第188話 希鏡期⑧ 復讐のカエル
日本の慈善団体だと思っていたMOHって組織の刺客がここに来るかも知れない!間違いなく朝には顔を出すらしい。
今しがた離れたトゥーマとファルマはメルドに処分されずに済んだ。ママの予測からは逃れられただろうか??考えることが多すぎて一睡も出来ない。彼らの言っている合流時間まであと2時間か、ショウたちが先に来てくれたら助かるんだけど!
と、メルドが話してくる
「おい、どうした?ほどいてくれ、あんたに危害は加えない。任務は失敗だが、こちらからはもう手出ししない!おとなしく帰る予定だ。
MOHの奴が来たらこちらも説得はするが、言う事を聞いた方が良いぞ!あの女は強すぎる!」
女なのか?
「ここの近くにヘリが来る予定なんだ、焚火もあるしそのまま籠城して本部に帰国する。な、いいだろ?」
アークは「悪いけど仲間が来るまで縄は外せないよ。」と返した。僕の仲間の方が早いかもしれないし。
電源が切れる前にアークに丁寧に断ってもらい
「ぁ~あ」と言う返事の後、みんなで静かに時間が来るのを待つ。
アークが
「そろそろ電源をOFFしてください。」と言ってきたので
〔ありがと〕とだけ入力してスマホの電源を切った。
明け方遠くでヘリの音が聞こえる。アティウスか?もうすぐ迎えが来る。
そして、メルド達の言う通り難民キャンプの方向から遂にMOHの人物がやって来た。
それは避難民に隠れる為に羽織ったわざとらしいくらい汚いマントの下からスラッとした足が生えてちょっといやらしさが見え隠れする良い感じの女。ぜひ生足が見たいね。
武器は・・・あれ?武器が無い!!
メルドを連れて攻撃される前に説得をしてもらわなくちゃ!!
隣にいるメルドの手を掴んで一緒に部屋を出る。もうその女はすぐそこだ、
はよ言え!!
砦の入口に来た彼女は10mほど離れたクチバシフードの僕を見て、ぼろマントを脱ぎだした!あの女、小柄だが良い体してるぜ!!おっと!またヴィランのセリフ。
メルドは大声で「Hey!!E-KO!!STOP!!Listen to me!!」と叫んだ!
しかしメルドが拘束されているのを見て僕の事を秒で敵認定してくれたみたいだ。
しゃーねー!君も拘束して別室でボディチェックだ!!げへへ。
しかしここで大きな過ちを犯してしまう。それは、
正直に言おう僕はその時、キレイな足しか見ていなかった。
ナイフを抜いて迎え撃てるようにした時、今までアークの翻訳を頼ってばかりで自分で考えていなかったが少しの
「ヘイ!エーコ!止まれ!俺の話を聞くんだ!」。。。
えぇ~~~~~~!!!!!!!!エーコちゃん!?
こちらに向かって来たのは紛れもなくイチゴサイダーのエーコちゃんだった!!MOHのメンバーなの!?
赤い髪がキレイに揺れ動いたかと思ったらもう目の前まで来ていた!
一瞬で詰められた間合いから放たれる黒い拳が腹に突き刺さり、僕を後ろに吹き飛ばされるビジョン!、
ヤバい!驚きすぎて反応が遅れた!
顔を見せればと思いフードをはずそうとするも攻撃回避が優先されて見せられない!早い!
僕は必死にジェスチャーでストップの仕草をするが全くわかってくれない上に隙を突かれて攻撃の嵐だ!ナイフで躱すも彼女を傷つけたくない気持ちが一層僕を弱く見せた。
少し間合いが出来てフードをはずそうとした時、
「あんたらハイドラに奪われたものが!恨みがあるのよぉー!!!!」と言いながら両手の拳をガンガンぶつけ出した。
ちょっと!ちょっとまってエーコちゃん!それ僕なんだよね!!ここで殺しちゃ後悔しますよ~~!!
メルドは後ろで待て!待て!と言ってくれてる!そうだ一旦落ち着かせよう!
僕はメルドに戻って縄を持って来てもらうジェスチャーをした。エーコちゃんを鎮めてから落ち着いて顔を見せよう!
メルドはよくわからず迷っていたが、理解したのかすぐそこを離れた!
振り返ると金属の拳は赤く高温に熱されているようだった。
な、なんだこれ!?
ナイフで牽制するとうまく躱され涙目の彼女にこう叫ばれた!
「火をね!嫌いな火を使おうと思ったの!!これが私のイレギュラー!!日本語わかんないか!!!」
そうか、苦悩してきたんだ。きっとエーコちゃんもあの日からずっと。
一発喰らって倒れようかな。一瞬そう思った。けど気を失ってる場合じゃない!!
速度が一段と早くなったエーコちゃんの拳に火の追加効果が加わる。見ると受けたナイフの刃が溶けてきた。
これ以上は武器が持たないと思って僕はエーコちゃんに一旦、勝とうと考えた。ビジョンでよく見て大きなケガせず軽く倒れるくらいの攻撃。
殺意があるのかよく見えるビジョンがまんまと僕の誘導に乗って来た。痛みがあまり残らない様に祈りながらエーコちゃんの腕に数発ナイフの柄で打撃を浴びせる。
最後に殴って来た時、攻撃スレスレに軽く左前に転がり足を引っかけて膝から前に倒れさす。いつか謝ろう。
そしてそのままこちらのナイフを突きつけた。完全に悪者だね。
エーコちゃんは涙目でこちらを睨んだが顔を見せれば理解してくれるかな。
やっと無力化して騒ぐエーコちゃんに顔を見せようとしたその時、既に砦の近くでヘリの梯子から降りて来たであろうもう一人の人物が歩いてきやがった。
長い棒にビスケットを垂らしたそいつの右手にはA4が持つような
・・・ヤバい。何かわかんないけどこいつは強そうだ。リーチにしても分が悪い。ジリッと足を半歩下がって姿勢を低くしてナイフを構えビジョンで繰り出される攻撃をひとまず迎え撃とうとしたちょうどその時、左手のリングが光った!!チームの誰かが通信範囲圏内!!やった!!仲間が来る!!
ん?この場合
僕の無い頭で必死に悩んでいたんだろう、エーコちゃんが諦めることなく逆に僕をこかして来た!!!しまった!こっちを見ていなかった!!
「手加減してるの?!ビスケットも無しで!!」とエーコちゃんに言われ、いやいやこれが初期装備なんだよと思って急いで起き上がると
振り下げられた刀がすぐそこまで来ていた!そいつは日本語でこう叫んだんだ
「エーコを!!!かえせぇぇぇぇぇ!!!!!!」
僕はこちらに向って走ってくるそいつの声を聞いた。
ひさしぶりだな。エーコちゃんから離れすぐ立ち上がり思った。
カッコいいぞお前!!
ナイフで斬撃を弾き返し体制を立て直すも心では笑いながらそっちを向く。
何度も何度も威力のある攻撃を弾いて耐え切れず後ろに飛ばされ、腕を切られそうになる所をギリギリで躱す。
生半可な修行じゃこうはならない。あいつはビビるほど強くなっている。
ギリギリ防げるその威力、そのセンス。僕の動きをみじんも漏らさず聞き分けるその
やっぱお前は復讐に燃える
エーコちゃんを助けに来た奴はフードをまくり上げて顔を晒す。
そこには
ヒカルがいたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます