青系

第2話 浅葱色(あさぎいろ)

 浅葱色は、薄い葱の葉のような緑みの青です。浅葱色は浅黄色(あさきいろ)と混同されやすく、いわれも諸説あります。

 1つ目は、浅黄説①。古くは浅黄と書き薄い黄色をさしていたが、中世には薄い青をさすようになったとのこと。それで青の意味を示すために、葱の字に変えて浅葱としたもの。

 2つ目は、浅黄説②。古くは浅葱だったが、平安時代中期に浅葱色を浅黄の字をあてたため、混同されるようになったというもの。

 3つ目は、言い違い説。浅黄(うすき)が「あさき」とも読めるため、浅葱と解釈が混同したというもの。浅い黄色と緑や青の薄い色もさすようになったという。

 また青緑であるため、本によっては青系に入ったり、緑系に入ったりと、こちらも区別がバラバラです。

 ここでは、浅葱色が藍染めであることから、青系に入れます。

 また、色見本ではよくあることですが、本によって色彩にかなりバラツキがあります。

 一番薄い色は、水色よりやや濃い色です。蓼藍で染めた、薄い藍色となっているためです。

 濃い色では、青緑です。

 ここでは、その中間あたりの色を色見本として使用しました。

 浅葱色は、浅葱とも言います。平安文学にも多く見られ、江戸時代の元禄中頃から宝永、正徳にかけても流行しています。その後、延享、宝暦の頃にも流行して、若い女性やオシャレ好きな人に使われました。 これだけ流行したからか、逆に無粋な武士のことを嘲って「浅葱裏(あさぎうら)」とも呼びました。田舎から出てきた武士の裏地に、浅葱が多く使われていたため、そう呼ばれることになったそうです。浅葱侍とも呼ばれ馬鹿にされましたが、それは江戸に勤めていた地方諸藩の侍が、江戸の気風や吉原の作法に疎かったためです。

 新撰組の隊服の羽織にも、浅葱は使われました。余談ですが、実際にはほとんど着られることはなかったそうです。

 浅葱色を英語であてはめるとすれば、ブルー・ターコイズでしょうか。青みのトルコ石の色です。

 ターコイズブルーとも呼ばれ、青色から緑色の不透明な鉱石です。

 古代から装飾品にされ、良質なものは、宝石とみなされました。12月の誕生石でもあります。

 青と緑の中間の色をさす代表的な色名で、ターコイズブルーの他に、ターコイズグリーンもあります。

 ペルシャで取られた石が、トルコを経由して地中海地方にもたらされたことから、ターコイズの名前がつけられました。

 ペルシャとは、イランのことです。

 古代のペルシャ人は、トルコ石のことを魔除けとして使っていました。

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