第27話 発見

「よっと…」


ローズは短距離転移でエレベーターの中へ戻ってきた。


「さて…腹が減ったな、食堂に行くか」





食堂


「あ!ローズさん!」


「お、あの時の」


「お久しぶりです、『甘奈かんな』と申します!」


「おばちゃんに名付けてもらったのか?」


「はい!ローズさんはお食事ですか?」


「そうだな」


「でしたらこちらの席へ!」


(だいぶ明るくなったな、心なしか健康そうだ)


ローズは甘奈の笑顔を見れて少し心が安らいだ。




「お、ローズちゃん、ご飯かい?」


厨房からおばちゃんがやってきた。


「ああ、小腹が空いてな」


「ならこれとかオススメだよ?」


「ドーナツか…そうだなドーナツを4つ」


「結構ガッツリ食べるねぇ?」


「これでも少なめだぞ?」


「そうかい?まぁ待ってな」


「ありがとうおばちゃん」


「礼は私が言いたいよ、甘奈を連れてきてくれてありがとうね、今までとは違ってだいぶ楽だよ」


「そうか、そりゃあよかった」


「あの子もやりがいを見つけたみたいだしね」


「ああ、楽しそうだ」








ローズの自室


「ふぃ〜…なかなか美味かった」


ドーナツを食べたあと、ローズは自室のベッドで横になった。


「…そろそろシズを縛った奴を探さないとな…というかもう既に裏切っているはずなのだが…なぜシズは無事なんだ?」


(…考えられることは………シズを縛った奴はActorに居た?)


「…それは考えたく無いな…

となると、わざと泳がせている?

しかしなんの為に…」


(ふむ…わからんな)


「カイザーにシズを縛った最高幹部について聞かなくちゃな」








翌日


「…シズを縛った最高幹部について聞きたい?」


食堂でコーヒーを飲んでいるカイザーにローズは訪ねた。


「ああ」


「訳を聞こうじゃないか」


「疑問に思った、なぜまだシズは生きているのかと」


「…言われてみればそうだな…命令違反になるはず…」


「そう、だから今のうちに倒そうってな」


「…やめておけ、あいつは次元が違う奴は戦闘力を計れない位に強い」


「それを理由にシズを見捨てるわけにはいかない」


「そうだが…」


「教えてくれ、奴の居場所…情報を」


「…ムーン本部にBOSSと一緒に居る

つまり必然的にお前はムーン全てを敵に回すことになる、それでも行くのか?」


「行くさ、約束だからな…男に二言はない」


「…そうか、奴の能力は不明だが気をつけろ、話によると『即死級』だ」


「…即死級」


「少しでもヤバいと思ったら即撤退しろこれは命令だ」


「了解した」








司令室


「…正直出撃させたくは無かったが…聞かないだろ?」


ローズは念のためベルに出撃許可を貰いに来ていた。


「勿論だ、なんと言われようが俺は行くさ」


「わかった、出撃を許可する」


「ありがとう」








格納庫


「お、ローズじゃないか」


「榊さん」


「話は聞いている、これを持っていけ」


一丁の銃を渡される。


「これは?」


「マグナムだ、使いたい時に使うといい、弾は6発だ」


「ありがとう」











上空


「さて…たしかこのまま真っ直ぐだったな」


「止まれ!」


「早速警備に引っかかったか」


「何者だ!所属を言え!」


「あー、Actorの人間だ」


「何?Actorだと?……少し待ってろ」


「お、おう…」


戦闘になるかと思っていたが肩透かしを食らったようだ。


「…よし、付いてこい」


「あぁ」





ローズと警備員は基地の中を歩いていた。


「…なぜここに来た」


「…言わなきゃ駄目か?」


「いや、秘密の一つや二つくらい誰にだってある、言わなくても良い」


「そうか」


「さて、ここからは俺は行けない、

このまま真っ直ぐだ」


そこにはkeep outのテープが張られていた。


「わかった、感謝する」


「気にするな」






「…このまま真っ直ぐだな」


ローズは一本の通路を歩いていった。


「なぜ…通したんだろう…」


疑問でしかなかった。


考えていると扉の前まで来ていた。


「考えていても仕方がないか…」


そしてローズは扉を開けた。


「よく来たな、Actor」


「…何者だ?」


「私はムーンの『最高幹部』エアーだ」


「っ!」


ついにローズは最高幹部の一人を見つけた。


「君が来た要件もわかっている」


「何だと」


「『シズの開放』…だろ?」


「確定だな」


ローズは背中のブレードを抜いた。


「やめておけ、お前と私では戦力差が大きすぎる」


「それはどうかな?」


ローズはエアーブースターを全開にして突撃する。……が


「…死ぬぞ」


次の瞬間ローズの胸から腰に掛けて

斜めの切り傷が出現し出血した。


「なっ!?」


エアーの眼の前で止まった。


「…やめておけと言ったはずだ」


「何をした」


「自分で見極めろ」


「くっ…」


ローズはエアーの能力を見破れるのか…

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