第42話 あいちゃんのイヤイヤ期!?泣きじゃくるあいちゃんと双子の奮闘!

あいちゃんはまだ赤ちゃんということもあり、よくありがちな夜泣きをたまにする。今までは月に1回あるかないかくらいだったのだがここ最近は夜泣きがひどくなってきた。


あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

たく「どーしたどうした、メシか?おむつか?」

あい「ぎゃあああああああああああん!!!」

たく「よしよしよし、ほれ大丈夫だから」

あい「ひっく、ひっく、ひっく、ひっく」

たく「大丈夫かい?」

あい「きゅぴ・・・くぅ・・・くぅ・・・」


こんなことが今は2日に一回、起きるのだ。怖がりなのかな?俺はよくわからないけど、泣きやんで安心したあいちゃんを見てホッとし、寝てしまう。がとある日の朝、あいちゃんが朝から泣き止まない。学校が休みとはいえ、これは大問題。


あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

たく「やっぱだめかー」

あお「たっくん、泣き止ませるの?」

たく「流石にかわいそうだからな。とーんとん、とーんとん」

あい「ひっく・・・ひっく・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」


俺はこれをまさかのイヤイヤ期か?と疑ったが、泣きやまないのを見る限りガチでイヤイヤ期に入った模様。愛央は困ったが、俺は普通にしていたのだ。そうすると・・・・


あい「ひっく、ひっく・・・たったー?」

たく「ようやく泣きやんだか」

あい「たったー、あいたんいやなものあるの」

たく「なに?」

あい「ねーねーとたったーとぱぱいがいのひと、いや!」

たく「・・・だからか。会社には色んな人が出入りするし、俺も愛央も身なり整えて挨拶するから?」

あい「きゅぴっ」

あお「たっくん、どうしよう。これじゃああいちゃん学校に連れていけないよ」

たく「ままもばーばもだめ?あいちゃん」

あい「きゅぴ・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

たく「おいねぇっぺぇな、よーし。たかーいたかーい」

あい「うわぁぁぁ・・・きゅぴぴぴ!」

たく「どや、こちょばったいか?」

あい「あい!」

あお「たっくん、すごいっ。一瞬であいちゃん泣きやんだ」

あい「たったー!もっかい!もっかい!」

たく「よーし、いくぞ?」

あい「たぁ!」

たく「たかーいたかーい、たかーいたかーい」

あい「きゅぴー!きゃはははは!」


俺はあいちゃんの機嫌を直した後、寝かせておいた。泣きつかれてるだろうから。そんなスヤスヤ顔でお昼寝するあいちゃんを横目に、俺はスマホを取り出し内線をかけた。愛央は横にいて、俺の手をつないでいる。


あお「このままじゃ、あいちゃんがかわいそうだよ・・・」

たく「とりあえず俺今から社長室に電話かけてみる。今日平日だけど入試関連の仕事で学校休みだし親父もほれ知ってるから」

あお「うん。愛央、たっくんの横にいるね!」

たく「おっけ、ちょっと待ってて。ななまるいち、おっけ」

秘書「社長室、秘書です」

たく「お忙しいところ申し訳ありません。息子の匠です。いま内線しても大丈夫ですか?」

秘書「匠さん!お父さんに用ですか?」

たく「ちょっとした事件が起こりましてね、社長今代われます?」

秘書「今は事務作業されてますけど、代わりますね」

たく「ありがとうございます」

昭仁「おっまたせー。いきなりどしたの?」

たく「あーごめんね仕事中に。あのさ・・・あいちゃんがイヤイヤ期に入っちゃった」

昭仁「え、ほんと?」

たく「マジ。あいちゃん今はぐっすりだけどさ、さっきまで大泣きしてた。んであじしたのか聞いたら俺と愛央と父ちゃん以外イヤって言い出してギャン泣きしてさ。ここ半年くらいあいちゃん、顔見てなくて辛いんだと思う。俺と愛央は父ちゃんの顔見てるけど、そろそろあいちゃんも顔見たいんじゃないのかなって。あいちゃん、ママのことはあまり見たことないから誰って顔してるけどパパは遊んでくれるから好きだって言ってるし、いつなら行ける?」

昭仁「そっかー。あいちゃん、イヤイヤ期入ったか・・・あとでまた内線ちょだいな、あいちゃんが起きたら顔を見に行ってやりたい」

たく「おっけ。起きたら内線するね」

昭仁「んじゃまたあとで」

たく「あいー」

あお「たっくん、ご飯も食べずにお世話して大丈夫なの?」

たく「確か冷蔵庫の中に昨日のバイトの帰りにコンビニで買ってきた味噌汁が入ってん。それと米混ぜてメシにする」

あお「たっくんらしいごはんの食べ方だね」

たく「急いでいるときだいたいしてんよ」


あいちゃんが不安にならないよう、俺は部屋で味噌汁を飲んだ。愛央はいつものチアの練習をやるために着替えて、踊りだしたのだ。


あお「フレーっ、フレーっ、ほーうーなーんっ♡」

たく「昔よりも更に可愛くなってる」

あい「うぅぅ・・・・ひっく」

たく「あやべっ」

あお「あっ・・・」

あい「くぅ・・・くぅ・・・」

たく「はー、驚かすなよ・・・ビビった」

あい「・・・あい?たったー、オムツ替えて」

たく「おむつ?わかった。替えるね」


泣くかと思ったら泣かなかったのでオムツを替え、俺はあいちゃんをだっこした。あいちゃんを遊ばせてあげるために。


あお「泣かないかな?」

たく「あいちゃん、パパのところ行きたい?」

あい「うん。いきたい!」

たく「あーじゃあちょっとまってねー?」

秘書「社長室秘書です」

たく「度々申し訳ありません。匠です。社長お願いいたします」

秘書「かしこまりました」

昭仁「おまたせー。今度はどした?」

たく「あいちゃん起きたよ。社長室行ったほうがいい?」

昭仁「起きたなら俺下行く」

たく「仕事あじすんの?うっちゃんの?」

昭仁「んだあんでんねぇから安心して。うっちゃりゃしねーから」

たく「あマジ?おっけじゃ部屋で待ってる」


内線してから1分後、父ちゃんが部屋にきた。


たく「仕事中なのにごめんね」

昭仁「いいよいいよ。あいちゃーん」

あい「ぱぱー!」

昭仁「おーよしよしよし。最近どうした?泣いてばかりなんだって?」

あい「あいたん、ぱぱとたったーとねーねーいがいの人、こわいっておもう!」

あお「パパ、どうしたらいいの?」

昭仁「とりあえずあれかな?パパと今度遊びに行こうか」

あお「え!仕事はどうするの!?」

昭仁「たっくん、いつ休みとった?」

たく「この土日バイト休みだよ。希望休じゃないけど」

昭仁「そしたらその土日で遊びに行こうか」

たく「は、マジ?」

あい「どこいくの?」

あお「愛央のスカートで行けるところ?」

たく「ファミレス行ってその後どっか水族館とかでしょ?」

昭仁「ファミレス行って・・・地下鉄の博物館行こうか」

たく「はっ!?」

あお「愛央もちょっと気になってたところに行くの!?」

たく「ってか愛央電車好きだったの!?」

あお「ちょっとだけっ♡たっくんのこと理解するためには必須でしょ?」

たく「あはい()」

昭仁「そこ行って歴史を学んだりしてこよか。たっくん、車両とか詳しい?」

たく「そらもち。っつっても昭和初期の電車とかは詳しないけどね。打子式ATSとかそんくらい」

昭仁「じゃあ明日、久しぶりにお出かけしよう!」

あお「やったぁー!」


あいちゃんがイヤイヤ期を脱出するために父ちゃんが考えたのはお出かけ。ちょうどストレスが溜まってて怒り寸前だった俺はこれに賛成し、自分のストレス発散ついでにお出かけすることにしたのだ。


翌朝、大喜びであいちゃんは父ちゃんの待つ社長室へ行った。愛央はふわふわの黒いプリーツスカートとベージュのブラウスを着て、いつものチアメイクをしている。そんな中、俺はいつものごとくテトリスをしていた。


あい「ぱぱー!」

秘書「どちら様ですか?」

昭仁「うちの一番下の娘、あいちゃんだよ。

おはようあいちゃん。一人で来たの?」

あい「あい!ぱぱ、したきて!」

昭仁「うん。行こうか。ごめん今日息子たちと出かけるから俺有給もらうよ」

秘書「かしこまりました」

あい「ぱぱー。たったーがね、あおねーねーといっしょにまってるの!あいたんまてなくてきちゃった!」

昭仁「それは早く行かないとね。あいちゃんミルクのんだ?」

たく「俺があげたよ。父ちゃん」

昭仁「おはよう。あおっち、たっくん。ミルクあげんの早いなぁ」

たく「はよ。つーかあいちゃんもはや離乳食だよ。泣きじゃくっておいねぇから先あげちまった」

昭仁「仕事早いなぁ」

たく「外でギャン泣きしたらおいねぇべ?だから先に機嫌よくしといたの」

昭仁「ありがとう。あおっち今日チアの練習しないの?」

あお「愛央はさっきやったところっ!パパ・・・応援されたいの?」

昭仁「俺は別にやらなくていいけどさ」

あお「ふふっ。うそっ♡愛央がパパを応援したいからっ!フレーっ、フレーっ、ぱーぱっ♡頑張ってね♪」

昭仁「ありがとう。じゃあ行くか」

たく「ガチで地下博行くの?」

昭仁「ガチで行くの」

あお「パパ、愛央長いスカート着たけど大丈夫かな?」

昭仁「うん。今日行くところはスカートでも大丈夫だから」

あい「たったー、たかいたかいして!」

たく「あいよっと、いくぞー、たかーいたかーい」

あい「きゅぱぱぱぱ!」

あお「大喜びだね。くすぐったいのかな?」

たく「こちょばったいんじゃね?」

あい「うっ・・・ひっく・・・」

昭仁「おいおい、あいちゃんまだ車にも乗ってないのにぐずりだしたぞ?」

あい「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!! 」

あお「始まっちゃった・・・」

たく「・・・なぁ父ちゃん、俺わかったかも」

昭仁「どうした?」

たく「車に運転手ウテシ、いるでしょ」

昭仁「いる」

たく「あいちゃん、嫌がってるんだよ」

昭仁「そういうことか。じゃあどうしよう」

たく「車で行くのはしょうがないから、あいちゃんをどうにかして泣きやませないとね」

あお「たっくん!私、だっこするっ!」

たく「わかった・・・ブラウス汚れても大丈夫?」

あお「うん。愛央は、あいちゃんのママだから!」

あい「うえええええん!!!」

あお「大丈夫だよっ。あいちゃん」

あい「きゅぴ・・・」

あお「大丈夫だから・・・あれ?」

あい「・・・くぅ・・・くぅ・・・」

たく「安心して寝たか。赤ちゃんは女の子に抱っこされて心臓の音を聞くとお腹の中にいた頃を思い出してぐっすり寝ちまうんだって」

昭仁「そしたら今のうちに連れていこう」

たく「おっけ」


愛央がだっこをしているあいちゃんはぐっすり寝ていた。その間に地下博に行こうという判断をした俺たちは急いで地下博に行った。あいちゃんはすっかり、愛央が着ているベージュのブラウスにつかまって寝ている。10分くらいで地下博に着いたので、あいちゃんを起こして館内へ。


たく「あいちゃーん、着いたよ」

あい「きゅぴ・・・ついたの?」

あお「うん。ついたよ」

たく「あっかわらずでっけーな、ここ」

昭仁「俺も実は鉄道好きでな、地下鉄が専門なんだよ」

たく「俺尺束とかそっち好きだから父ちゃんはまた別分野ってことだよね」

昭仁「うん。あおっちはどんな電車が好き?」

あお「愛央はー、ローカル線の気動車かな」

たく「うわ結構なガチマニアックじゃん」

あい「あいたんたのしみ!」

たく「いっぱい見ようね」

あい「きゅぴ!」


館内に入るとあいちゃんは一目散に日本で多分最初と言われる自動改札機に飛んでいった。愛央と俺は急いで追いかけた。


あお「たっくーん、これなに?」

あい「なにー?」

たく「愛央たち知らないでしょ?これね、昔の自動改札機なの」

あお「ほんとに?」

たく「ほんとほんと。100円渡すから入れてみて」

あお「ここの穴に入れるの?」

たく「入れたらどうなる?」

あお「すごい!通れた!」

あい「あいたんもー!」

たく「たったーとやる?」

あい「あい!」

たく「いくよー?」

あい「しゅごーい!とおれた!」

たく「よかったね。これが昔の車両だよ」

あお「メカメカしくてすごいかっこいい!」

あい「のりたい!のりたい!」

たく「ざんねん。今日は乗れないみたい」

あい「ひっく・・・うわぁぁぁぁぁん!!!」

たく「また今度たったーと乗りにこれるから大丈夫。ほれよしよし、大丈夫だから」

あい「きゅぴ・・・また乗れる?」

たく「安心して。今度来たとき必ず乗れるから」

あお「たっくん、愛央にだっこさせて」

たく「うん」

あお「あいちゃん、乗りたかったね」

たく「残念だけどまた乗れるから安心して」

あい「きゅぴ」

あお「たっくんー、次どこ行く?」

たく「たーしかこの館内シミュレーターがあるの。そこ行こうか」

あお「うん!」

あい「あいたんできる?」

たく「確か・・・できるよ」


そう言って俺は愛央とあいちゃんを連れてシミュレーターのところに連れて行った。父ちゃんは模型の方に集中してるので俺も後でそっちへ行った。


あお「これってドアを開けたり閉めたりするスイッチ?」

たく「そだよ?やってみる?」

あい「あい!きゅぴらっぱ〜!」

あお「開いたね!」

あい「やったぁ!」

たく「じゃあさ、あいちゃんここ押してみて?」

あい「ここ?かちっ、しゅごーい!閉まった!」

あお「すごいね!私もやりたいけど、ここは・・・」

あい「たったー!やってー!」

たく「えちょ俺!?まぁいっけどさぁ・・・」

あお「かっこいい!」

あい「あい!」

たく「え停止位置ぃ、よし。側灯ぅ、点。反応ぅ進行。乗降ぅよし。側灯、滅」

あお「すごいね!あいちゃん!」

あい「あい!」

昭仁「たっくーん、どうだった?」

たく「なんかいきなりやらされたけどとても楽しかった」

あい「あいたん、なんか怖くないかも!」

たく「でも嫌いな食べ物は?」

あい「いや!」

あお「たっくんや愛央と変わらないね。そこは」

昭仁「さてさて、そろそろここ出てお昼にしようか」

あい「あい!」

たく「流石にイヤイヤ期克服したかな」


俺らは若干安心したが、あいちゃんは次第にまたぐずりだしてしまった。


あい「ひっく・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

あお「よしよし、大丈夫だよっ」

あい「うわああああああああああああん!!!!」

昭仁「たっくんこれやばくないか?すごい泣いてるぞ」

たく「こらおいねぇな。よしよし。ほーれ、大丈夫。あいちゃーん」

あい「ひっく・・・きゅぴ?」

たく「ばぁ!!!」

あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

たく「え、怖かった?ごめんね。よしよしよし・・・」

あい「きゅぴ・・・」

たく「お水飲む?」

あい「あい!」

昭仁「治ったかな?」

あお「たぶん・・・」

たく「あいちゃん、ちょっとたったーと話する?」

あい「うん」

たく「あいちゃんさ、怖がってよく泣くよね?」

あい「あい」

たく「俺もね、怒られたりすると怖くなって泣いちゃう時あるんだよ」

あい「きゅぴ?」

たく「ね?愛央」

あお「うん。たっくん昔からそうだもん。でも愛央がいるから、たっくんが元気っ!なのよね?」

たく「あんたはチアで笑顔にさせるからな。あいちゃんは、不安なとき誰に頼りたいかな?」

あい「たったーとねーねー」

たく「そうでしょ?だから、怖がったらまずたったーかねーねーにぎゅーって抱きついていいから」

あい「ねーねー、ぎゅーしていいの?」

あお「うん!泣きたくなったらいつでもおいで」

あい「ぎゅーっ・・・・」

たく「これでイヤイヤ期は脱出したかな?」


数日後、俺の思ったことは当たり、あいちゃんのいやいや期は脱出。2ヶ月かかったけど、これで完全ないい子になりましたとさ。

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