第21話 来客

「…ベルさんに貸してもらったはいいが面白いのか?」


ローズは自室でベルに借りたゲーム機やソフト一式を睨んでいた。


「ローズ?居る?」


シズがドアをノックする。


「ん、今開ける」


「おはようローズ」


「おはようシズ、何用だ?」


「お届け物を渡しに来たの」


シズは小さな小包をローズに渡す。


「何だコレ」


「この間ローズが助けた女の子に渡してくれって渡されたの」


「ふむ、まぁなんだ中に入れよ」


「おじゃましま~す」





「…開けるぞ?」


「うん」


梱包を外していくと…


「「マグカップ?」」


ピンクと青のマグカップが入っていた。


「なぜに?」


「ん?なんか紙切れが…」


底に挟まっていた紙切れを拾い読み上げる。


「えーっと『ローズ様へ、シズ様と一緒に使ってください。

助けてくださってありがとうございます』…だってよ」


「え、私にも?」


「何でだろうな?」


二人は気づいていないが裏に…


『お二人の結婚報告、待ってます』

と書かれていた…




「まぁ、仕方ないし、貰っとくわ」


「そうしてやれ、あいつもその為に用意したんだろ」


「というかあの子まだActorに来て2日よね?どこからお金が…」


「あー、何となく金の出どころがわかった」


「どこ?」


「食堂のおばちゃんだろ」


不正解、正解は娼婦館で働いていた頃の残り金である。


「その説濃厚そう」


「全く…」


「それはそうと、ローズってゲームするのね」


「いや、あれはベルさんに借りた」


「へぇ〜、あ、これやったことある」


「お前はゲームしたことあるのか?」


「うん、ムーンの時にカイザーさんに勧められて」


「面白いのか?」


「まぁ、人によるわよね」


「そうなのか、俺は戦闘シュミレーションしかしたことないからゲームというものがよくわからん」


「いや、戦闘シュミレーションは

ゲームじゃないし」


「…なぁ、シズ」


「何?」


「一緒にゲームしないか?」


「いいよ」







1時間後


「ふむ、まぁ楽しかった」


「そうね、まさかあそこまでとは」


テレビにはGAME OVERの文字が…


「反射神経めちゃくちゃ使うな」


「いや、あれ隠れながら撃ち抜くものだから、普通一斉砲火食らってるのに正面から突破する人居ないわよ?」


「そうなのか?」


「そうなのよ」


「そういうものなのか」


「そういうものなの」


「楽しそうだな、ローズ」


後ろからカイザーが話しかけてきた。


「不法侵入だぞカイザー」


「鍵かけてない奴が悪い」


「カイザーさんは何用で?」


「ローズに召集があるぞと、ベルに言われてな、伝えに来た」


「わかった、シズそれやってて良いぞ」


「わーい」


「「子供かよ」」


「まだ子供だもん」








司令室


「失礼します、ローズを連れてきました」


「ローズです……え…」


そこでローズが見たものとは…


「久しぶりだね、ローズ君」


タスクであった。


「タ、タスクさん?なぜ…」


「ベル殿が君の話をしてくれたのさ」


「そ、まさかローズと知り合いとは思ってなかったけどね」


「ベルさんはいつからタスクさんと

知り合いに?」


「ほら、娼婦館の調査にローズが行ってた時に、リングの人たちとその館をどうするか話してたの」


「そこで、ローズ君の話が出てきて今どうしてるか聞いたのさ」


「…それで知り合ったと」


「そ、でタスク君は何の用だい?」


「僕はローズ君を見に来ただけだよ」


「へぇ〜、本音は?」


「…司令官の愚痴を言いに来ました」


「ほほう、聞こうじゃないか」


「それなら俺も」


「なら俺も聞きたいな」


ベルとローズ、いつの間に居たカイザーがリングの司令官の愚痴に興味津々だ。









3時間後


「なるほどなぁ」


「悪化してません?タスクさん」


「ああ、ナイフさんもだいぶ限界みたいだよ」


「ナイフか…懐かしいな」


「カイザーの知り合いか?」


「昔のダチだよ」


「へぇー」


「そういえばActorはリングと敵対してるのか?」


「いや、敵対はしていない」


「強いて言うならライバルだよ」


「「そうなのかー」」


「「そうなんだよー」」


「さて、ローズ君僕と模擬戦しないかい?」


「はい?」


「いいなそれ、やれよローズ」


「面白そう!」


「えぇー…」


「僕はやってみたいけどね」


「…わかりました(能力は使わないようにしよう…)」


ローズ対タスクの模擬戦が始まる

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