第156話 学園長の正体って?
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倒れてから俺はクランハウスに運ばれ、長い間眠りについていたらしい……なーんかこの流れデジャヴっぽいが、きっと気のせいだろう。
そして目覚めた俺は、本当に優勝したことを知った。そして久之池はと言うと、賄賂、八百長、殺人未遂、などなど沢山の悪事が出てきて……退学はもちろん、無事お縄についたことを知ったんだ。当然、生徒会クランも壊滅したようだった。
……で、更に数日経って正式に表彰式とかも行われて、俺は無事にポイントを受け取れたんだ。もちろんそれは、決勝に進むのに手伝ってくれたみんなに渡したよ。中々受け取ってくれなかった人もいたけど、それはもう無理やり渡したんだ。
それで優勝はしたけども、俺らクランのポイントは増えることはなかった……むしろポイントは相当減ったけど。敵はいなくなったし、俺のファンも増えていって……とってもとっても優雅な学園生活を過ごすことができたんだ。
……あ、それと嬉しいニュースが一つあって。大会から何日か経った日に、蓮が意識を取り戻したんだよ。まだ身体は怪我してるから動けないみたいだけど、俺と会話が出来るくらいには元気になったんだ。怪我もかなり大きなモノだったみたいだけど、それもリハビリで治っていくらしい。本当に……本当に良かったよ。
────そんな大会から数か月経ったある日。俺の元に手紙が届いたんだ。
「おーい神ちゃん、なんかポストに入ってたよー?」
言いながら花音ちゃんはクランハウスに入り、封筒を片手に俺の傍までやって来た。
「えっ? 誰から来たの?」
聞くと花音ちゃんは、封筒の裏側を見て。
「えっと……学園長だって。神ちゃん、なんかやらかしたの?」
「え、いやいや、そんなことは……そんなことは……!」
「何で焦ってるんだにゃ……?」
……まぁ冗談は置いといて。受け取った俺は、ビリっとその封筒を開けたんだ。そこには紙が一枚だけ入っていて……それを広げてみると一文だけ、達筆でこう書かれていたんだ。
『明日、学園長室に来てください』
────
「えーっと……ここで合ってるよな?」
そんで次の日。言われるがまま、俺は学園長室までやって来たんだ。学園長室は学園の奥の奥のフロアに存在しているので、一般の生徒は全く来ない場所になっている。まぁ学園長室に用なんて基本ないから、全然困らないんだけど……今日はあるんだよ、用が。
「あの、すみませーん。呼ばれた神谷ですけど」
ノックしながら俺は学園長室の扉を叩く。そしたら中から「どうぞー!」と、女の人の声が聞こえてきたんだ。
ん……? 確か学園長はおじいさんだったはずだが……ああ、もしかして秘書でも雇っているのだろうか? こんな学園だし、そのくらい用意されててもおかしくはないか。自分の中でそう納得した俺は、それ以上考えることはせず。学園長室の扉を開いたんだ。
「失礼しまーす……って。えっ……?」
……開けて俺の目の前にあった光景とは。書類の重なっている仕事机の奥に、高そうな社長椅子に座っている、瞳の大きな少女の姿があったんだ。いや、少女って言っても、俺らぐらいの女の子じゃなくて。本当に近所の公園とかで遊んでそうな、髪をカラフルなゴムで束ねた、小学生ぐらいの女の子がそこに座っていたんだ。
俺が状況を飲み込めず固まったままでいたら、その少女は元気に俺に話しかけてきて。
「さぁさぁ、よく来てくれたなカミヤー!」
と、椅子から降りて、俺の所までやって来たんだ。
「え、えっと……君は?」
「何言ってるんだー? ワタシが学園長だぞ!」
「……ああ。もしかして学園長の孫とかかな? ちょっと今日は忙しいから、ごっこ遊びはまた今度にね……」
「だからー!! ワタシが学園長だって言ってるだろ!!」
そう言って(自称)学園長は俺の身体をどついてきた。全然痛くないけど……当然だが、低身長と言われ気味の俺よりも背が低いから、怖くもなんともないんだけど。
うーん……まぁ、信じないことには話が進まなそうだし。ちょっと話は聞いてみようか。
「えっと……君が俺を呼んだ、学園長で間違いないんだよね?」
「そうだ!」
「じゃああの……いつも俺らが見ていた、おじいさんの学園長は誰なの?」
「あれはワタシのじいちゃんだ! ワタシが朝礼とか出ると騒ぎになるから、代わりにやってくれてるんだ! いわゆる『カゲムシャ』ってやつだな!」
ああ、本当に孫だったんだ……じゃあ。
「君、何歳?」
「十歳だ! ぴちぴちだろ!」
ああ、合法ロリとかではないと……いや、別にそういう展開とか期待とかしてなかったし。ホントだし。強がってないし。
「……つーか、十歳で学園長ってなれるの?」
「ああ、なれるぞ! カミヤもこの学園の異常さは気付いているだろ?」
「まぁ……それは身をもって体感してるよ」
今思えば、これだけ遊園地とかゲーセンとかカジノとかが入り混じった学園だなんて、小学生ぐらいしか思いつかないよなぁ……金はあるから、自由なんだろうなぁ。
「今更だけど、君名前は?」
「ワタシは
西園寺……やっぱりあの財閥の。要するに超金持ちの親が娘に金を与えて、それで娘が自由に学校を建てたって感じか……納得は出来ないけど、理解はしたぞ。
「なぁ、そんなことよりー、ずーっとワタシはカミヤに会いたかったんだぞー!」
そして学園長改め、真紀ちゃんは年相応な笑顔を見せて、俺に抱き着いてくる……べべべ別に、こんな子供に抱き着かれたって、ぜっ全然ドキドキとかしねぇけど!?
ま、まぁ……これ以上彼女を増やす訳にもいかないので。俺は大人な対応をして、真紀ちゃんを身体から離す。そして気になったことを聞いてみたんだ。
「えっと、会いたかったってどういうこと? 俺の学園大会での活躍、見ててくれたってことかな?」
そしたら……彼女は、全く俺が予想もしなかったことを口にしたんだ。
「ううん、もっと前からだよ。『Kamiya』の頃から、ワタシはずっとファンだったんだぞー! だからワタシは絶対に、この学園にカミヤを呼びたかったんだー!」
「えっ? それって……」
「ああ! 前、カミヤに変な記事送ったの覚えてるか? あれ実は、ワタシが送ったんだぞ!」
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