第3話 群青色(ぐんじょういろ)
群青色とは、濃い紫みの青です。ただ群青とも呼ばれ、青が群れ集まるという意味を持ちます。
岩絵の具の色で、原料はもともとラピスラズリでした。瑠璃、青金石とも呼ばれたもので、とても希少な鉱石です。どれくらい希少かというと、原鉱の2%くらいしか顔料(岩絵具)として使えなかったほどです。
その希少性は、宝石に匹敵するほどの貴重品でした。そのため、群青を使われる対象は、如来像や菩薩像の頭髪、曼荼羅の一部など、尊いものに使用されました。
なので、ラピスラズリの代わりに、一般的にはアズライトが使われました。アズライトは、藍銅鉱(らんどうこう)とも言われます。
澄んだ青色で、もっと高品質の青ができるまでは、最上の青として使われてきました。
アズライトは、自然界唯一の緑の顔料である緑青の原石のマラカイト(孔雀石)とともに産出されます。
またアズライトは、油性で混ぜると緑色に変化します。
そんなアズライトでしたが、海外では高品質な青が手に入り始めると、劣った青として見られるようになってしまいました。しかし日本では今でも、青の中の青として使われています。
群青は飛鳥時代に、中国から渡来しました。絵の具の基本色のひとつで、岩絵の具は粒子の大きさによって色が変化します。
粒子の細かい順に、頭青、ニ青、三青と選り分けられます。頭青は、白群青。ニ青は、群青。三青は、紺青です。
ですが本によっては、群青の粒をより細かくしたものが、紺青とされています。
色見本でも、色合いは明るいものから瑠璃のようなものまで、さまざま。ここでは、もともとがラピスラズリだったことをふまえ、濃い青色を色見本としています。
アズライトは、別名バイス・ブルーと呼ばれます。
また色味の薄い群青色は、英語だとフォーゲットミーナット・ブルーにも近いです。忘れな草の花色で、フォーゲットミーノットとも呼ばれます。こちらの方が、一般的ですね。
明るい青色で、JIS慣用色名では勿忘草色(わすれなぐさいろ)で使われています。
ワスレナグサはムラサキ科の一年草、または多年草です。ヨーロッパ原産で、観賞用に栽培されます。春から夏にかけて、青色の小さな花を多数つけます。
ワスレナグサには言い伝えがあって、ドイツの伝説になっています。恋人のために川辺に咲く青い花を採ろうとした青年が、川へ落ちてしまい、彼は流されながら恋人に青い花を投げて、「私を忘れないで」と叫んで沈んでいったそうです。
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