第3話

「よしっ」

スーツケースを手に空港へ向かう


今日私は韓国に向かう

不安がないといったらウソになる

でも何か、いつもを変えられる何かがあるかもしれない。


「隆!なんで?」

「こっち方面で仕事あったからさ」

「そっか、ありがと」

「頑張れ」

「うん。隆も。私40歳になって帰ってきちゃうからね?その前に誰か見つけて」

「あえて見つけず待ってるかもね」

「やめて!頑張って!じゃあ行ってくる」

「気をつけて」


ありがとう隆。なんとかなるよね。


韓国に着いた

久しぶりのこの空気

楽しかったことも辛かったことも

色々な思いが一気に押し寄せる。


「あっ!」

ふと気づくとバッグがない…

ものすごい勢いで男が私のバッグを手に走り去っていく。

「ウソでしょ?」

着いて早々スリにあうなんて、と思いつつ必死で追いかける。そして躓き気づけば目の前が床。

「もう無理…」


そう思った瞬間、誰かが私の前に立っているのに気づく。

「ケンチャナヨ?(大丈夫?)」

こんな街中だっていうのにジャージにサンダル、サングラス、手にはバナナ牛乳。そしてどうしたらそうなる?ってくらいのボサボサ頭の男…

…次は不審者?!


しかし、よく見ると手には私のバッグ!

「あ!大丈夫です!ありがとうございます!」

頷きながらバッグを返してくれて、颯爽と去っていってしまった。


助かった…

なんて幸先の悪いスタート!

でも、なんとか助かったし。

気を持ち直していこう。


相手先との待ち合わせは超高級ホテルのレストラン。

さすがはVIPだなぁ…

どんな人が待っているんだろう?

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