第18話 Actor

夢の中


「派手に気絶したな」


「ご先祖様、体の節々が痛いんだが…」


ローズはなぜか夢の中なのに筋肉痛に悩まされていた。


「それで、覚醒した気分はどうだ?」


「…何となく何かが吹っ切れた気がする」


「そうか、さてお前の能力は…」


ご先祖様はローズをじっ…と見つめる


「…」ゴクリ…


「『短距離転移』だな」


「短距離転移?」


「文字通り短距離なら連続して転移できる能力だな、だが体力消費量も多い、使い所を選ばなければいけないな」


「なるほど、それにしてもご先祖様には助けられてばかりだな…」


「…ご先祖様か…よし!陽炎!」


「ん?」


「俺のことは『九郎』と呼べ!俺の

本名だ!」


「ご先祖様と似た名前だな」


「だろ?それにこの名前を使えばいろんな事ができるぞ」


「例えば?」


「そうだな…例えば地下の部屋のロックが俺の名前とか」


「セキュリティガバガバじゃないか」


「いや、そうでもないぞ…血液からDNAを取り出してそれと照らし合わせる必要があるしな」


「思いの外頑丈だった」


「それはそうと、どうする?お前が目覚めるまでかなりかかりそうだが」


「いや、普通に夢を見させてほしい」


「つれないな〜陽炎〜おじいちゃんとお話しよ〜ぜ」


「…」


「ま、それはそれとして、ここで俺の戦闘術を教えこんでやってもいいんだぞ?」


「え、良いのか?」


「ああ、それにこれは元からお前に教えるためだったし」


「なら…よろしくおねがいします」


「よし、少しハードだが頑張れよ!」









1時間後(正確な時間は不明)


「はぁ…はぁ…はぁ…」


「ふぅ…なかなかやるな」


陽炎は倒れ、肩で息をしている、一方で九郎はというと、少し呼吸が乱れたくらいだった。


「何で…肉体改造されてないのに…

こんな…差が…」


「そりゃあ俺も覚醒してるからな」


「だが…おかしいだろ…」


「ん〜そうか?じゃあ俺の能力を特別に教えてやろう」


「…何で能力を?」


「『操魂そうこん』だ」


「操魂?どういうことだ?」


「文字通り魂を操れる、あとは生きてる人間から魂を取り出すこともできるそれを利用すれば今みたいに身体能力を無理やり強化することができる」


「そんなめちゃくちゃ能力を…」


「だが、目覚めたのは八十歳の頃だがな」


「遅かったのか…」


「そう、だからこうやってお前の魂にしがみついていろいろ教えてやってる」


「ありがてぇ」


「そこは気持ち悪いじゃないのか?」


「今まで助かってきたのに気持ち悪いとか言うか?普通」


「ふ、優しい子に育ってくれておじいちゃん感激だよ〜」


「…何でおじいちゃんを押し付けるんだ?」


「そりゃあ俺は自分の孫を見る前に死んだしな、それに俺からすれば、魂に唯一干渉できた血族だからな」


「そうなのか?」


「ああ、お前の母親にも干渉しようとしたが、出来なかった」


「そうか…」


「だが、なぜか陽炎には干渉できた、これは神様のおかげなのかもな」


「神なんているのか?」


「いるぞ、ちゃんとな」


「どんな感じの見た目なんだ?」


「そうだな…意外と昔の絵とあまり大差はない感じだな」


「へぇ〜、会ってみたいな」


「そのうち会えると思うぞ?」


「そうなのか…楽しみだ」


「さて、休憩はおしまいだ、続きやるぞ」


「…へぇーい」










3日が経過


「さて、そろそろ目覚めか…」


「ありがとうじいちゃん」


「おう!頑張れよ!」


「ああ!」










???


「…ぅん」


ローズは目覚めると病室のような所で眠っていた。


「…さて、ここはどこだ?」


辺りを見渡すが特徴的なものはなかった。


「とりあえず出てみるか」


ローズは扉を開け廊下を歩いていた。


「…何やらここらへんが騒がしいな」


扉を開けるとそこは…


「…失礼しました〜」


女湯だった。


「何で女湯って書いてねぇんだよ!?」


危うく、いやもうアウトだったかもしれない。


「…別の所に行くか」





歩き回って30分


「ここは…食堂か?」


食堂のような所に出た。


「お!ローズじゃないか!」


「カイザー!」


「3日も寝た気分はどうだ?」


「夢見最高だ!」


「そうか!それは良かったな!」


「ええ、そうね、女湯覗いたんだもんね?」


「…ローズ、どいうことだ?」


「…すぅ〜…申し訳ありませんでした!!!」


ローズは土下座を繰り出した。


「へぇ〜、土下座ごときで済むとでも?」


暁もやってきた…


「…本当に申し訳ありませんでした!!!!」


「はぁ、まさかおはようじゃなくて

ごめんなさいを聞くことになるだなんてね」


「失望したよ、ローズ」


「ぐぅ…」


「ま、まぁ事故っぽいし、許してやれ」


「「駄目です」」


「そ、そすか…」


「さて…ローズにはお仕置きが必要のようね…」


「お、御手柔らかにおねがいします」


「それはシズちゃん次第ね」


「ふふふ…さて…何をさせようかしら…」


この瞬間ローズは(ああ…女は怒られせると怖いんだな…)と1つ教訓を得た。






「…シズさん…これはいったい?」


「シズさんじゃなくて様でしょ?」


「…シズ様…」


ローズは執事服を着せられ、執事ごっこをさせられていた。


「ふ…ふふふ…」


「暁…笑ってないで助けろ」


「いや…無理…ぷぷ…」


笑いを必死に堪えていた。


「今日一日私の召使いね」


「…かしこまりました…シズ様」


「うん、わかればよろしい」


「さて…3人揃ったし、ローズは

Actorのトップに会いに行くぞ」


「はい」







Actor 司令室


「よく来たね、私はベルだ」


Actorのトップの人物は、金髪で、

おっとりとした女性だった。


「はじめまして、ローズだ」


「話は聞いているよ、それで?覚醒したのかい?」


「まぁ、一応」


「能力はわかるかい?」


「『短距離転移』だ」


「ふむ、なるほど…それと1つ質問していいか?」


「ああ」


「…その執事服は趣味かい?」


「これはお仕置きで着させられた」


「そ、そうか、似合っているぞ」


「ありがとう」


「さて、君には特別隊の指揮をとってもらう」


「俺が?カイザーじゃ駄目なのか?」


「それも考えたが、カイザーが君を推薦した」


「…何で俺が…」


「君はシズを救いたい、その一心で戦っている、だったな」


「ああ」


「ならば指揮能力も身につけておくべきだ、身につければ君の目論見をよりスムーズに進められる」


「…」


「引き受けてくれるか?」


「…わかった、役立たずだと思えば

カイザーに変えてくれよ?」


「はははっ!わかった!約束しよう」


ローズは退室した。

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