第20話 神崎式戦闘術

「ほう、お前はカタギじゃねぇとは思ってたが…何者だ?」


「…警察だ」


「ほう?なるほど…ということは俺を逮捕しにきたのか」


「そうだな」


「ま、俺はここのBOSSでは無いが…」


「…本当か?」


「ああ、BOSSは今出張中でな」


「…」


「ま、俺は俗に言う、ヤクザってやつだ」


「なるほど、よくわかった(となると早く撤退したほうが良さそうだな)」


ローズは増援を危惧し、早々にケリをつけることを決めた。


「「…」」


両者銃を構え…


「!」


ローズが持っていたハンドガンを投げつける。


「な!?」


男はハンドガンを避けるが。


「おらぁ!!!」


避けた際に隙が生じ、巴投げされてしまった。


「ごふッ!」


「ふぅ」


「痛えなぁ!!」


ヨロヨロと立ち上がった。


「受け身取りやがったか」


「てめぇ、どこでそんな戦闘術を!」


「それは言えねぇな」


「ちっ、まぁいい」


男は銃を構える。


「死ねば意味が無くなるしな」


そして、拳銃から弾が発射される。


「そうかもな」


それを…ローズは短距離転移で躱す。


「何!?いつの間に!?それにどうやって銃弾を避けた!!」


「教えられねぇ…な!」


全体重を乗せた重い一撃を、男の顔面に放つ。


「ガハッ!?」


男は数十メートル吹き飛び気絶した。


「何の音だ!?」


「しまった!逃げるぞ!」


「うぇっ!?」


ローズは投げたハンドガンを回収し、少女を米袋のように担ぎその場から退散した。








Actor 司令室


「…で、その少女を連れ帰ってきたと」


ベルはローズと連れ帰ってきた少女を睨む。


「ああ、何か知ってそうだったからな」


「…ローズ、従業員に重要な情報を渡すわけないだろ?」


「そうか?」


「…まぁ、聞いて見るか…あー、君」


「は、はい」


「あの館で何をしていた?」


「か、身体を売ってました」


「ふむふむ、つまりそれは男に女を売ると解釈していいかな?」


「はい」


「よし、じゃああの館にはどれだけの従業員が居た?」


「えっと…二十人ほど…」


「なるほど、では君のように、幼い子どもも居るのかい?」


「いえ…私が最年少です」


「ふむ、わかった」


「あの、私はこれからどうなるんですか?」


「君は警察に引き取られる」


「なら…私を…私をここで働かせてください!!」


少女の一言に二人はポカーンとしてしまった。


「「…はぁ!?」」


「お願いします!!」


少女は土下座までして悲願した。


「ど、どうする?ベルさん?」


「う、う〜ん…働く…か」


「わ、私は一応家事なら…」


「…う〜ん」


「あ、そうだベルさん

食堂のおばちゃんの所で働かせるのはどうだ?」


「あ〜、そういえば人手が欲しいって言ってたな」


「とりあえずおばちゃんを呼び出しますか」


「頼む」


ローズは放送機を使って

食堂のおばちゃんを呼び出す。








「はい、何か用?」


「ああ、彼女をおばちゃんの下で働かせようと思ってな」


「ふむふむ、あんた名前は?」


「わ、私の名前はありません…」


「どういうことだい?」


「生まれたのがあの館でして…両親もわからないんです」


「…ベルちゃん、この娘私の好きにしていいかい?」


「まぁ、部下としてな?」


「いや、『娘』として扱うのよ」


「「はぁ!?」」


「可愛そうじゃない、両親もわからず名前もわからずって、だから私がこの娘を育てるわ!」


「お、おば様…」


「私の事はお母さんだと思ってね!」


「は、はい!お母様!」


「「ちょっとまてぇ!!?」」


「ありがとうございます!ローズ様!私は…今幸せです!」


「そ、そうか…なら良いか…」


「はぁ〜、わかった、じゃあよろしく頼む、おばちゃん」


「あいよ!行くよ!あんたにはこれからいろいろ覚えてもらうからね!」


「はい!お母様!」


二人は司令室を出ていった。





「…はぁ〜、疲れた」


二人はソファーに倒れ込むように座り込んだ。


「全くだ、それとローズ来週に来客が来る、その時に少し顔を出してもらう」


「わかった、それとあの館の件はもう終わりか?」


「ああ、これだけあれば十分だ、あとは警察とリングが何とかしてくれる」


「わかった…あ、そうだベルさん」


「ん?」


「ベルさんの趣味って何だ?」


「私の趣味?そうだな…最近はよく

アニメとか見てるな」


「それ以外は?」


「そうだな…あ、ゲームとか?」


「ゲームか…やったことないな」


「え…マジで?やったことないのか?」


「ああ、興味が無かったから」


「そうか…ならやってみるといい、

ただし任務放棄とかするなよ?」


「しねぇよ」


「ならいいんだがな…」

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