第50話 メイドさんを雇おう!
──
「ふぅ……よーし。だいぶ綺麗になってきたな」
奮発して買った高めの掃除機の電源を切り、俺はポツリと呟く。
あれから俺は色々と契約を済ませて……正式にこの場所は、俺達のクランハウスへと変わったんだ。
そして俺は、この埃まみれのクランを掃除してる最中ってワケ。かなり大変だが、綺麗になっていく部屋を見ると、やりがいも出てくるものだ……なーんて言っても。
「やっぱ一人だと寂しいなぁ……」
俺は一人ぼっちで部屋の掃除を行っていた。あんなことを言ってしまった手前、蓮に協力してもらう訳にもいかないし。誰か女の子を呼んで、手伝ってもらうのもいいけれど……せっかくだし、みんなにサプライズしたいんだよな。
……あ、まだ俺は『クランハウスが完成した』ってことは誰にも言っていないんだ。だから無事に住めるような状態になったら、みんなをここに呼んで……アッと驚かせてやろうって考えていたんだよ。
そしてこのクランハウスを見たみんなは口々に、「神谷君、すごいよ!」「とっても素敵ですよ、王子様!」「シュウイチサイコー!」って言ってくれて。そして最終的には「「「神谷君、大好き!!」」」ってなって。抱きついてくること間違いなしだよな……ぐへへ。我ながらなんて素晴らしい作戦なんだ。
「よーーし。もうひと頑張りするかぁ!!」
そんな最悪な妄想を糧にしながら俺は、頭に巻いた三角巾をキュッと結びなおして……続きの掃除を頑張るのであった。
──
「…………無理だ」
俺は掃除道具の散らばった床に突っ伏して倒れこんだ……なんともまぁ、同人誌もびっくりの即落ち二コマである。
……いや、だってね!! この家広すぎるんだよ!! 共同スペースだけじゃなくて、個室も何個もあるし! トイレ風呂も付いてるし! 別々だし!! 二階も、バルコニーも、キッチンも、階段もぜーーんぶ一人で掃除するなんて……無茶だよ!!
……いやまぁ、絶対に出来ないとは言わないけどさ。相当な時間を要するのは……何日もかかってしまうのは、目に見えているんだよ。
俺には他にもやらなくてはならないことが沢山あるというのに! うかうかしてたら、奴らに攻められる心配だってあるのに! お掃除ばっかやってる暇はないんだよ!
しかし……こんな中途半端な所まで来て投げ出す訳にも、藤野ちゃん達を頼る訳もいかないよな……それに俺のモテモテ大作戦は、まだ諦めてはいないんだし。
誰かの手を借りたい。しかし、クランメンバーには頼れない……だったら俺はどうすればいいんだ……?
「うーーん……」
俺は床に倒れながら頭を回転させる。何か良い策は。この状況を打破する解決策はないだろうか……?
「…………ああっ、そうだ!」
急に閃きが降臨してきた俺は、思わず立ち上がる。ああ、そうだよ! どうしてこの考えが抜け落ちていたんだ!! 俺は本を書いている時に散々調べたじゃないか!
この学園にはこんなバイトがあるって知って。女の子みんなにやって欲しいから、そこだけキモイくらいに情報を集めて、めちゃくちゃ長文で書き連ねたじゃないか!
そう。そのジョブとは……
「メイドだ! メイドさんをここに雇えば良いんだよ!!」
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