第11話 内面も男前じゃん!
意外すぎる発言だったのか、梨子ちゃんはぽかんとした顔で僕を見た。店員は、嬉しそうに表情を明るくさせた。
「彼女さん思いなイケメンだね〜!!内面も男前じゃん!ね、彼女さんはどう思います?」
「わ、私は…。」
心配そうに見つめる梨子ちゃん。僕は口の端をキュッと上げて頷いた。
「…本人がやる気みたいなんで、宜しくお願いします…。」
モデルを引き受けたからか、購入した服の代金はタダにしてもらえた。
「いつ都合良いですか?もしこの後大丈夫なら早速撮っちゃっても…?」
店員はウキウキしながら詰め寄ってくる。怖い。僕は梨子ちゃんに助けを求める視線を送った。
「えっと、人間嫌いなんであんまり絡もうとするの辞めてあげてもらっていいですか…?」
「おっと、そうだった…。すみませんね、つい嬉しくって。」
申し訳無さそうに頭を掻いた店員は改めて都合を伺ってきた。
「土日なら私付き添えるけど、どうする?」
梨子ちゃんは最終決定を僕に任せた。
「…今日はダメ?」
「え、イオンが良いなら良いけど…。大丈夫?」
心配そうな梨子ちゃん。でも、やると決めた今じゃないとモデルは出来ない気がした。
「うん。やる気があるうちにしておきたい!」
「よっしゃ決まりねー!!ありがとう、イオン君。早速カメラマンに連絡するからちょっと待ってて!」
店員は年齢に似合わないはしゃぎ方をしてどこかに電話をかけ始めた。
「あ、もしもし?今すぐ来て。超逸材見っけたから!!」
耳が痛いので、大声で電話をする店員から少し離れて待つことにした。
「なんか意外だったなぁ〜。」
「うん?」
梨子ちゃんがふふ、と微笑いながら僕を見た。
「だってアパート数歩歩いただけで固まってたのにモデルなんて。…まさか意味わからずに引き受けてないよね?」
今朝のドライヤーの件もあり少し焦った梨子ちゃん。でも今回はなんとなく理解して引き受けたんだ。
「大丈夫。写真か何か撮られるんでしょ?それくらいなら出来そう。それに、モデル引き受けたら何か貰えるんでしょ?」
その貰った何かで梨子ちゃんが喜んでくれたら嬉しい。人間になって初めての贈り物になるから。
「まぁ…。」
「ギャラって何か知らないけど、きっと良いものなんでしょ?」
「そうだとも!」
僕の問に大声の店員が食い気味に返答した。
「使いようによっちゃ彼女に美味しいもの食べさせてあげられるし、服やアクセサリーも買ってあげられちゃう!」
「えっ、そんな魔法みたいなものくれるの!?」
「そうとも!」
ギャラ=お金と知らない僕をからかう店員だったが、僕はそんな事知らずにただいい人も居たもんだな、と感激していた。
「あの…お手柔らかにお願いします…。」
梨子ちゃんは心配しか無い、といった表情で僕達を見つめていた。
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