第5話ㅤ初戦闘

 あとステータスで気になる箇所は残SPという所。

 ステータスポイントって言うくらいだし、ステータスに割り振れるんだろう。


 今のレベルが3で、SPが6だから......1あがる毎に2か3貰えるんだろうな。初期レベルが1だったのか0だったのかは、今となってはわからないけど。次にレベルアップしたらわかる事か。



 さて、自分のスキル構成だと防御力は必要ない気がする。それなら他に振った方がいいよな。


 物攻、敏捷に3ずつ振ればいいかな。魔法は覚えていないから、今の時点で魔攻に振る必要性は皆無。

 攻撃を避ける必要は無いから敏捷って必要無いかもだけど、早い敵に追いつけずに削られまくる結果になったら情けなさすぎる。


 これで様子見をしてみて、余裕がありそうなら幸運も上げてみればいいか。


 ──────────────────────────────


 吉持ㅤ匠


 Lv:1


 HP:100%

 MP:100%


 物攻:1→4

 物防:1

 魔攻:1

 魔防:1

 敏捷:1→4

 幸運:1


 残SP:6→0


 スキル:

 ステータスチェック

 血液貯蓄ㅤ残5.1L

 不死血鳥

ㅤ■■■■■■


 ──────────────────────────────


 しっかり振れた。よかったよかった。

 それと血液の残量が5.1Lに増えていた。この少しの時間で0.1も増えるなんて凄いな。

 一定値が幾らかわからないし、再生の時に消費する量がどれくらいなのかわからないけど、これは有難い仕様だ。

 もし強い敵が出てきてそいつを倒しきれなくても、時間置いて血が増えればまた挑む事ができる。相手が全回復する前に。


ㅤこれで、もう一度挑んだ時に相手が全回復していたら詰むかもしれないけど、行動パターンや攻撃パターンを知っている状態で挑めるのは大きい。


「アハハハハッ! いいぞ! 楽しい! これなら一方的に甚振られる必要もない!!」


 今までほとんど味わった事の無い感情に突き動かされ、階段を早足で下りていった。



 ◆◇原初ノ迷宮第二層◇◆



『第二層にスキル持チノ侵入者ヲ確認』


『原初ノ迷宮ヲ最優先で融合サせマス』


『世界融合ヲ一時停止』


『後五分デ原初ノ迷宮の融合ガ完了シマす』


『本措置ニよリ世界融合ノ為のリソース不足を確認』


『世界融合ヲ一時凍結』


『原初ノ迷宮完成後、168時間後ニ世界融合ヲ再開シまス......暫くオ待チ下サイ』


 アナウンスの後に、迷宮の空間が歪み始めた。


 自分が立っているのか、浮かんでいるのか、上下左右が全くわからない......


 五感が狂う。そのクセ意識だけはハッキリしているからタチが悪い。


 気持ち悪い......こんなものが後五分も続くのか......




 ◆◆◆




 完了のアナウンスが響き、揺れ? が治まった模様。

 しかしまだ揺れているような錯覚をしてしまう。気持ち悪い......


『迷宮融合ニ巻き込ンデシまッタお詫ビトシてスキル:状態異常耐性Lv1ヲ付与シまス』


『ソレでハ原初ノ迷宮、完全版ヲお楽シみクダサイ』



 状態異常耐性が付与されたおかげか、気持ち悪さは治まってきた。

 これは......多分だけどかなり良いスキルだよな? 怪我の功名というべきか......前後不覚状態で延々とシェイクされ続けられた甲斐があったと思っておこう。


 まだ少しふわふわした感覚があるが、歩く事に支障はなさそう。なのでこのまま完成した迷宮を進んで行こうと思う。


 迷宮が完成したおかげなのか、薄暗かった洞窟内が普通に明るくなっている。道は一本、脇道は無い。


ㅤ二度死んだ事でどこか精神がブッ壊れているのかな......怖さは全く無い。楽しみ。


「アハハハ、どんな事が起こるんだろう......楽しみだなぁ」


 一本道をそのまま進んで行くと、軟体生物っぽい雰囲気の蠢くモノが複数見えてきた。

 ......これは、スライムってヤツなのかな? RPG序盤のお約束モンスター。



 近付くにつれ全貌が明らかになってくる。半透明な灰色のゼリーが五体。


 ステータスチェックは声に出さなくても......


 いけるみたいだ。


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 アシッドスライム

 Lv:5

 ──────────────────────────────


 ちゃんと書いてあったけど、やっぱりこれしか見えない。酸で出来たスライムとか二層で出てくる敵じゃないだろ......


 レベルはあっちの方が高くて数も多い。

 武器になるような物は無いので、酸に素手で挑まなくてはいけない。


 まぁ......何かあっても体は修復されるし、修復にどれくらいの血液消費なのかを見極めるには十分。


 現在の血液貯蓄は5.7L。


 自分の血液の残高を確認してから――



ㅤ何の工夫も無く、正面からアシッドスライムへと殴りかかった。



 格闘技の経験の無い素人の大振りなパンチ。敏捷がスライムよりも勝っていたのか、見え見えなテレフォンパンチでも敵に当てる事ができた。


 アシッドスライムに拳が当たった瞬間、拳に焼けるような痛みが走る。だが、拳を引く頃には綺麗さっぱり元の拳に戻っていた。


 五匹のスライムからは敵と認識されたらしく、こちらに敵意が飛んでくる。


 そこで一度引いて血液残高を確認すると5.6Lに減っていた。


 拳が焼け爛れるレベルだと0.1L減るらしい。


 最初の一匹が何発で倒せるか......そこが勝負の分かれ目だろう。



 ......都合のいい夢かゲーム、それと現実の可能性が半々くらいかなと認識していたけど、痛みがやけにリアルだから、普通に現実と認識しておいた方がいいだろう。

 それならそれで面白い世界になり、以前よりも生きやすいからいいか......と、気持ちを切り替え、先程一撃を与えたスライムへ追撃を与えていく。


 スライムは動きが遅いので、余程油断しなければ攻撃を食らう事は無い。

 酸を飛ばしてきそうだからそこは注意しておこう。


 二発、三発と殴りつけ、四発目を当てた所でスライムは原型を維持できなくなり、スライムから水溜まりへと姿を変えた。

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