、ナイフのように尖った八重歯、一際目立つのは頭部から生えている角だ。


 見た目だけで理解した奴の危険性は、僕にいち早く逃げる算段を進めさせていた。

 心のどこかでアティナの戦闘力なら大抵の魔獣は何とかなるだろ、などという甘い考えを持っていたがとっくにどこかへ消えて去ってしまったようだ。

 こりゃ、敵だと認識される前にズラかるのが懸命だナ。

 でも待てよ。

 まだアイツが悪い奴と決まったわけじゃ。


「ヒャアァァァァァァァァーーーーッッッ! ヤッタァァァァ! 外に出られたぁぁ! 早速、連中を皆殺しだぁぁぁーーっ! ブハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 悪そうな奴だった。

 ハイテンションで、皆殺しだとかのたうちまわってるもん。

 封印されるような奴なんだから、そりゃ悪い奴に決まってるか。

 とりあえずまだこっちに意識が向いてないみたいだし、こっそりとこの場を離れよう。

 

 そう思い、アティナとカオリンに逃げようのジェスチャーに非常口の絵の人のポーズをしたのだが、何やってんだコイツ、みたいな目で見られた挙句「馬鹿なの?」って罵倒されたからやめた。

 普通に耳打ちして伝えることにした刹那。


「おう! 人間の坊主! 忌々しい封印の札を剥がしてくれて感謝するぞ! お前のお陰であの石碑からようやく脱出出来たってもんだっ! 礼に、殺すのは最後にしてやる! 今のうちにに少しでも生を謳歌するんだな! ガハハ!」


 ちょ、余計なことは言わないで頂けませんかね?

 しかも殺害予告までされてしまう始末。

 この分ではそう易々とは逃して貰えなさそうだ。

 くそっ、なんで僕がいきなり殺されなくちゃいけないんだ。

 誰か助けてくれ。


「クズゴミ、あの鬼が札を剥がしたなどと言っていますが、それは一体どういう……?」


 僕は奴に聞こえないように小さい声で答える。

 

「さあ? 僕にもサッパリだ。多分、封印から目覚めたばかりで脳みそがボケてるから記憶がおかしいことになってるんだろ。あの気違い染みた言動がそのいい証拠だ」


 危ない危ない。

 あの筋肉ダルマが余計なことを言った所為で危うくカオリンにバレそうなところだったが、僕の華麗な話術により上手く誤魔化した。

 誤魔化せたのかどうかは知らないが。

 しかし一つ気になったのが。


「ところでアイツって、何。鬼って奴なの?」


 カオリンが知っているようだったので聞いてみた。


「如何にも、あの頭に有る角が鬼である証明なのです。それと気を付けて下さい。獰猛な性格に加え、凄まじ怪力を有しています。捕まったら簡単に引きちぎられますよ?」

 

 脅すように注意がけをしてくるカオリン。

 あのユニコーンみたいに角が生えてる奴は鬼らしい。

 噂では聞いてたけど実物は初めて見た。

 その絶望の情報がなくても逃げる気満々ではあったが、更に逃げたさに拍車がかかる。

 正直、すぐにでも『オーバー・ザ・ワールド』を使いたい。

 もういっそのこと、後はアティナとカオリンに全てを託して転移で帰ってしまおうか。

 でもあの鬼、言葉が通じるならなんとか話し合えないかな?

 話し合いは無理にしても、言葉巧みに騙して逃げる隙を作るくらいは出来るかもしれない。

 逃げる前に試してみるか。

 しかし僕が話しかけようと思った直後、アティナが先にずいっと前に出た。


「ちょっとそこの鬼とかいう、ダサい角生やした人。クズゴミを最後に殺すのは構わないけど、それってつまりその前に私を殺すって意味かしら。面白いじゃない、返り討ちにしてあげ、むぐっ」

 

「いやー、うちの者がとんだご無礼を。今のは、ほんのジョークでして! ははは、あとご無礼ついでに少しお待ちいただけます?」


「……ふん! まあいい、遺言を考える時間くらいくれてやる! しかし大した小娘よな。百年以上生きているが、儂にそんな生意気な口を利いてきたのはお前が初めてだ」


 僕は要らん挑発をするアティナの口を塞ぎ、カオリンのところまで連れてきた。

 集まって作戦会議だ。

 口から手を離すと、アティナすぐに文句を言ってきた。


「ちょっと! 何するのよ! いくら獰猛で怪力な相手だからってあんなのに私が遅れを取るわけないでしょ!」


「バッカ。あんなの相手に正面から戦うつもりか。聞いたことある話じゃ、鬼ってのはドラゴン並みに強いらしいぞ。命がいくつあっても足りゃしねぇ。幸いあの鬼、アホそうだから騙して隙をついて逃げるのが一番だ」


「しかしクズゴミ。それでは最悪、対象を変えた鬼にあの村が襲われる危険があります。あの鬼がさっき言ってた連中というのは、もしかして村の人たちのことではないでしょうか」


 言われてみれば確かに。

 その可能性もある。

 封印を解いてしまった身としては、そうなってしまうと非常に後味が悪い。

 カオリンもアティナと同じく、戦ってこの場で鬼を始末したいのだろう。


「分かった、じゃあこうしよう。アイツを騙してまずは逃げたふりをする。そして僕たちが居なくなったと油断したところを背後から隙をついてぶっ殺す。よし、決まり」


「異議ありです! 不意打ちなんて、そんな武士道精神にかけた案には同意出来ません! そのような手段を取らなくても、私なら尋常に勝負しても倒す自信があります!」


 急に食い下がってきたな。

 でもそんなことやってられるか。


「危ないから異議は却下だ。倒せる確率が高い選択肢をとったほうがいいに決まってる。不意打ちに失敗した時は二人でやってくれ」


「私はどっちでもいいのだけど」


 僕の言い分に納得いかなそうに唸ってるカオリンはとりあえず放置して、アティナに汚れ役を買ってもらうことにしよう。

 あとは適当な事を言って鬼を騙眩かすだけだ。


「おい貴様ら! まだか! 一体どれだけ長い遺言考えているんだ!」


 ちっ、堪え性のないやろうだ。

 もう少し待てっての。


「すいませーん、知り合いが多くて! あと、三時間ほどー!」


「!? この戯けがっ! 何が三時間だっ! そんなに待てるか! もういい待つのはここまでだ。今から殺してやるから覚悟しろ!」


 そう叫ぶと鬼は長剣を振りかぶり、斬りかかってきた。

 なんてこったい、早速不意打ち大作戦が瓦解した。

 流石に三時間はふざけすぎたか。

 ワンチャンあると思ったんだがな。

 せめて一時間くらいにすればよかった。

 くそっ、もはや戦闘は避けられないか……!


「上等じゃない! こっちは最初からそのつもりだったしね! 覚悟するのはそっちの方よ!」


 頑張れアティナ、君ならやれる。

 

 他力本願の僕はすでに保身の為に少し離れた岩陰に避難して、観戦モードだ。

 囮になろうとすら思わない。

 比べ、アティナとカオリンはそれぞれ武器を構えて、勇敢にも鬼と対峙する。

 

 先に仕掛けたのは鬼の方だ。

 狙いはアティナ。

 さっきダサいとか言われたことを根に持ってるのだろうか。

 その巨体からは予想出来ないほどの俊敏な動きでアティナとの間合いを瞬時に詰め、頭蓋骨を両断せしめる骨の長剣を振り下ろす……!

 直撃すれば鋼をも叩き割るほどのそれは原始的かつシンプル故に強力な一撃ではあるが、アティナに当てるには単調すぎた。

 いとも簡単に見切り、その一撃をバックステップで回避したアティナは、速攻で魔法による反撃に転じる……!


「『シルバースプレット』ッ!」


 グングニルを通して放たれた超低温の極寒の風は、一瞬にして鬼を氷結させる、威力があったがまともに喰らうほど、鬼とて緩い相手ではなかった。

 鬼は馬鹿力に物を言わせ長剣を風に向かって連続で斬り回し、発生させた風圧をもって冷気の威力を分散させることで応じる。

 結果、『シルバースプレット』の風は鬼の身体全体を凍結させるには至らなかったが……!


「はぁああっ! 小賢しい! その程度でやられてやる訳が……むぅ!?」


 余裕の表情を保っていた鬼が眉をしかめる。

 自分の足元に物の見事に氷が張られ、足を地面に繋ぎ止められたからだ。

 だが当然、その程度の拘束は次の瞬間には力づくで脱出されるのは明白。

 しかしアティナの狙いは、その一瞬でも鬼の動きを封じることだった。

 本命の二撃目を打ち込む為に……!


「『グングニル』……!」

 

 アティナはグングニルを投擲させる体制をとった。

 グングニルに集中した、肉眼でもはっきり見えるほどの魔力は血のように赤い色に加え、液体のように濡れ腕を滴り落ちる。

 僅かとはいえ、撃つまでに溜めがある故に確実に直撃させる為に素早い相手には動きを封じる布石が必要となるのだが、それさえ叶えばあとは仕留めるだけ……!

 なにせ、当てればどんな魔獣でも一撃で屠ってきただけの威力がある技だ。


「『ブラッド・クロス』ーーッ!」


 破壊の渦と化して投擲されたグングニルは威力は、相変わらず眼を見張るものがあった。

 鬼の体制とあの距離から言って回避は不可能、剣を盾にした防御も、あの威力の前では無意味。

 勝った……!


 アティナも、観戦していた僕もそう確信する。

 なんだ、思ったより大したことなかったな。

 が、しかし……!


「ヌアアアッ! あまり舐めるなよ! なんぞっ、たかが、これしきのことォォォオオオッ!!」


 怒号を発しながら、鬼は長剣を両手で構え丁度ツルハシを振り落とす時のような体制をとった。

 思わず、唖然とさせられる。

 鬼の奴は避けられない、防ぎきれないと判断すると迎撃に打って出たのだ!

 

「ぬんっ!!」


 高速で襲い来るはずのグングニルに正確に狙いを付け、桁外れの膂力による爆弾の爆発の如き破壊力を宿した渾身の一発を叩きつけた……!

 刹那、爆発の如きではなく、文字通り爆発が引き起こった……!

 轟音と共に発生した衝撃波と暴風は当たりの景色を一変させるには充分なほどの威力をほこっていた。

 僕は寸前で『ベネフィット・スターズ』を発動し難を逃れられたが、アティナとカオリンがどうなったかが舞い上がった砂塵の所為で、一瞬状況が掴めなくなってしまう。

 もちろん、鬼がどうなったかもだ。

 直ぐに『アイズ・オブ・ヘブン』で二人の安否を確認すると、カオリンは物陰に避難していて、アティナはギリギリで『アイギス』の発動が間に合ったみたいで、怪我はないようだ。

 そのことに安心した僕だが、一つマズイことに気づく。


 鬼がいなくなった。


 足の氷の枷は解いて動けるようになったのだろうが、不思議なことに『アイズ・オブ・ヘブン』で姿を確認することが出来ない。

 この世に存在すれば何処に隠れようと視認出来るのだが姿は見えずに、恐らくそこにいるという空間だけが映し出されている。

 見えるのは砂煙だけだ。

 あと考えられるとすれば爆発で木っ端微塵に吹き飛んだとかか。

 でも事切れた生き物は『アイズ・オブ・ヘブン』の能力には引っかからないはず。

 突然、ステルス能力にでも覚醒したのかな。

 いずれにしても、敵の位置を確認出来ないのはかなりやばい……!


 焦燥感に煽られながらどうすればいいか焦っていると、次第に砂塵がはれてくる。

 そして捉えたのは、再び黒い煙となっている鬼の姿だ。

 砂塵に紛れていたから気づかなかった。

 そしてそれはアティナも同様……!


「アティナ! 後ろだ! 奴は煙になって移動しているぞっ!」


「っ!?」


 一瞬でアティナの背後を取った鬼。

 僕の声に『アイギス』を展開しながらアティナは振り返るが、鬼が煙から肉体を作り長剣を振り落としたのはそれとほぼ同時だった……!

 アティナも自分の攻撃を凌いで、反撃してくるとは思っていなかったのだろう。

 予想外の展開に当惑し身体が急に動かない!


「もらったぞっ! 小娘ぇ!」


 鬼は嬉々として仕留めたと思い、確信を持って力を振るう……!


 ーーだが、次の刹那。

 アティナと鬼の間に突風が走った。

 骨の長剣は、二本の鋼の小剣によって受け止められ、その剣閃を止める。

 

 突風を惹き起こしたのはカオリンだった。

 驚嘆することに、アティナの、曲がりなりにも神の高火力の一撃を迎撃するほどの力の鬼の一振りをその華奢な身体でもってカオリンは受け止めたのだ。

 しかも鬼の膂力に押されることなく剣を競り合わせている。

 

 ……え、カオリンって実はもしかして滅茶苦茶強いんじゃ。

 会った時から只者ではないとは思ってたところだったがな。


 自分の全力の剣撃を止められ激しく動揺したのか、鬼は加えて追撃することなく一旦距離をとった。

 あるいはそうさせるだけ、カオリンの気迫に押されたのかもしれない。


「……アティナ、ここからは私に任せてください。あれだけの魔法を何度も使用すれば、魔力の消耗も相当でしょう」


 鬼から目線は切らず、気遣いの言葉をかけるカオリンにアティナは一瞬、迷ったような素振りを見せたが直ぐに答えた。


「……ええ、まあね……分かったわ。それじゃあ頼んだわよ、カオリン!」


 そう言ってカオリンの背中をパンっと叩き、バトンタッチの代わりとすると、アティナは素直に撤退した。

 意外だ。

 負けず嫌いなアティナがやられっぱなしで交代するなんて。

 それだけカオリンを信用しているということなのか。


 アティナと違ってカオリン一人に任せることに不安を感じる僕だが、その気持ちとは裏腹にカオリンは鬼に向かい再び剣を構える。


「……ふん。なるほど。あの紫髪といい貴様といい、ただの小娘共ではないな。儂の封印を解いたのもそれだけの実力があるのであれば愚行でないと頷ける。……フハハハ、そうさ……! これくらいやってもらわにゃ折角出てきたのに面白くない。久方ぶりの死闘に、儂の魂は昂ぶっているぞ……!」


「……勝手に賛辞として頂戴します。そしてその危険思考以前に、鬼の貴方をここで見逃がす訳にはいきません。退治させて頂きます……!」


 なんだろ?

 カオリンは鬼に恨みでもあるのだろうか。

 やたら強い討伐意識を持っている印象を受けるが……。

 それより、あのパワーとスピードの鬼を相手にカオリンがどう立ち回るのだろう。


 本当に大丈夫かな。

 

 僕は固唾を飲んで見守る中。

 そんな心配をよそに、カオリンと鬼の一騎打ちが幕をあげたのだった。

 


 ……ちなみにさっきカオリンがアティナを攻撃から守ったけど、『アイギス』は後ろ側にも展開してるから正直余計なことだったよ、というのは言わない方がいいのかな。

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