第34話 あいちゃんと愛央の姉妹デート!?
甘えん坊のあいちゃんは時に愛央とお出かけしたいことがある。だがそれはごく稀。行きたい時はあいちゃんが泣き止まない夜の翌日。だからあいちゃんは特別な日じゃないと愛央と出かけられないのだ。
4月のある土曜日の夜。俺は朝から晩までバイトをしていた。元々今日は朝から晩までバイトということを愛央とあいちゃんに伝えていた。
たく「明日俺朝から晩までバイトだから」
あお「うん・・・愛央ね、たっくんに聞きたいことがあるの」
たく「なに?」
あお「私、あいちゃんと明日1人になるよね?」
たく「うん。悪いな」
あお「あいちゃん、大泣きするかな?」
たく「あ・・・」
この時、16時30分。あいちゃんは動画を見ていたようだ。俺はあいちゃんを呼んで先述の話をした。
たく「あいちゃーん」
あい「きゅぴ?あい!へへっ///」
たく「おーよちよちよち」
あい「へっ///なぁに?」
たく「ごめんね。明日さ、お仕事が朝から夜まであるんだ。あいちゃんには悪いんだけど・・・明日はいい子にしててね」
あい「ひっく・・・うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
たく「やっぱりダメかぁ・・・愛央!持ってる!?」
あお「用意は出来てるよ!」
たく「すまん。やっちゃってくれ」
あお「大丈夫だよ、あいちゃん!」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
あお「たっくん、これポンポン振っただけじゃどうにも出来ない!!!」
たく「いないことがよっぽど嫌なんだろうな。シフトはあじすることもできんし」
あお「どうする?」
あい「びえええええええええええん!!!」
たく「大泣きだぁこらおいねぇ。でもこんなに泣くってことは・・・愛央明日出かけてあげることって出来る?」
あお「出来るけど・・・お金ないよ?」
たく「2万ちょっとあれば足りる?」
あお「多分・・・」
たく「不安なら13時頃に電話していいから」
あい「ひっく・・・」
たく「あいちゃんは怖いんだよね。愛央もそうだべ?」
あい「きゅぴ・・・」
あお「うん・・・」
たく「おいで・・・」
俺はそう言うと、あいちゃんを挟んで愛央とハグをした。
あお「たっくん・・・暖かいね」
たく「元々今日はさぶかったしな」
あい「きゅぴ♪」
たく「今夜は3人で寝る?」
あい「あい!」
あお「うん!たまには一緒に寝よっ♡」
愛央とあいちゃんの笑顔は世界一可愛いのだが、喜んだ時がいちばんかわいいと俺は思っている。
俺が小学5年生の運動会の時、愛央はこの年から応援団をやり始めた。愛央はポンポンを振るのも笛を吹くもあまり上手くは無かった。でも頑張る俺の姿を見ると自然と愛央も頑張れるようになったのだろう。小学校はチア部が無かったので、愛央は独学で習っていたが、中学に入るまでの1年間だけは習っていた。運動会の結果は負けてしまって、俺は家でずっと顔を伏せていた。勝てなかったから・・・。でも愛央は作ったポンポンを振って俺を励ました。
あお「たっくん!頑張ったね!」
たく「うん・・・・」
あお「ねぇ、愛央可愛い?」
たく「ん・・・?」
顔を上げると、私服に着替えてはちまきを着け、ポンポンと笛を持った愛央がそこにはいた。
あお「わたし、ほんとはこんな姿でたっくん応援したかったの!」
たく「えっ?」
あお「元気ないよ。フフッ♡」
たく「あ、えーとそのー」
あお「もう1回、運動会と同じことしてあげるよ?」
たく「え?いいの?」
あお「うん!ツイン、崩れてないし!」
そっか。愛央はこの日のためにツインをわざわざ作ったのか。愛央はぎゅーって抱きつくと、
あお「フレ!フレ!あかぐみ!フレ!フレ!たっくん!わ〜!」
たく「すごいすごい」
あお「実はね!」
たく「なに?」
あお「くるっ♡ね?本当はこれやりたかったの!どう?かわいい?」
たく「お〜」
ふわっとスカートをゆらす愛央。可愛く散る赤いテープ。輝く瞳。初めて俺は愛央に惚れたかも。
それからというもの、くじけそうになった時、必ず愛央は応援するようになった。それは今になっても変わらない。久しぶりに愛央と離れ離れ。あいちゃんもいるから、余計に不安になった。時刻は深夜1時。それを感じとったのか、愛央が話してきた。
あお「たっくん、まだ起きてるの?」
たく「愛央・・・うん、なんか眠れなくてさ」
あお「愛央とたっくんが離れるから?」
たく「うん。俺と愛央、双子とは言え、出来ることと出来ないことがあるけど、心だけは一緒のはずなんだよね」
あお「だいじょうぶっ♡今の愛央ならたっくんが居なくてもあいちゃんとずっと待ってられるから!」
たく「・・・よかった。安心したよ」
俺はこう言って、この日は布団に入った。
翌朝7時。まさかの展開で俺の一日が始まる。
あお「たっくん♪」
たく「ん・・・」
あお「ちゅっ♡」
たく「は!?」
あい「にーにー」
たく「おはよ。あいちゃん」
あい「ぎゅーっ♡」
まさかのキスとハグ。あいちゃん達の本気なのだろう。彼氏彼女や親友で好きって言う事よりも重要なのかも。その後愛央とあいちゃんはポンポンを持つと、準備中の俺に近づいてきた。
あい「にーにー、みてー」
たく「お?どうしたの?」
あお「じゃーん♡愛央とあいちゃん、チアリーダーになりました♡」
たく「待て待て待て俺頼んでないよなあにした」
あお「離れ離れになるから」
あい「きゅーぴ♪にーにーがんばって」
たく「ありがとう。じゃあ久しぶりに」
あい「きゅぴ?」
たく「たかいたかーい」
あい「キャハハハ!きゅぴぴぴ!」
あいちゃんはたかいたかいが1番好き。だから何かとこれをしてもらうと大喜びするのだ。愛央と同じ。俺はあいちゃんと遊んで、時間になったので行くことにした。
あい「にーにー、ばいばい!」
たく「じゃな。行ってくるわ」
あお「ぎゅーっ♡頑張ってね!」
たく「うん。行くわ」
俺はこう言ってバイトへ行った。愛央たちは見送った後、即座に準備をして、出かけたようだ。
あい「ねーねー、にーにーかたいたいっていってたー」
あお「たっくん辛いのかもね。発達あるし、我慢しなきゃいけないから・・・」
あい「これ、ほしい!」
あお「リュック?」
あい「あい!」
あいちゃんが選んだのはどうやらリュックのようだ。でも色々な機能があるらしい。愛央は愛央でチアの用品とか、筆記用具を購入したらしい。
1時間の休憩中、愛央からLINEが送られてきた。
あお「たっくん!おつかれさまっ!」
何かと思い、俺はLINEを返した。
たく「あぁ、ありがと。で、あじしたの?」
あお「あいちゃんといっしょに、デートしてるの!」
たく「さっそくぅ!?」
あお「でね、あいちゃんが欲しいものあるんだって!買っていい?」
たく「買っていいよ!」
あお「ありがとう!」
何買ったんだろ?俺は謎に満ちていたが、レジに戻らざるを得なかった。昼飯を急いで食べ、レジに戻る。そして、5時間が経った頃・・・
たく「っしゃいませぇー」
あお「たーっくん!」
たく「・・・ちょおい待て、どっかで聞いたことある声がしたぞ・・・・」
まさかと思ったが・・・・そのまさかだった・・・
あい「(´。>ω(•ω•。`)ぎゅ〜♡」
店長「愛央ちゃん!また来たのかい?」
あお「こんにちは!」
たく「お前ら何しに来た。飯か?ドツキリか?」
あお「愛央ね、新しいぽんぽん買ったの!試したくって!」
たく「あーわかったけどすまん、後でにしてくれる?」
あお「うん!」
あい「にーにー、いていい?」
たく「いいけど、お客様の邪魔にならないようにね」
あお「うん!」
たく「待たせ致しましたお預かりします。ポイントカードはお持ちでいらっしゃいますか?ありがとうございますお返しします。袋は、あいらない?こりゃどうもありがとうございます。6248円でぇす。はい1万円お預かりします。現計よしモニターよし。先大きい方が3000円、1、2、3000円のお返しと、おあとの残りが752円です。またよろしくお願いします。さてと、だいぶ少なくなったな。あいちゃーん」
あい「ぎゅー♡だいちゅき!」
あお「もうすぐ終わり?」
たく「うん」
あお「いっしょに帰ろうよ!」
たく「待っててね」
あお「うん!」
愛央達が来てくれたので3人で帰ることに。あいちゃんは久しぶりに俺の顔を見て安心しきったのか、そのうちに寝てしまった。
家に着くと体の痛みが凄かったが、愛央がマッサージをしてくれるとのこと。愛央ってマッサージも上手いのだ。それを終えるとあいちゃんが遊びたかったらしく、6年ぶりに家族ごっこをして遊んだ。
あいちゃん、大喜び。良かったぁ。久しぶりにやるものってなんか懐かしいと感じた。
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