第10話 激突、輪と月

「さて、そろそろ出撃の時間だ!」


「よし!フリーダム隊準備は良いか!!」


『おう!』


「お、ルーキーも来たな」


ルーキーは遅れてやってきた。


「すいません、榊さんと話してたら遅れました」


「また榊と話したのか」


「ええ、今度はこれを貰いました」


ルーキーは前回貰った

アサルトライフルの下部に取り付け式のグレネードランチャーを見せた。


「…凄えの貰ったな」


「ええ」


「それじゃあ出撃だ!」












日本海 上空


「敵影なし」


「おかしいな…一向に見えないぞ」


「…(まさか…あのステルス機が…)」


ルーキーはそう思いバックパックの

エアーブースターを全開にし、高速飛行をする。


「ルーキー?」


「(やはり!居た!)」


眼の前に空間のズレがあった。


つまりそこにステルス機がいる。


「そこだ!」


ブレードで切り裂く。


「ぐおおお!?」


バックパックを失ったインヴルが

ステルスを解いて現れた。


「おい!敵襲だ!」


フリーダム隊の2番機が素早く敵襲を知らせた。


「敵機は!?」


「インヴルだ!ルーキーが1機やってくれた」


「ナイス!ルーキー!」


フリーダム隊が高速で飛び回りインヴルを次々に撃墜する。


「よし、これで全部だな」


「ええ…っ!」


「ナイフさん!?」


突如ナイフが狙撃され右手を負傷する。


「2番機と3番機はナイフさんを撤退させろ!!」


「「了解!!」」


「4番機と5番機は撤退の掩護をしろ!」


「「了解!」」


「ルーキー君!」


タスクがルーキーの方に振り向くと。


「久しぶり、ルーキー君」


「氷河の女帝!」


「私もいるよ」


あのとき地下で戦った暁と氷河の女帝がいた。


「ちっ!」


「タスクさん!」


「ああ!二人でなんとかする!」


「ふふふ、面白いわ…かかって来なさい」


「さて、勝負だよ!」


「くっ(僕に相手が務まるのか!?)」


「…(殺すしかなさそうだな)」










「先手必勝!」


暁がタスクに飛びかかる。


「早い!」


それをギリギリで避ける。


「やるね~君も完成品?」


「僕は人間だ!」


ブレードを振るうが受け止められる。


「へぇ〜なかなか強いじゃない」


「くっ…」


「お、あっち見てシズちゃんとルーキー君が戦ってるよ」


「ルーキー君…」










「久しぶりねルーキー」


「出来れば会いたくなかったがな」


「冷たいわね」


「テロリストにはな」


「テロリスト…ね」


「なんだ正義の味方ってか?」


「それも違うわ」


「じゃあなんだ」


「神の従者よ」


「…オカルトじみてるな」


「ま、私もあまりオカルトには詳しくないのよね」


「なのに神の従者ってか」


「笑う?」


「嫌なら笑ってやるよ」


「本当に私たちのこと嫌いね」


「そうだろ、ガキの時の記憶すら奪われて気がつけば実験、実験が終われば薬物投与…そんなことを平気でやる

お前らが俺は大嫌いだ」


「…もしかして貴方も被害者?」


「も、ってなんだ」


「…私も同じよ、研究所は違うけど、やられたことは同じ」


「…共感して手加減しろってか?」


「そうとは言ってないわ、ただ同じであるってことよ」


「何がだ」


「貴方にも私と同じ、特殊能力を使えるはずよ」


「…使えるなら苦労しないさ」


「まだ目覚めてないだけ、貴方はおそらく私よりも、強大な能力を得るはずよ」


「…」


「私と同じなら…おそらく命の危機を感じるとき…目覚めるはずよ」


「なぜそれを教える、自分が不利になるだけだぞ」


「有利不利以前に私は貴方に共感できる、非人道的な行いは私は許せない」


「ならなぜムーンにいる」


「…命令だからよ」


「命令?」


「いい、私たち完成品…いや『改種』は完成したと同時に主に絶対服従の

命令が与えられるの、私は貴方のように見逃されなかった、だからムーンに出荷され、その命令を刻まれた」


「…その命令を破ればどうなる」


「…脳を焼き切られ即死する」


「…命令の破棄方法は?」


「私の死亡、主の死亡、そして主自ら命令の破棄をする」


「その3つか?」


「ええ、他には無いわ」


「そうか…」


「なに?助けてくれるの?」


笑いながらシズはそういった。


「お前が望むならな」


「…」


「お前が望むなら、お前をその

『束縛』から解いてやる」


「…」


「お前次第だ」


「…駄目なの、私が貴方に解いて欲しいと願ってしまったら…命令違反で脳を焼かれる」


「…そうか」


「だから…戦うしかないのよ」


「…わかった」


ルーキーは背中のブレードを2本抜き構える。


「ありがとう」


シズは氷の剣と、自身の周りに

氷の短剣を生成する。


そして。










「くっ!」


「あははっ!やるね!」


「一方的に攻撃され続けてる!このままでは!」


「そうだよ、このままだと死ぬ」


「…(ルーキー君なら…どう乗り越える)」


「隙きあり!」


暁は突撃してくる。


「ここだ!」


「なっ!?」


それをタスクは腕をまわし捕まえる。


「一方に来るならわかる!」


「くっ、離せ!」


「このままバックパックを…」


「やらせるか!」


エアーブースターを全開にしてタスクを跳ね除ける。


「くっ!」


「はぁ、はぁ、まさか捕まるとは…」


「あと少し…だったんだが」


「…本当に油断ならない」


2人はブレードを構えぶつかり合う…しかし。


「「!?」」


突如2人は吹き飛ばされた。


「あれは…」


「ルーキー君!?」


ルーキーとシズがエアーブースター

全開でぶつかり合っていた。


「「くっ!」」


目に追えない速度で飛行しブレードをぶつけ合う。


「次元が…」


「違う…」









「殺す!」


「やれるものならな!」


「貴方を…殺す!」


「命令か!」


「そうよ!」


ブレードがぶつかる度に火花と閃光が発生する。


「私も…救って欲しかったわ!!」


「…」


「なのに…なのに!」


「もういい…」


次第にシズの勢いが弱まっていく。


「…なのに…」


「…」


「…うぅ…」


無線越しでも泣いているのがわかる。


「…」


ルーキーはブレードを背中に仕舞う。


「何を」


「斬れ」


両手を広げる。


「何で」


「斬って、俺を持ち帰れ」


「っ!」


シズはブレードでルーキーの体を斜めに斬る。


「…」


ルーキーはそのまま海に落ちた。


「ルーキー君!」


「油断!」


「くっ!」


『タスク!撤退しろ!』


「司令官!ルーキー君が!」


『一度撤退しろ!敵襲を多数補足した!』


「見捨てろと!?」


『去ってから探索隊を派遣する!

とりあえず撤退しろ!!』


「っ!了解!」


「やらせる…」


「暁ちゃん、待って」


「シズちゃん」


「帰投するわ」


「…わかった」





後に探索隊を派遣したが…ルーキーは発見されず。


ルーキー…死亡。

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