心地良い文章。これが文学というものなんだろうか。タバコの匂い。グラスのなかの氷の音。洒落た音楽。言葉が、それらを感じさせる。心地良い。ずっと浸っていたくなる。
普段触れない世界の文章。その一言。きめ細やかで、張り巡らされて、読む人の心を疲弊させてしまう、そんな硬く厳しい文章と捉えました。私のように、普段から多くの書を読まない人間にしてみれば、長時間集中して読める文章ではないんじゃないかな、と失礼ながら思いました。しかしながら、硬さの中に含まれる作者自身の伝えたい情景、それがはっきりと表すことができており、読み慣れない私も惹き込まれてしまいました。大衆文学ではない、純文学としての当作品に評価を送ります。
一見して”普段読まない文章”なのに読みやすい。読めば読むほど文章に吸い込まれていくようで、それでいて読み終わるとすんなり消化できる。そんな不思議なショートショートです。