第19話 身売りの少女
Actor ローズの自室
「さて…ここが俺の部屋か…広いな」
ローズは必要最低限の物しか置かないタイプの人間なのでとても広く感じる
「…趣味を増やした方が良いのか?」
ローズの主な趣味は映画やアニメ鑑賞しかなく、テレビとプレイヤーがあれば事足りていた。
「…そういうのはわからんな…カイザーに聞いて見るか…」
するとActorで配布された携帯電話が震えだした。
「ん?ベルさん?」
何事かと応答して見る。
「はい?」
『すまないね、緊急招集だ、司令室に来てくれ』
「了解しました」
司令室
「すまないね、君に緊急の任務が入った」
「と、言いうと?」
「なんでも、とある地域で、禁止されてるはずの娼婦館が判明したらしい、その館に君単独で潜入してもらいたい」
「なるほど…潰せばいいんだな?」
「そこまでしろとは言ってない、ただ情報を集めてほしいんだ、その情報を元に警察が動くことになっている」
「警察?連携してるのか?」
「ああ、そうだったね、君にはActorについてまだ何も話してなかったな」
ベルはホワイトボードにいろいろ文字を書き出した。
「まず、君が最初に所属していた組織リングは国が正式に認めている
それで様々な武器開発が許されているわけだ」
続いてベルはムーンに関して書き始めた。
「続いて、ムーンだがこれはテロ組織だ、つまりリングとは真反対の組織だそのためリングが出動して捕縛、やむを得ない場合は殺害だな」
「捕縛?したことないぞ…」
「なんだと?まさか…君…」
「…
「…なるほど、となるとあの司令官か…全く昔から趣味が悪いな」
「知り合いなのか?」
「昔にな、さて話が逸れてしまったな」
話を戻し、続いてActorについて書き始めた。
「で、我々Actorは国と連携して罪人の捕縛、暗殺
重要人物の保護、警護、警備
災害の支援など、様々なことに協力している」
「自衛隊じゃ駄目なのか?」
「自衛隊は暗殺が出来ない、理由としては表に出るからだ、嫌だろ?自衛隊が進んで人殺しをするなんて」
「なるほど、つまりActorはその汚れ仕事を変わりに受け持つ…って認識で良いか?」
「そうだね、それと初代のBOSSについて話しておこうか?」
「知ってるさ」
「え?嘘…カイザーは誰も知らないって…」
「九郎だろ?」
「…誰?」
「あれ?」
『あー、すまん俺の本名は知らない奴のほうが多いんだ、『ブルーローズ』で通ってた』
「…ブルーローズだろ?」
「…嘘…誰に…誰に聞いたの!?」
「そんなに驚かなくても…」
「むしろ何でそっちのほうを知ってるのさ!?」
「え?BOSSじゃないのか?」
「その人!ブルーローズは
Actor歴代最強の隊員だ!」
「…そうだったのか…」
「初代BOSSは『シンデレラ』って人よ」
『ちなみにそいつが俺の嫁な』
「まじかよ…」
「?」
「いや、何でもない…」
「そうか、しかし君は不思議だね…」
「…それはそうと、任務の話を…」
「おっとそうだった、と言っても簡単さ中に潜入して重要そうな情報だけ持って出てくれればOK」
「わかった、とりあえず潜入して情報を持って帰ってこい…って事だな」
「その通り、期待してるよ」
「ああ、任せろ」
「それと、またそのうち君の部隊メンバーと話をしてもらう」
「わかった」
「よし!それじゃあ出動!」
娼婦館前
「…ここか」
ローズは電車を乗り継ぎ目的地まで到着した。
「アーツが使えないのはなかなか不便だな」
目的は潜入調査なのでアーツはとても目立ってしまう。
「さて…入るか」
ローズは扉を開けた…
「ごめんね〜未成年には入れないの」
「…」
潜入すら出来なかった。
「…侵入するか」
「うん、無理そう」
かなり厳重な警備で侵入出来そうにない。
「…誰?」
「っ!?」
振り返ってみると、ローズと同じ歳に見える少女が洗濯かごを持って立っていた。
「お客さん?」
「あー、そのなんだ、俺は…」
「そうだよね、だって君、私と同じ歳に見えるもん」
「…何が言いたい」
「未成年でしょ?」
「そうだな」
「じゃあ入れなかったの?」
「…そんなところだな」
「なら、私と入る?」
「…意味がわからん、何で俺を入れる?」
「君、お金持ってそう」
「…話が噛み合わん」
「とりあえず入ろ?」
「…」
渋々ローズは裏口から少女と入ることに成功した。
「…なるほど、情報通りだな」
ローズは歩きながら呟いた。
「ここでは女性が体を使ってお金を稼ぐ所なの」
「…そうか」
「で、君はお金は持ってるの?」
「…あるにはあるが」
「なら、私と"寝る"?」
「…」
「どうするの?」
「…(情報を得るには最善なのかもしれない、も迫られたら俺が断れば済むしな)」
「どうするの?」
「わかった」
「じゃあこの部屋ね」
案内された小洒落た部屋には、ダブルベッドとガラス張りのシャワー室、などなど
「じゃあ私、シャワー浴びるから」
「わかった」
ガラス張りのシャワー室で少女はシャワーを浴びる。
「…(躊躇なくよく入れるな、羞恥心は無いのか?)」
「出たよ…君、覗かなかったね」
少女はバスタオル一枚で出てきた。
「なぜ覗く必要がある」
「変わった人だね」
「俺は普通の人間だ」
「そう、じゃあ脱ぐから、君も脱いで」
少女はバスタオルを払う。
「…」
「どうしたの?」
「なぜこの仕事に就こうと思った」
「…私は頭悪いから、しかもお金もない、だから…体を売ることにしたの」
「…そうか」
「君は何でここに来たの?」
「…秘密は無しか?」
「うんん、そういう人もいっぱいいるし大丈夫」
「そうか」
「で、君は脱がないの?」
「…許せ」
ローズは少女の首に注射器を打ち込む
「っ………」
注射器には即効性の睡眠剤が入っている。
「…まさかこんな少女までもがいるとはな」
ローズは少女にバスタオルを巻き直しベッドに入れ、布団をかけた。
「…もしもし?ベルさん?」
ベルに電話をかける。
『はいはい、何か掴めた?』
「はい、この館に少女が居ました」
『少女?』
「はい、身売りをしてました」
『…わかったわ、もう少し探索出来そう?』
「やってみます」
『気をつけてね』
「はい」
ローズは静かに部屋を出た。
廊下
「…警備は薄いな」
見回りの者は一人として居らず、監視カメラが付いているだけだった。
「……ここが経営室か」
ドアノブを捻ろうとするが。
「…鍵がかかってるか」
ローズは仕方なく諦め、別の部屋に移動してみることにした。
「……止まりたまえ」
謎の男に静止させられた。
「…」
「君…もしや…」
「っ…」
「…未成年か?」
「…そう見えるか?」
「ああ、それにエントラの監視カメラには君が写っていた…となると」
「…」
「侵入者か」
男は拳銃をローズに構えた。
「ちっ!」
ローズも護身用のハンドガンを構える
「「…」」
「ご主人様!!」
先程の少女が走って間に割り込んだ。
「君は!」
「お前がこいつを入れたのか?」
「はい…」
「なぜ、入れた」
「少しでも、私が稼がないと…と思いまして」
「…そうか、だがこいつは銃を構えた、つまり俺に敵対するということだ」
「お待ちを!」
「下がってろ」
「でも!」
男は拳銃を発砲し、少女の頬を掠める
「次は無いぞ」
「っ!」
少女は腰が抜け、その場で座り込む。
「少女に銃を向けるか!」
「これは教育だ」
「叩き直してやる!」
ローズは再び銃を構えた。
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