第29話 変わらないものと変わっていたもの

「………じいちゃん、Actorに行くのか?」


『ん?まぁな』


飛行中にローズは気になって九郎に話しかけた。


「大丈夫なのか?急に…」


『ま、大丈夫だろ』






Actor


「………」


カイザーは司令室をウロウロと動いていた。


「カイザー、少し座ったら?」


「そうしたいんだが…」


「出来ない…か」


「ま、カイザーのはまだマシだな」


「どういうことだ?」


「シズが寝込んだ」


「あー」


「暁が看病してるが未だに起きないそうだ」


「そりゃあ…な」


「今日で3日目か」


「まったく、どこほっつき歩いてるんだか」


ローズが基地へ行ってから3日が経過していた。


「ただいまー」


このタイミングでローズが帰ってきた。


「「遅いぞ!!」」


「す、すまん」


「……で、その後ろの奴は?」


カイザーは手を後ろに下げて銃を構えていた、不審な動きをすればすぐに撃つといった感じだ。


『はじめまして、ローズのおじいちゃんです』


アーツ姿で現れた九郎は自己紹介をした


「「………はぁ?」」


「やっぱ駄目じゃねぇか」


『上手くいくと思ったんだがな』


「名前言わないと分からねぇって」


『マジか、隠しとこうと思ったのに』


「さ、どうぞ」


『…ブルーローズだ』


「誰だそれ?」


カイザーは誰だそれ?と言った感じだが、それに対してベルはというと…


「う…………嘘…嘘だ!そんな訳がない!」


『本当なんだが…』


「とにかく、不審者は出て行ってもらうぞ」


『むぅ……あ!』


「何かいい手があったのか!?」


『コンパクト・レールガン』


「な!なぜそれを!組織の最重要情報だぞ!」


「「ほへ〜そうだったのか」」


『どうだ?信じてくれるか?』


「…コンパクト・レールガンのことを知ってる人間は少ない、だが、ローズがそう言うなら信じる…いや信じます」


『ありがとう、ベル』


「な!なぜ私の名前を!」


『それはお前が、俺の妹の子孫だからだ』


「「……え?」」


「ほほう…となるとローズとベルは親戚なのか?」


『遠いがそうだ』


「えぇ?ベルさんが?マジ?」


「なんで嫌そうな顔をするんだ」


『にしても…本当に似てるな』


「そ、そうなんですか?」


『あぁ、喋り方から考え方まで、だが顔はたける譲りだな』


「剛?」


『旦那の方だな』


「へぇ〜」


「その…私の先祖は凄い人だったんですか?」


『そうだな…特別凄いって訳ではなかったが、シンデレラに引けを取らない実力者だったな』


「そ、そうだったんですね!」


『それと、剛の方は会社員だったな』


「「「普通〜」」」


『だが、あいつは人一倍ユリアに尽くしていたな』


「ユリア…その人が私の先祖様なんですね?」


『そうだ』


「となるとシンデレラは誰の子孫なんですか?」


『こいつだが?』


九郎はローズの肩を叩いた。


「「えぇ!?」」


『俺とジュリアの子孫だな、だがまだまだひよっこだがな!』


「くっ…まだ入りたてなんだよ」


『そういえばまだ一年も経ってなかったな』


そんな話をしていると…扉が勢いよく開いた。


「ローズ!」


「ちょっ!シズちゃん!」


なんとシズがローズに勢いよく抱きついた。


「グホォ!」


「どこ行ってたのよ!」


『ほう…この子が…』


「シズ、体調は大丈夫なのか?」


「あ、大丈夫ですベルさん」


「そ、そうか」


『元気だな〜、カレンとジュリアを足して二で割った感じの子だな』


「だ…誰?」


最初に暁が気づき。


「ふ、不審者ー!!!」


その後にシズが気づき。


『どこだ!?』


九郎がクリアリングしだした。


「「あんただよ!!」」






カクカクシカジカ。



「な、なるほど」


「義祖父様でしたか」


「結婚もしてねぇけどな?」


ローズは否定するが…


「お似合いだと思うが?」


「ベルの言う通りだ」


他二人がお似合いだと言った。


『そうか…まさかもう縁談に来るとは…おじいちゃん感激だよ』


「味方が居ねぇ…」


『にしても不思議な話だな』


「何が?」


『陽炎の話から聞いていた、シズにかけられた契約が既に破棄されている』


「「「「「え?」」」」」


『契約には二種類ある』


「ど、どうしたんだよ急に」


『まず一つ目が鎖型の契約だ』


「鎖型?」


『鎖はあくまでもイメージだ、

鎖型は対象者の自由を縛り付ける』


「それがシズの契約?」


『いや、こいつには対象者を殺すことは出来ない、対象者に対する罰は一番酷いもので指一本が飛ぶだけだ』


「それでもえげつないが!?」


『そして最後の契約が、条件付きの契約だ』


「条件付きの…」


『条件付きの契約には対象者の自由を縛ることはないが、契約者が任意に罰を与えることが出来る、それが』


「…死」


『正解だ、しかしこの契約には文字通り条件が付いている、その条件をクリアしないと契約を破棄出来ない』


「その条件がなぜかクリアされている…って事ですね?」


『ああ、俺はこの契約システムに関していろいろ知っている、それ故に条件を知ることができる…が』


「が?」


『………シズにかけられた条件を言おうか?』


「ああ」


『…………あー』


「な、なんだよ、勿体ぶらないで言ってくれ」


『………対象者との性行為』


「「「「「…………は?」」」」」


『対象者との…』


「い、言わなくていい!」


「シ、シズちゃん!?」


「ど、どういうことなんだ!?シズ!」


「一体いつの間に…」


「「…///」」


他の者が困惑する中シズとローズは赤面し俯いていた。


「ま、まさか…ローズお前…」


「シズちゃんと…」


「ヤッたのか?」


「だ、だが!いつクリアされたかは不明だろ?」


『四日前となってるぞ』


「………」


「ローズ…」


「…………………た」


「あ?」


「……しました」


「「「ローズ!」」」


『流石………とは言えないな』


「うぐ……」


「ローズ……」


「ち、違うの!」


シズが急に立ち上がった。


「シズちゃん?」


「わ、私が…襲ったの」


「「「…はぁ!?」」」


『oh……マジか』


「ローズが戦いに行くって言ったから…せめても…って」


「…ローズ本当か?」


「ノ、ノーコメントで」


『ふ、ふむ…確かに種族維持本能が目覚めることはあるかもだが…』


「シズちゃん…大人だぁ」


「暁ちゃん!?」


「先を越されてしまったな…」


「ローズ…お前は漢だぜ…」


「カイザー!?」


「でも!まだ妊娠したとは…」


『おめでとさん、シズ、陽炎』


「「「ま、まさか…」」」


『君たちは親だ!』


「「えぇ!?」」


『いや〜、まさかこの目でもう一度自分の子孫を見られるとは〜』


「う、嘘…」


『嘘です』


「「「「「嘘じゃん!!」」」」」


『面白いな!久々にActorに来てみたが、あまり変わってないようだな』


「そりゃあ、変えるものがないですから」


『そうか、それはよかった…さてそろそろ時間切れだ、地下に戻るとする』


「ああ、お疲れじいちゃん」


『おう、また明日』


九郎は地下に戻って行った。

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