第四章 動き出す歯車⑤
「ちょっと外に来てもらえるかな」
ローリエに連れられて三国達は外に出た.ローリエは近くにあった石を積み,そこから離れて三国達の元に戻ってきた.
「ちょっとみてな」
ローリエが親指と人差し指を直角に開いて,人差し指を積み上げた石の方に向ける.
「バンッ」
ローリエがそういうと積み上げた石は粉々に砕けた.
「これは一体......」
「ローリエや私も異世界から来たと言っただろう.だから我々もある程度の超能力は使えるのさ.ローリエは空気銃を打つことができる」
「別にバンッなんて言わなくても打てるんだぜ,こういう風に」
再びローリエが砕けた石の方に向かって人差し指を指すとまた,石は粉々に砕けた.
「要するに俺はアキラさんを救出した後の戦闘員ってわけ.ベニバナも戦闘員がいるからな」
「ローリエを空に運んでもらう.そうすると空を飛んでるものの姿は見えないがローリエの姿は普通の人間には見えるわけだ.この作戦は,アキラさんが衰弱しきっていて空を飛べない,つまり透明になれない時に使う.要するにローリエはおとりだ」
「アキラさんが空を飛べたらどうするんですか」
三国が言った.
「その時はローリエは一人で,ベニバナの残党と戦ってもらう.アキラさんと三人で空を飛んで逃げるんだ.とりあえずこの家に逃げてもらう.私と五右衛門はすぐに追いつく.もし追いつけない場合は,ミトさんのお母さんに隠れ家まで車で移動してもらうことになっている」
「まあ,安心して大丈夫だぜ.ベニバナの超能力者は同時にベニバナの重役でもある.記者会見に出て当日はいねえよ.ミスをしなければ絶対に成功する作戦だ」
ローリエが得意げに言う.
「三日後の朝の八時にこの家に集合してもらう.そこで,五右衛門の車に乗って,ベニバナのビルの内部に入る.五右衛門はベニバナの社員だから,ベニバナビルの内部にある駐車場に入れるからな.内部に潜入した後に作戦開始だ.何か質問がある人はいるかな?」
「蓮華さんと五右衛門さんの能力は何なの?」
ミトが言った.
「それは秘密だ.超能力者の能力を他人に知られることは死に直結することがある.ローリエの場合は作戦に必要なため,開示したが我々の能力は今ここで開示することはできない」
「私たちってそんなに信用されてないのね」
「すまない.なるべく危険は避けたいんだ.質問は以上の様だから今日はこれで解散してくれ,三日後にここで会おう」
帰り道に三国とサイは話をしていた.
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