第23話 消えた社長令嬢 前編

「…難しいな」


「「あ」」


ローズとシズはテレビゲームに夢中になっていた。


「…これで53敗か」


「というか、あんな縛りプレイでここまで行けるほうがおかしいのよ」


「物足りなくなったんだ」


「ローズはMなの?」


「刺激に飢えてるんだよ」


「そう……ん?」


シズの携帯電話が鳴り出す。


「はい?…ベルさん?…はい…はい…わかりました」


シズは通話を終了すると。


「ローズ、司令室に行くわよ」


「ん、了解」








司令室


「すまないね、実は二人に頼みたい

依頼があってね」


「「依頼?」」


「ああ、依頼主はとある製薬会社の

社長でね。

依頼内容は、『失踪した娘を探してほしい』とのことだ」


「ちょっと待ってほしい、それは警察に話せば良いんじゃないか?」


「それがな、警察が捜索を中止したんだ、おそらく迷宮入りしたんだろう」


「諦めきれずActorに依頼したと、ということですね?」


「そ」


「なるほど」


「二人に頼みたい…頼めるか?」


「なんで俺とシズなんだ?」


「二人は潜入に向いているし、万が一襲われたとしても戦闘出来るからな」


「なるほど、わかりました」


「ローズ、君は?」


「勿論、承るさ」


「頼もしいな、さて捜索範囲だが…」











1日後


「ここね」


シズとローズはビル街にやってきた。


「そうだな、捜索対象者は

『坂本 明美』年齢は20歳

評判は良く、求婚者も多かったらしい」


「ふむふむ、となると結婚を蹴られた人が拉致、もしくは殺害した可能性が高いわね」


「ああ、あくまで可能性だがな」


「さて、どうやって探す?」


「そうだな……聞き込みするか、手始めに親しい人物に聞き込みをしよう」


「なら二手に分かれたほうが良さそうね」


「そうだな…ならシズはこのリストにある人物たちを頼む、この人たちは

学生時代に親しかったらしい」


「わかったわ」








小学校 シズ


さて、まず近かったのはここの小学校ね、明美さんはここの現教頭先生が担任だったみたいね。


「失礼します、Actorの者ですが、調査のため入ってもよろしいでしょうか?」


流石に不法侵入はイケないしね、ちゃんと正面から入らなきゃ


『わかりました、なにか証明出来るものはありますか?』


「これでどうですか?」


私はActorの証明書を示した。


『…ありがとうございます、どうぞお入りください』


ちゃんとわかるのね、門が開いたわ。








接客室


「はじめまして、教頭の『山手』です」


「はじめまして、Actorの『シズ』ですコードネームですが」


「それで、Actorの方がなぜここに?

調査と聞きましたが」


「実はここの元生徒の坂本 明美さんが突然失踪しまして、小学校時代に担任をされていた教頭先生にお話を伺おうと思った次第です」


「明美さんですか…懐かしいですな

あの子は才能の塊と言っても過言では無いほどいろいろな事をやっては賞を受賞していました」


「なるほど…虐めとかは?」


「無かったですね、むしろ虐められていた子を助けたりするほど正義感の強い子でしたよ」


「なるほど…それでは家庭問題とかは?」


「聞いてませんでしたし、そんな素振りもありませんでした」


「そうですか」


となると小学校時代は関係ないのか…そりゃあそうよね、そんなに根に持つことないものね。


「…ありがとうございます、それでは」


「ええ、早く明美さんが見つかることを願ってます」









商店街 ローズ


さて、聞き込み開始だな。


「この人は見ましたか?」


「う〜ん、見てねぇべなぁ」


「ありがとうございます」





「…ふぅ〜」


コーヒー飲みながら考えるか…


商店街の人たちは失踪した時間帯には営業していた…しかし見ていない。


「…となるとここには来てないということだな」


さて…次は……スナック街か






スナック街


「この人は見ましたか?」


「ん〜、見てないわね」


「私も〜」


「ありがとうございます」


まず一軒目は無し…っと。


「…次は」




「この人は見ましたか?」


「見てないわね」


「そうね」


「ありがとうございます」


ここも駄目か…


「待って!」


お!ここに来て有益な情報か!?


「もし人探しをするなら…この人に聞いてみて」


店の人が昼から酒を飲んでいる男性を指した。


「…んぁ?何だ?」


たけしさん、この人に見覚えは?」


「……社長令嬢じゃねぇか」


「っ!知ってるんですか?」


「ああ、何度か会ったな」


「この人を最近どこかで見ましたか?」


「…いや、知らねぇな」


「そ、そうですか」


「調査か?」


「そう、人探しです」


「…すまねぇママさんたち少し外してくれるかい?」


「ええ」


店主たちは後ろに下がった。


「…坊や、何者だい?」


「…Actorの人間だ」


俺はあえて口調を変えた。


「…なるほどなぁ、なら話は別だ」


理解してくれたらしい。


「俺はActorに借りがある、一生返せないほど大きな借りがな」


「…ほほう」


「俺は『探偵』なんだ、自営業だがな」


「ほう…」


自営業の探偵…デジャヴか?


「実は俺もその子の失踪は知っててな少し興味がある、手伝わせてくれ」


「勿論だ、探偵がいると心強い」


「よろしく頼むぜ、名前は?」


「ローズだ」


「よろしくローズ」


「ああ…これは依頼料だ」


一応3万円は手渡した。


「ほぅ、なかなか話が分かるじゃねぇかローズ」


「商売してるなら金を払うのは当たり前だろ?」


「にしては、少し多くねぇか?」


「オマケだと思っておいてくれ」


「くっくっ、ますます気に入ったぜ」


「さて、まずはどう探すかだな」


「ああ、だが俺は単独で動くぜ、ここに居るといろんな奴が来るんでな、ここで俺は情報を集める」


「わかった、何かあったら連絡してくれ」


携帯電話の番号を書いた紙を毅に渡した。


「了解だ」

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