第15話 対立

上空


「初めてね、ローズと一緒に仕事に行くのは」


「そうだな、前なら想像も出来なかった」


「っていうかそのゴツいの何?」


暁はリベリオンの背中のコンパクト・レールガンを指さす。


「これは『コンパクト・レールガン』だ、威力は試し撃ちして確かめる予定だ」


「へぇ〜」


「あ、そろそろ着くよ」







ムーン第2倉庫


「ここか?ていうか誰もいないんだが」


「おかしいわね…誰かは居るはずなんだけど…」


「動くな!」


ん?誰か居たようだな。


警戒態勢を取っているのかハンドガン一丁でこちらを静止させる。


「まて、俺たちは…」


「ムーンだろ!!」


「そのマーク…リング!」


機体の肩部にリングのマークがあった


「落ち着け…俺たちはお前に危害を加えようと思ったわけでは…」


「うるさい!どうせそう言っていつも仲間を殺すんだろ!」


「落ち着け!俺たちは危害を加えようとしたわけではない!」


「っ!」


リングの隊員が発砲した。


「くっ!」


直撃したが、リベリオンの装甲に阻まれ体は無事だった。


「大丈夫!?ローズ!」


「なんともない」


「こいつ!」


暁がブレードを抜き斬りかかろうとする。


「待て!暁!」


おそらくこの隊員は…


「…お前、ここで何があった」


「白々しい!貴様らが殺ったんだろ!俺の、俺たちの家族を!」


「…すまなかった…許されるわけが無いだろうが…すまない…」


「「ローズ!?」」


「な、何なんだ貴様は…なぜ…頭を下げる」


「っ…俺たちが殺った訳ではない…だが俺の『家族』が殺ったのなら…謝罪する…」


「っ…」


「ここは…退いてくれないか?」


「っ…撤退命令は出ている…わかった退こう…」


リングの隊員は去っていった。


「ローズ…」


「全く…お人好しね」


「これが一番だ、ナイフさんやタスクさんが来れば…ますます戦いづらくなる」


「そうね…」


「さて…どうなったか確認しましょうか」






倉庫内部


「うわぁー…」


文字通り惨状だった…


「酷いわね…」


「リングは酷いことを…」


「いや、一概にリングが悪いとは言い切れない…どちらも悪いんだ」


「…戦争では負けたほうが悪になるのよ…それがこの世の心理」


「ならその心理を破壊してやる」


「「…」」ポカーン


「何だよ」


「…ふ、ふふふあははっ!」


「おい!暁!」


「ごめんごめん!思いの外壮大なこと言うから面白くて」


「良いと思う、私は賛成」


「シズ…」


「さて、この惨状をカイザーさんに報告しなきゃね」


「そうだな…」








倉庫入り口


「ほう…貴様がムーンの」


「「「!?」」」


誰だ!?こいつ!?


「全く…野蛮人しかいないのか」


「野蛮人?」


「何だ?それも分からんのか?」


「ほぅ、煽ってくれるな」


「ローズ、余計な戦闘は…」


「待ってろシズ暁、話をつけてくる」


「気をつけてね」


「ああ」




「で、何のようだ」


「ふむ、こちらにムーンの機体があると聞いてな、それで見に来れば…何だ!この惨状は!」


「それに関してはすまなかった」


「すまなかったで済むわけがあるか!それで済むほどこの世は簡単ではない!」


「…」


「全く、これだから野蛮人は…謝れば済むとでも…」


「野蛮人で悪かったな」


「ふん、どう言おうが変わらん、貴様らを殲滅することはな!!」


「っ!」


ムーンの隊員はブレードを即座に抜き斬りかかってきた。


「っ!」


「ローズ!」


「待て!こいつは俺が相手する!」


「っ、わかったわ死なないでよ…」


「ま、危なくなったら私達が飛び込むから」


「そりゃあ、ありがたい!」






「ふん、やるな野蛮人」


「うるせぇなさっきから、野蛮人野蛮人って」


「違わんだろ」


「あっそ」


あー俺こいつ嫌いだ。


ブレードを抜いて斬りかかる。


「貴様っ!」


「ほらほら!遅いぞ!正義の味方!」


「くっ!機体性能か!」


「お前は何を言ってるんだ?まだ

エアーブースター吹かしてないんだぞ?」


「な!?」


「さっきから期待制御でお前は

ガンガン使ってるが俺は自身の

身体能力と技術だけで渡り合ってるがな?」


「言わせておけば!」


「ま、結論から言えば…お前は弱い」


「っ!貴様ぁ!!」


隊員は怒り狂ったのかブレードを振り回す、それを全て回避し…


「…(試しに使ってみるか)」


背中にマウントされたコンパクト・レールガンを右手脇下にまわし、構える


「ん?」


突如ヘルメットのHUDに電撃のマークが現れた…おそらくエネルギー量だろう。


「もう少し横にして…」


「貴様だけは殺す!」


「ここだ!」


隊員の真横にコンパクト・レールガンを発射した。


バシュンと静かに飛翔体が駆け抜け後ろの建物が爆音をたてて崩れた。


「…」


「…」サァー


「…えげつねぇ」


「な、何んだ…貴様は…」


「いいか、お前の上司に伝えておけ『氷河の女帝と薔薇、忍者には手を出すなと、手を出せば殺す』とな」


「は、はひ…」


「行け、目障りだ」


隊員は去っていった。


「ええ…威力おかし過ぎない?」


「ああ、使った時に思った」


「でもカッコよかったよ」


「ありがとうシズ」


「っていうか私のこと忍者って言った?」


「機体の見た目が完全に忍者なんだよ」


「私はくの一が良かったんだけど!」


「変わらんだろ」


「変わるわ!」


「ふふ、さ、帰ろ?」


「「はーい」」

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