第9話 変化

「…これは見たことのない技術で作られてるね」


ナイフは研究室に例の腕パーツを持ち込み研究してもらっていた。


「ほう…どんな技術だ?」


「そうね…一言で言えば

『オートリペア』ね」


「『オートリペア』?」


「文字通り自動修復能力よ」


「そんなことが可能なのか?」


「ええ、試しにレーザーで傷つけてみるわね」


そういうと研究者は隔離室に腕パーツを置きレーザーを起動した。


「おいおい、かなり傷つけたな」


「見てなさい」


すると深く傷つけたはずなのにみるみる間にまるで時が戻っていくかのように修復された。


「すげぇ…」


「ね?」


「これウルフに着けられないか?」


「無理ね、謎のIDで設定されてるから接着出来ないの」


「そりゃあ残念」


「ま、この腕パーツを研究したら似たような機能は作れると思うわ…ふふ

楽しみ」


「そうか…楽しいのなら何よりだ」


「嬉しいプレゼントありがとうね

ナイフ」


「そりゃあどうも」









1ヶ月が経過した。


「ふう」


ルーキーは1人で帰還した。


「ルーキーも1人の任務をこなせるようになったな」


「進歩です」


「…少しは休めよ?」


「はい、そうします」


そういうとルーキーは自室へ戻っていく。


「…若いのにそんな苦労するもんじゃねぇよ」


「ナイフ、どうだルーキー君の様子は」


「司令官か、あいついつか身を滅ぼすぞ」


「…そうか君がそう思うとなるとかなり深刻なようだな」


「ああ、あいつぐらいの歳は今頃青春してる頃だ」


「そういえば十七歳だったな」


「もったいねぇよ…若いのに」


「そうだな、これも時代のせいかもな」


「…全く」









「…さて、どうするか」


「ふふふ、お手上げかい?」


「むむむ」


タスクとルーキーは食堂でチェスをしていた。


「これを…ここに…」


「残念だがチェックメイトだ」


「なっ」


「ふふ、始めて君に勝った気がするよ」


「むむむ」


「…普通に今を楽しんでやがった」


「そうみたいだね」


ルーキーたちをナイフと司令官は見守っていた。


「ルーキー君は過去の記憶が無いからね」


サカキ…」


榊は研究室の研究者だ。


主にアーツの研究を日々行っている。


「そうだったな」


「ルーキー君から話はいろいろ聞いたけど、一番昔が実験台に乗せられた時らしい」


「…壮絶だな」


「全くだ、それとルーキー君は

肉体改造が施されていた」


「やはり」


「おそらく現在のルーキー君は

宇宙飛行クラスのGを生身で耐えられる」


「マジか…」


「あとは、麻酔・毒物・痛み・精神の耐性が備わっている」


「毒物と麻酔はわかるが痛みと精神はどう言うことだ?」


「痛みを感じづらく、精神は感情を制限されると言ったところかな」


「…いくらなんでも非人道的すぎる」


「そうだな…これは止めなくては」


「それと、ルーキー君の戦闘データを見ていて気になるものが」


「何だ?」


「ルーキー君の動体視力が上昇しつつある」


「そうなのか」


「それと、敵に対して容赦が無くなっている」


「おいおい、それって…」


「最近は敵の頭部を飛ばしてる」


「徐々に殺人に慣れ始めてきているか」


「これはどうにもできない、ルーキー君自体の問題だ」


「そうだな」


「今は見守ろう」


3人はボコボコにされてるルーキーを見ながら彼の大人になった姿を想像した。











1週間が経過した。


「さて、ルーキー久しぶりの共同作戦だ」


「フリーダム隊ですか?」


「おう、任務内容は殲滅だ」


「…何処ですか?」


「日本海の上空」


「遠いですね」


「まぁな、中継基地はあるが」


「とりあえず準備してきます」


「おう…」







ルーキーの自室


「…ray-Sの武装は全てOK」


「お、ルーキー君じゃん」


「榊さん」


「ray-Sの確認かい?」


「ええ、数日後には任務なんで」


「ねぇルーキー君、こんな武装はどうだい?」


榊は一丁のアサルトライフルを手渡した。


「アサルトライフルですか」


「そうさ、君は主に近接戦闘だが上空ではこちらのほうが使いやすい時もある」


「しっくり来ますね」


「それはルーキー君専用の

アサルトライフルさ、君しか扱えない」


「ありがとうございます、任務で使ってみようと思います」


「どういたしまして、それとルーキー君」


「はい」


「アーツのパーツがあったら持って帰ってきてほしい」


「1ヶ月前ぐらいにナイフさんが持ち帰ったパーツと似たようなやつですか?」


「話が早いね、そうさこれは私からの依頼」


「わかりました」


「ありがとうね」

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