第24話 消えた社長令嬢 中編

「…さて、次はこっち側だな」


俺は毅と分かれ、別方向に聞き込み調査を開始した。










中学校 シズ


「ここが中学校ね…にしても…」


キレイね、まるで新築みたい。


「あー、すみませんActorの者なんですがちょっとお話をしたいのですが」


『わかりました、身分を証明できるものをご提示ください』


「これでどうですか?」


『…確認しました、どうぞお入りください』







面会室


「…という訳でして」


私は3年間担任だった先生に話をした。


ここは専門学校のためクラス換えがないそう…あとここは中高一貫校らしい


「まさか明美が…」


「ええ、そこで私ともうひとりの仲間が明美さんに接点があった人たちをしらみつぶしに聞き込みをしているんです。

何か中学校時代にあった事とかお話していただければと」


「明美はとても良い生徒でした、3年生の頃には生徒会長もしていました」


「なるほど…」


「そういえば、3年生になって二学期くらいに親御さんの会社が有名になりましたね」


「ふむふむ…」


結構最近のようね…


「他になにか…」


「そうですね…あっ!そういえば!

明美の親友の『日ケひがたに』という少女がいました、日ケ谷を当たってみては?彼女は大人になっても連絡を取ってたそうなので」


「わかりました、ありがとうございます」


有益な情報ゲットね!









駅 シズ


「…もしもし?ローズ?」


『ん?何だ?有益な情報でも見つかったか?』


「ええ、『日ケ谷』という女性が明美

さんと親友らしいわ」


『ふむ…わかった、日ケ谷さんの居場所はわかってるのか?』


「ええ、先生に教えてもらったわ」


『わかった、その日ケ谷さんを頼む、俺は少し手が離せない』


「わかったわ、そっちは?」


『とある自営業の探偵と手を組んだ』


「胡散臭くない?」


『そう思うかもしれないがそいつはActorと接点があった』


「へぇ」


『よろこんで協力してくれるそうだ』


「わかった、何かあったら連絡するわね」


『ああ、気をつけろよ』


「ええ、ローズも」


さて…向かうとしますか!









製薬会社 ローズ


「さてと、ここはライバル企業だったな」


もしかしたら腹いせに誘拐した可能性があるしな。


「…明らかに様子がおかしいな」


エントランスホールに来ても

カウンターには誰もいない…


「何かあったのか?」


「…ん?ローズ?」


階段からアーツ姿の暁が降りてきた。


「暁か?なんでここに居るんだ?」


しかもこいつ完全武装だし…


「それはこっちのセリフよ?」


「暁君、こっちは何もなかった」


「ありがとうございます

フリーダムさん」


「ちょっと待てぇ!!

なんでタスクさんがいるんだよ!?」


しかもタスクさんまで完全武装だし!


「ローズ君!?」


「え、知り合いなの?」


「あ、ああ、だが何でここに…しかも暁と一緒に…」


「今は共同でここの調査をしていてね」


「調査?」


「ああ、なんでもこの製薬会社、

『生物兵器』を製造しているという噂が流れていてね」


「生物兵器?」


「おそらくバクテリアや

ウィルスなどの兵器だと睨んでるよ」


「そんな物が…」


「隊長!こちらへ!」


部隊の隊員に連れられて行ってみると






製薬室


「これは?」


何だこの半透明の試験管は?


「殺人ウィルスです」


「…やはりか、使われた形跡は?」


「ありません、まだ未完成のままだったみたいです」


「ふむ…」


にしても恐ろしいな………ん?


「タスクさん、その試験管見せてください」


「ん?ああ」


…これは!


「どうしたんだい?ローズ君」


嘘だろ…でもこのラベルに書かれている企業名は…


「…坂本生薬」


間違いない…ターゲットの明美さんの親が経営している製薬会社だ!


「っ!シズか!」


急いでシズに電話をかける


『な、なに?そんなに声上げて』


「最悪だ!坂本生薬は生物兵器を開発してやがった!」


『なんですって!?まさか…そんな!』


「今どこにいる!」


『今は日ケ谷さんの家にいるわ…』


「どこだ!?今すぐそっちに行く!」


『え、ええ!わかったわ』


最悪だ畜生!











日ケ谷家 ローズ


「っ!シズ!」


「ローズ!」


「えっと…」


この人が日ケ谷さんか…


「すみません急に…俺はローズと言います」


「あ、はい…それで何の御用でしょうか?」


「シズに話をしにきまして…」


「ローズ、彼女が『明美』さんよ」


「…は?」


「わ、私が明美です…」


「日ケ谷さんは今出かけてるのよ」


「何だと…」


「明美さんは父親から逃げて日ケ谷さんの家に来たらしいわ」


「…私…お父さんに…」


泣き出してしまったか…


「ただいまー…って明美?」


「りーちゃん…」


この人が日ケ谷さんか…


「明美から離れて!」


「待て!俺たちは!」


「りーちゃん!この人たちは悪い人たちじゃない!」


「…本当?」


「本当…シズさんとローズさんはActorの人よ…」


「Actor…」


「それに関して俺が保証するぜ」


「誰!?」


「おいおい!忘れたのかよ、毅だよ」


「毅さん…?毅さん!?」


「嘘…毅さんなの!?」


二人は毅の知り合いなのか?


「よ!ローズ、よく見つけたな」


「毅も早かったな」


念のため毅に場所を伝えておいてよかった。


「え、ちょっと待ってローズ、誰?この人」


「電話で言った自営業の探偵だよ」


「明美、大きくなったな」


「っ…毅さん!」


安堵したのか毅に抱きついた。


「おおっと…怖かったな」


「私、私…お父さんに…注射器で…」


「里夜も、よく明美を匿ったな…

昔は臆病だったお前が…成長したな」


「毅さん…」


「さて、ローズ…これから明美をどうする?」


「…ここに残す」


「え!?ローズ?どういうこと?」


「Actorには渡さない、事件が解決するまではな」


「え?どういうこと?」


「明美さん、注射器は打たれたか?」


「いいえ…まだ打たれてません、寸前で逃げ出しました」


「よし、シズはここに残って明美さんと里夜さんを守れ」


「え…」


「俺は坂本生薬の社長を捕まえてくる」


「どういうこと?」


「さっき電話で言ったろ、社長は生物兵器を開発してたってな」


「…まさか…実験に自分の娘を…」


「…可能性は高い」


「そう…わかったわ」


「頼むぞ、明美さん、こいつをこき使ってくれ」


「え、あ、はい」


「毅さん、二人を頼んだ」


「任せろローズ」


自分の娘を実験に使うだなんてな…

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