琴乃家の日常 3rd Season
小糸匠
第33話 新学期
4月6日。私立方南高校、新学期である。
新しいベージュのチュールスカートと白いブラウスに黒のリボンを付けた愛央はチアリーディングの練習をしていた。アームモーションやエール、色々なことを試している。
7時30分、あいちゃんがぐずり出すのでミルクをあげる。ミルクをあげると泣き止むので、泣き止んだ後に愛央が特技のチアを披露する。ここまでが朝の日課だ。
あお「フレー!フレー!たーっくーん!」
たく「愛央、やっぱ相変わらずだな」
あお「大好きなたっくんを応援するのは、チアリーダーの私として、大好きなたっくんにできる、愛央の使命だから!」
たく「そりゃありがたい。じゃあそろそろ行こか」
あい「あいたんも行く!」
たく「よーし!出発!」
あお「おー!」
俺らの持ち物は基本的に、愛央のポンポンが2セット、俺のタブレット、あいちゃんのスマホ、俺のスマホ、愛央のスマホ、筆記用具。あとはあいちゃんのお絵描きだったり。筆記用具は愛央と俺で共通なのでそれを2人で使っている。スマホは全員共通で、Android One S6。愛央がラベンダーブルー、俺がホワイト、あいちゃんが黒である。そうすることで、誰の携帯かわかるようにしてあるのだ。
あいちゃんはいつミルクになるか分からない。そのため水筒は2本持ち。片方はミルク、片方は愛央の飲み物を入れている。チアをやっている関係でかなり動く愛央は飲み物をよく消費する。
あいちゃんとの通学も2年目になった。愛央の朝はだっこせず、ポンポンを振ってその日のおさらいをしている。そのため俺が朝はリュックを持ち、あいちゃんをだっこするのだ。そんな時、あいちゃんがこういった。
あい「きゅーぴーきゅぴー!」
たく「お、どうしたの?」
あい「あいたん、でんちゃちゅき!」
たく「えっ?」
あい「でんちゃ!のりたい!」
あいちゃんが電車好きにいつの間にかなっていた。そういや最近学校で見てたのもシンカンセンとかだったからまさかの俺のせい!?と思ったのだ。まさかヤッパシンカンセンダッタンジャナイスカネ-のせいじゃねぇだろうなとは思ったが。
新しい教室が発表されるのはまだまだだったので今日は一緒。あいちゃんは教室に着くと、愛央に抱きついてミルクを飲む。愛央があげるのは1日に1回ではあるものの、愛央があいちゃんにミルクを飲ませる。
あい「ぷはぁ・・・・きゅぴぴぃ!」
あお「大喜びだね!」
たく「おなかいっぱいになるとこの子眠っちゃうからなぁ」
始業式を終え、時刻は10時30分。あいちゃんが起きたのでここからは3人で先生の話を聞く。
先生「では、クラスを発表します!」
発表された瞬間、愛央が飛び出す。数分後、愛央が抱きついてきた。どうしたんだろうか。
あお「たっくーん!」
たく「あに!どした!」
あお「愛央たち、クラス一緒!」
たく「ってことは?」
あい「あいたんも、いっしょ!」
あお「うん!」
たく「はぁぁ!?」
あお「やったぁ!離れなくて!」
たく「よかったよかった」
愛央は大喜び。新しいクラスは2年C組だ。42人のクラスで、何が起こるのだろう・・・
新しい担任の先生は男の先生、今年赴任されたらしい。去年までお世話になった波野先生は3年生に異動。ってことはこれ今まで以上においねぇ気がする。
大橋「初めまして。今年から私立方南高校に赴任した大橋と言います。よろしくお願いします」
体育会系でビビる俺。愛央も不安になっている。あいちゃんは・・・あれ、寝てた。
大橋「これから、1人ずつ自己紹介をしてもらいます。1人ずつ前に出て、自分の名前、元クラスなどを話してください。黒板に必ず話してもらう内容を書きますのでその事は確実に守るようにしてください」
あお「愛央達はあいちゃんがいるからどうしよう・・・」
たく「そこは任せろ。俺が話す」
1人ずつ前に出て自己紹介を進める。5人終わったところで次は俺の番になった。
たく「初めまして。琴乃匠と申します。元1年E組で、隣にいる愛央と今俺の席に座っている赤ちゃん、あいちゃんのお世話をしながら頑張ってきました。得意教科は政治経済、部活は鉄道研究部です。鉄道とか交通が好きなので、どこかお出かけの際はご用命ください。よろしくお願い致します」
大橋「琴乃くん達は、3人で協力し合ってるの?」
たく「そうですね。愛央と俺、そしてあいちゃんの3人で1つの物事を成功させてきたので」
大橋「そうすると、どうやって呼んだらいいのかい?」
たく「普通に匠とか愛央とかで呼んでもらって構いません。あいちゃんは先生に懐くか分かりませんけど」
大橋「分かった。次、愛央さん」
あお「はい!琴乃愛央です!たっくんと同じクラスで副委員長やっていました!チア部所属で、ずーっとたっくんの事応援してます♪現代社会得意だよ!よろしくね!」
あい「ねーねー」
たく「あー。起きちまったかー。申し訳ありません先生、ついでに僕らの妹も紹介していいですか?」
大橋「いいよ」
たく「ありがとうございます。あいちゃん、起きて。行くよ」
あい「きゅぴ?」
たく「改めまして、この子が俺と愛央の妹。あいちゃんこと、琴乃愛華です。まだまだ赤ちゃんだけど、もう今年で2歳。みんなの手助けを去年してたんだよね。文化祭の時になると、あいちゃんからお水貰えたりするよ。よろしくね。優しくしてよ!?泣いちゃうから!」
あい「きゅぴ〜」
大橋「よろしくね」
あいちゃんはミルクを口にするとまた寝てしまった。愛央に抱っこされているので秒で寝ている。
自己紹介も終わり、今日の4時間が終わった。あとは家に帰る・・・だけ?と思ったら愛央が部活のミーティング。さぁ帰れなくなった俺はどうしようかと思った。が、ミーティングは5分で終わったのであんまかかんなかったらしい。
あお「ごめんね!おまたせ!」
あい「ねーねー!ぎゅー♡」
あお「あいちゃ〜ん♪待たせてごめんね!」
たく「おかえり。じゃあ帰ろうか」
あお「うん!」
スキップしながら帰る愛央と一緒に家に帰ると、昼飯が机の上に。これを食べて午後過ごしてとの事か。
家に着いていつものパーカーとジーパンに着替えた俺は早速パソコンに向かった。少しパソコンで調べ事をしていると、チアリーダーのように可愛いプリーツスカートに着替え、赤いポンポンを持った愛央とあいちゃんが来た。
あい「にーにー!」
たく「どしたぁ?」
あお「あいちゃんがね、ワープロ検定の練習をしているたっくんのことを応援したいって言ったの!」
たく「・・・そこまで言われりゃお前らが何したいか分かったぞ」
あお「やっぱり?」
たく「応援させて、だろ?」
あお「うん!」
たく「その為だけにハーフアップ作ったんだろ?」
あお「うん!」
たく「あいちゃんもしたいの?」
あい「あいたん、にーにーおうえんちたい!」
たく「ワープロ検定って7月やぞ。4月の頭からやるんか」
あい「きゅぴ!」
その後ひたすら打つ俺に愛央とあいちゃんの応援は止まらない。イヤホンをしてて集中していても、結構間違えてる。
あい「きゅぴきゅぴきゅぴぴ!」
あお「フレ!フレ!たっくん!」
たく「・・・・・・・・・・・」
あお「ずっと黙ってるね・・・」
あい「きゅぴ・・・ひっく・・・」
たく「よし10ふぅん、ありがとね。目標500行ったわ。さてさて、あいちゃんはお昼寝かな」
あお「たっくん!500文字打ったの? 」
たく「正確には526。まぁでも合格だな。誤字脱字1個も無いし。さぁ泣く前に寝かせておこう」
俺はそう言うと、あいちゃんを抱っこして布団に連れていった。横になると、あいちゃんはすぐぐっすり。愛央は「かわいい〜」って言っていたがこの寝顔は誰に似たのやら。
1時間後、あいちゃんが起きた。俺と愛央はつきっきりであいちゃんの面倒を見ていた。
あい「きゅぴ・・・」
たく「起きた起きた」
あい「きゅぴらっ・・・」
あお「あーいちゃん♡」
あい「あい!へへっ/////」
あお「だいすきっ♡」
あい「あいたんも♡」
あいちゃんは起きたらまず愛央とハグ。そうしないと愛央もあいちゃんも頑張れないから。あいちゃんの体力は大体6時間。お昼寝しないと持たない。だから寝た後に愛央とぎゅーってすると元気になるのだ。
ひたすらパソコンと向き合って4時間、夜になったので飯を食べ、寝ることにした。俺のことが大好きな愛央とあいちゃんは、ぐっすり。俺は編集をしながら、2人の子守りをしていた。金曜日なので夜中まで作っていると、2人は頑張る俺を励ましたい。そういうことなのかもしれないと知った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます