第40話 秋の球技大会!!愛央のフレフレ!?

はー来ちまったー。文化祭が終わり、1週間後に球技大会が実施されることになった・・・のだが、うちの妹あいちゃんと愛央はふたり揃って遊んでる。なーにしてんだか。そう思いながら編集を進めていた時、愛央とあいちゃんが来た。


あい「たったー」

たく「あいちゃん!」

あお「たっくん!ぎゅー」

たく「ふたりしてどうしたのさ」

あお「今年も来たね、球技大会」

たく「あぁ・・・勝てるかな?」

あお「チア部の愛央とあいちゃんにまかせて!」

あい「きゅーぴー!」

たく「ほんとに任せていい?」

あお「わたし、一生懸命応援するから!」

あい「あい!きゅぴぃ!」

たく「分かった。じゃあおねがいするよ」

あお「思いっきりやっちゃうよ〜!」

たく「やり過ぎんなよ」


愛央はポニテを作り、急いで着替えた。その後にポンポンを持って、俺のところに戻ってきた。そりゃもうこのあと行くのは公園か学校ってことが確定したのだ。


あお「行こっ♪」

たく「え、今から行くの?」

あお「うん!」

たく「どうせ勝てないだろうけどさ」

あお「あそこに立って、やってみよう!」

たく「はぁ」

あい「くぅ・・・くぅ・・・」

たく「あいちゃん・・・ぐっすりだね」

あい「たったー、ふかふか・・・くぅ・・・くぅ・・・」

あお「一緒にいると安心するんだね」

たく「そっか」


愛央は天使のように優しかったが、これが普通の愛央と思えるのは俺しかいないはずと思いながら学校へ行った。いつもの場所で、あいちゃんを遊ばせてると愛央がベンチで休んでいる俺に話しかけてきた。


あお「疲れちゃった?」

たく「まぁ・・・」

あお「あいちゃん、お花が好きだから遊ばせてあげよう?」

たく「うん」

あお「負けた時は」

たく「愛央が励ます?」

あお「うん!フレ!フレ!たっくん!フレ!フレ!たっくん!ってね♪」

たく「愛央、ほんとに疲れないの?俺がバイト行く前とか学校行く前必ずチアやってるからさ」

あお「愛央、たっくんを後ろからサポートしたいの。チアリーダーって、可愛いだけじゃなくて実力だったりするんだ。負けたときのたっくん、怒ってたりしてるから」

たく「確かに」

あお「でも悔しいって気持ちのほうが大きいから、愛央はポンポンを振って応援するの!」

たく「愛央、小顔でかなりの美人なのに学校じゃ誰とも話さないよね?彼氏とか作ってもいいんよ?」

あお「愛央はね、たっくんといないと実はダメなの。たっくんが愛央の応援で元気になるように、愛央もチアやる上でたっくんがいるからできるの!」

たく「なるほどねー」

あい「たったー」

たく「どしたの?」

あい「あい!あげる!」

たく「んだこれ?」

あお「あいちゃん特製最強ご飯。

えーと、電子レンジで30秒温めるだけ!?」

たく「は!?クソ簡単じゃねぇか!」

あい「ぜったいかつ!たったーまけない!」

たく「あいちゃん・・・・やるなぁ」


俺らはあいちゃんが出したご飯を持って、明日行こうと考えた。俺らは家に帰り、作戦会議をしてその日は寝た。



翌朝、心拍数160という超緊張した中で朝を迎えたが、愛央は問答無用でぎゅーって抱きついてきた。

あいちゃんはまだぐっすり。時刻は7時である。


あお「たっくーん♡」

たく「あぁ、おはよう」

あお「汗すごいよ?緊張してるの?」

たく「多分緊張。愛央は緊張しないの?」

あお「緊張してエール送れなかったら可愛くしてっても恥ずかしいでしょ、だから緊張してないよ」

たく「すごっ。あ、朝飯作らないと」

あお「たっくん、今日は作らないでいいよ」

たく「え?なんで?」

あお「疲れてるから。今日はなんか買って食べよ?」

たく「たまにはそうしようか」

あお「野菜とか食べてね、たまには」

たく「コンビニでなんか売ってんだよな確か、サラダが200円くらいで」

あお「それ、食べようよっ♪」


愛央が珍しく黒のチュールスカートを履いて、ポンポンを持ちながら凛とした佇まいで、優しい笑顔をしていた。ハーフアップがやけにお嬢。クソガキは惚れてますよ。そんな俺は愛央と二人で朝から出かけることにした。


やけに可愛くなった愛央の手を繋ぎ、二人で朝の散歩に行く。勝利の女神の手を触れられるのは許された者のみ。いつもはチアのポンポンを振りかざし声援を送る愛央だが、家にいるときはまた別人。当然チアはやるものの、白のチュールワンピース、可愛さアップの赤いポンポンを持ち、ハーフアップを揺らして応援する。彼女にとって、ハーフアップとチュールスカートは乙女の証ってらしい。俺は恵まれてるのかもしれない。その理由はいつも左にチアがとってもかわいい妹の愛央がいて、右には甘えん坊のあいちゃんがいる、ということ。それだから俺は気合が入るのだが、顔色は変わらない。愛央は何か話しかけてきた。


あお「気合い入れる?」

たく「うん・・・」

あい「きゅぴー」

たく「あいちゃん。どしたの?」

あい「たったー、あしょんで!」

あお「フレ、フレ、たっくん!がんばれっ!負けないで!」

たく「うん。ありがとう。あーいーちゃん」

あい「きゅーぴ?」

たく「たかーいたかーい」

あい「きゅぴぴぴぴ!」

たく「やーっぱこれがすきなんだなぁ」

あお「そうかも。だから喜んでる」

たく「だね・・・って、おいおい、まさか」

あお「気づいた?愛央、今年のチアユニとポンポンに変えたの!」


そう、愛央の所属するチア部は今年、高校野球選手権大会に出場したうちの野球部を応援したのだ。そのため、普段愛央たちが使うメタリックのポンポンが使えない。まぁだから新調してユニフォームも高校野球用の物にしたのだ。だから野球部男子釘付け。そんなチア部の1番美女琴乃愛央の姿は、みんな写真撮ってたよ。俺も横にいたけどさ。愛央たちチア部の部員が大会応援のときにくるって回ったとき、愛央のスカートがひらひら揺れすぎて俺の顔に当たったレベル。そのくらい可愛かったんです。


あお「高校野球の応援で着たチアユニと、可愛くなった愛央・・・どうかな?」

たく「高校野球でどんな応援してたっけ」

あお「かっとばせっ、たーっくん!」

たく「かわ・・・ゆい」

あお「フレフレたっくん!ふぁーい、とっ!」

たく「・・・・」

あお「ぎゅーっ♡」

たく「はっ!?」


何しちゃってんの。ハーフアップはまだいい。でーもそれでだーきつくのはちがーうでしょーよー。そんなことを思った俺の横で喜んだ愛央と何故かめちゃくちゃ顔が赤い俺はふたりでマウンドへ向かって家を出た。愛央は俺にすがりつき、ポンポンの音を響かせた。そしたらあいちゃんが話しかけてきた。


あお「がんばって~!」

たく「あり、がと、う・・・」

あい「たったー、ごはーん」

たく「飯!?あーえーとあじしたっけあったあったほれ、食べな」

あい「あむあむ・・・」

あお「たっくん・・・負けてもイライラしないでね」

たく「うん・・・」

あお「じゃあ・・・フレフレ!ファイト!」

あい「ねーねー」

あお「なに?」

あい「ねーねーとあいたん、たったーと一緒にいようよ」

あお「いいかも。近くで励ませたりできるからね!」


そして愛央とあいちゃんは学校に着くと愛央がさっきのチアユニに、あいちゃんは俺のスマホで動画を見てた。そうするとしばらくして愛央が着替え終わり、ハーフアップを作ってきた。


あお「たっくん!おまたせっ」

あい「ねーねー、かわいい!」

あお「ありがとう!」

たく「行くか」

あお「うん!フレ!フレ!たっくん!ファイト!ファイト!がーんば!」


発達だから色々悩む。そんな思いを打ち砕きたい。そんな思いで外に出てくると、愛央が髪にリボンをつけた。


あお「たっくーん、かわいい?」

たく「さすがチア。リボンつけて気合い入った?」

あお「うん!これでポンポンを持つと・・・じゃーん♡」

あい「ねーねーしゅごーい!」

たく「可愛すぎない?え?反則レベル」

あお「ハーフアップだから余計に可愛いはず。チア部のみんなは球技大会に出るみんなの応援に徹するけど、愛央は専属のチアリーダーだから、たっくんのこと最後まで可愛く応援するね♡」

たく「負けたら?」

あお「別のポンポンも持ってるから守備妨害にはならないはず・・・プロのチアリーダーも使ってるポンポンを持ってきたから、花道のときはこっち使うね!」

たく「う、うんわかった」

あお「可愛く応援するから、たっくんも頑張ってね!」


頑張ってほしいと願う愛央は赤いポンポンを振って、俺を送り出した。今回はソフトボール。愛央は高校野球の時に使ったものなどを持って、観客席へ行った。


あい「ねーねー!たったー、いた!」

あお「いた?」

あい「うん!たったーあそこ!」

あお「ほんとだ♪」


俺は6番セカンド。愛央とあいちゃんは応援席から2年生のチア部部員と一緒に応援する。今回は2年生対1年生。1年生チア部は少なめの15人。選抜9人だが、俺はそいつら相手にホームランを狙えるかもしれないと俺は思ってた。2年生チア部は40人。学年225人なので、結構いるんじゃないかな?


第一打席は三振に終わった俺だった。試合は2回の裏が終わったところでついに勝利の女神、チアリーダーの琴乃愛央下に降臨。


選手「次は3回の表か」

あお「みーんな♪たーっくん!」

たく「よお愛央。来たか」

選手「おっと、女神の愛央様降臨ですか?」

あお「たっくんとみんなのこと、応援しに来たよ!」

たく「愛央水飲んだ?」

あお「うん!あいちゃんもたったーがんばって!だって」

たく「あーのこずいぶんしゃべるようになったな。愛央もこのあと応援するんでしょ?風引かずにな」

あお「うん!ぎゅーっ♡フレ!フレ!みんな!フレ!フレ!たっくん♪」

たく「あんがと。よーし、3回表俺らの攻撃。行くぞ!」

全員「おー!」

あお「がんばれ〜!」


愛央は3回の表から先ベンチでエール。花道を作って打者を応援したり、ベンチから声援を送ったりしてる。


あお「次打つのは・・・たっくんだよね?」

たく「はー俺?」

あお「うん!がんばってね!」

あい「きゅぴー!」

たく「あいちゃん!?」

あお「ねーねーと応援しよ?」

たく「ガチ?」

あお「うん!」

あい「たったー、がんばえ!」

たく「ありがとっ」


会場内に歓声が湧いた。そりゃ、学年1のやべーやつ、琴乃匠が来たんだから。チア部のみんなもポンポンを持ち替えて、本気になって応援しだした。うちの愛央はあいちゃんと座って見守るだけ。なんか泣いてねぇか?気の所為だよな。


俺は1球目右下のカーブでボール。2球目はストライクだった。そして3本目・・・俺はついに打ったのだ。その瞬間、俺たち兄妹は一斉にボールを目で追っかけた。


あお「えっ!?」

たく「まさかとは思うけど」

あい「たったーのぼーる、はいった!」

あお「えっ!?ホームラン!?」

たく「えすげ、入った・・・」


なんと、まさかの俺はホームランを打った。しかも満塁ホームラン。これがなんと先制点どころか決勝点にもなったのだ。


あお「たっくん!すごーい!」

あい「しゅごーい!」

たく「俺、マジで打った?」

あお「うん!打った!」

あい「たったーしゅごい!うった!」

たく「家帰ったら愛央が花道作って可愛く応援するんだろうなぁ、また俺デレデレになっておいねぇや」


結論は俺の放った満塁が効いたらしく、4-0で俺らの勝ち。愛央たちチア部はポンポンを振って、選手たちを讃えてた。ただし、うちの愛央だけは例外。


あお「たっくん!おめでとう!」

たく「愛央が新しい服とポンポンで応援してくれたからだよ」

あい「たったーすごかった!」

あお「すごかったね!そろそろ帰ろうよ」

あい「きゅぴー」

たく「うん、帰ろっか」

あお「たっくん、良かったね」

たく「負けなくてよかった。愛央のおかげかも」

あお「たっくん・・・だいすきっ!」

あい「たったー」

たく「どした?」

あい「たったーのごはん、たべたい!」

あお「愛央も!」

たく「じゃあ作るよ?」

あお「やったぁ〜!」


化粧をすると愛央は垢抜けた超美女。でも化粧をしない純正の愛央も可愛い。そんな愛央に応援されたから勝てたのかも。ということでそのお返しに、すっごい豪華な食事を作ったのだ。チュールスカートに身を包んで、一層ふんわりとしたお嬢様になった愛央は、あいちゃんと遊んでいたようだ。


あい「あい!あい!たたったたー、たたったたー!」

あお「フフッ。ねぇたっくん」

たく「あに」

あお「ほっぺにキスっ♡」

たく「なにしてんの」

あい「たったー」

たく「何?」

あい「たったーのごはんたべたーい!」

あお「もう午後4時だからね、たっくん作って?」

たく「おっけ。つくるわ」

あお「ふれ、ふれ、たっくん!ふぁいと、がんばっ!」


愛央がグレーのチュールスカートとピンク色のポンポンを振って応援するとどうも俺はついつい本気で飯を作ってしまうくせが出がち。愛央は、一番かわいいって思うときはすでにポンポンを持って、その勢いで俺のことを応援する。揺れるスカートときらびやかに輝くポンポンの音で励まされるから、逆に本気になるのだろう。


あい「たったー、たったーのでんちゃどこ?」

たく「俺の机の上にない?」

あい「ない」

たく「んじゃ押入れか。あとで出すから待っててね」


飯を作り終え、あいちゃんと遊んでから3人で飯を食べた。愛央は美味しそうな顔で食べてた。その後に3人で記念写真。愛央はチアリーダーのように可愛く、ポンポンを振ったのだった。

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