第二章 僕らの知らない世界⑤
「本当よ,私の父さんが飛べたの.母さんは飛べなかったけどね」
「君のお父さんの名前は?」
「浅貝アキラ」
「やっぱり君はアキラ君の子供だったのか.目元がよく似てると思ったよ」
三国にはちんぷんかんぷんだった.
「どういうこと? 話についていけないんだけど......」
「前に僕が飛べるようにしてあげた子が君以外にいるっていう話をしただろ.その子なんだよ」
サイが興奮気味でしゃべった.
「何? なんであなたが私のお父さんのことを知ってるの?」
ミトが不思議そうな顔をしている.
ミトにサイがこの街に来た経緯と年を取らないことをミトに説明をした.ミトはサイについての説明に納得したようだった.
「空をとべる人間がいるんだもの.都市を取らなくなった人間がいてもおかしくないわよね」
ミトが言った.
「ぜひ,君のお父さんに会いたいんだけど,合わせてくれないかな?」
「それは無理ね」
サイの申し出をミトが断った.
「なんでだい?」
「行方不明だから」
「行方不明?」
「そう.ちょうど一月くらい前からね.突然いなくなっちゃったのよ」
ミトが悲しそうに言った.そうかと,残念そうに溜息をついた.
「実はあなたたちに今日来てもらったのは,父さんを探すのを手伝ってほしいからなの」
ミトが言った.
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