第192話 前進期② さばきのつぶて
許す事のできないハイドラのエージェント。元A4。
今はA4と順位が替わりA3みたいだ。トラウマと思っていたのだが、いざこの距離で対面しても震えず冷静でいられた。
時間がそうさせたのか、恐怖が無いのがそうさせたのか。
フードを被っているせいで顔が見られず僕が生きているということがバレないのも助かった。
A3が話し出す。
「思ってたより早く来たな。また捨て駒を利用して任務を成功させたか。ん?1・2・3…8人?全員生きてるだと?!お前ら今回3人は死ぬ予定だったんじゃ?」
ファルマがピクッっと動き兄のトゥーマが動きと発言を制したように見えた。
ショウが「予定?そんなもんに振り回されているのか?久しぶりだな、A3。」と声を掛ける。
「フォースか。まだ下位で
そう言ってA3はペアのハイエンドドライバーの頭をポフポフしていた。
「・・・。」
ショウが、
「今回ママの予測にブレがあったのは確かだ。アティウスとMOHの連合部隊にイチゴサイダーがいた。もしかするとゼロに似た能力のやつが
と言って身内には当然、『先行視覚持ちなんていない』と言った風に話を転がす。ナイスショウ!
A3は
「ゼロ様に?そもそもイチゴサイダーの予知系は死んだと聞いたぞ。それならばアティウスも既にハイエンドドライバーもどきを作り出したんじゃないか?どうも最近アティウスに先回りされてる事がある気がする。」
A4が
「証拠がない話を議論しても仕方がないだろう。今は引き継ぎだ。フォースその話はもういい。」とピシャリと会話を終わらせた。
「A3、俺たちは虐殺を食い止めて避難民を誘導できた。途中戦闘が何度かあったが、こちらの負傷者は無し。後はお前達に託すぞ。」
「あー、お疲れさんだな。俺たちが乗ってきたプロペラ機が街の飛行場にある。それで帰ると良い、俺達はそれよりも早い戦闘機で帰るからな。」
「A3の任務内容は?」多少
「新しい実験だ。ザイドラの研究バカ共が新たな技術を生み出した。LNGをSNGに出来る技術。」
「SNG??・・・
左のイヤホンがそっと僕に語りかける。
「LNGはわかりますよね?液化天然ガス。私たちの働きでハイドラが利権を得るであろう報酬です。
それを固体化する技術と見て良さそうです。」
「これは、エネルギー革命になるかもしれませんね。」とまとめられたが正直よく分かって無かったので後ほど詳しく聞こう。
「それで?」とショウ。
A3は「じゃあ質問だ、このくらいの直径約1cmの固体をビスケットの金属コーティングで包んでビー玉サイズにして地上に無数に落下させる。どうなると思う?」
フォースは少し考えて
「落下は速度が付いて地上に
その後、時間を置いてビスケットが硬化をしなくなった頃、常温で気体に戻る性質の為 固体から液体そして気体と状態変化を起こしてガスが膨張して拡散、あたり一帯に天然ガスが充満する。
まさか敵を殲滅する為にそれに火を使って一帯を焼灼するつもりなのか?!」
「おぉ~おしいねぇ!さすがハイエンドドライバー!!焼くのもおもしろそうだ、でも不正解だ!」
A3は楽しそうに
「実は先日
本番は【ほろびのうた】で汚染して使う予定だが今回はヘルサイの毒を撒く作戦だ。」
「何の為に撒くんだ?」A4の質問には怒気が色濃く込められていた。
A3は
「北の国が
「相手はまだ攻撃してきていない!!!それは戦争のルール違反だ!!」とA4が返す。
「ハハハハ!!それは規模が大きいからか?背後に条約があるからか?よく思い返してみろよ、個人ではお前もやってる。やられる前にやる。力を見せつける。普通の事じゃないか?
小さな火種から始まる戦争においてどっちが先に始めたかなんてわかりゃしない。お互いがお互いに『先にやられたのはこっちだ』と主張する。政治家なんて嘘の塊だろ?
それらを悪と言うなら、もはや正義なんて存在しない。すべてが【悪】だ。
そういやゼロ様とペアのイチゴサイダーはこう言ってたな。
『勝った方が正義だ!』って!ハハハ!おもしれ―奴だった!!妙に納得したぞ。
そもそも今回はハイドラではなく、ハイドラに泣きついてきたこいつら避難民の新しいリーダーからの指示で、『キャンプを襲撃
大義名分は後からでも言えるってこった。勝って【
A4!お前は強い!肉体進化をぜずそこまで強い奴はそれほどいない!!WPPを完了させようぜ。俺と進化できない人類どもを
WPP??神様にでもなったつもりか?話していながら悦に浸ったA3を見て虫唾が走った。それにくそっ!!ココノエがゼロとペア??
アークが怖い事を教えてくれる時よく言うセリフ。
「カガミさん、色々言いたい事はあるかと思いますが、これは非常に恐ろしい事ですよ。」と。
「空からビー玉を落とす物理攻撃の後に【ほろびのうた】もしくはヘルサイの毒が膨張&拡散してあたりに充満する。」
アークの言った言葉を想像するだけでヤバい事だと分かった。そしてゲーム内の技で似たようなものがあったからそれが思い浮かんでスマホに打ったんだ。
〔これじゃあまるで、・・・・・・・だ。〕
またもや油断した僕は結構離れていると思っていたエイトに日本語入力を見られてしまい、そのエイトはぼそっとこう口にした。
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