第128話 連繋期③ マイルストーン
「ショウ。あぁ、そうか。・・・もうそんな歳になるのか。そんなに、そんなに時間は経っていたんだな。」
落ち込み床を見つめるゴリ先は初めて見る顔だった。
アークは
「逆に、ハイドラは子供が何とか生きていける環境である。と言うことになります。
劣悪な環境下と言う事は否定できませんが、そこに親が生きていても不思議ではない。そう考えております。
救いでもなんでもありませんが、彼を救う事が目標となればと思い、差し当たって五月さんへ説明させていただいた次第です。」
「アーク。ありがとう。希望が見えた。」
「ええ、その機能を有しています故。」
僕はその会話を聞いている時、何だか不思議な会話だなぁと思ったけど、単に現代科学の進歩についていけてないだけだったのかもしれない。
ゴリ先は俯いていた顔を上げて「こうゆう時が、強くなるチャンスなのかもなぁ」。と言っていた。
「特殊捜査課の警察には私から連絡先を調べて、写真を提供してよろしければさせていただきます。」
「ああ。頼むよ。」とゴリ先の余計な仕事を増やさない隙のないI-AMSのアーク。
君は僕の所有物だから結果、僕が優秀と言う事になるんだよ!わかってるのかぃ!?
最初からアークに先生の電話番号調べて貰えば来なくてよかったんだよなぁ。
あ!!もしかして母さんもアオリちゃんの電話番号アークに調べさせたんじゃないか!?AI悪用疑惑。
大人なんだから法に触れる事はNGでたのむよ!みかん星人!違った 成人だ。
「じゃあ、帰ります!」
その日はそのまま帰ろうと思ったんだけど、
「おい天道!ちょっと付き合えよ。行けるだろその服装で。」
「ギクッ。・・・あ、今日ウチしゃぶしゃぶで母さん一人だから寂しがるし、おいしいお肉買ってたんで帰ろうかと・・・。」
「お前、肉の味わかんのか??」「あ。」出ました!!マヌケオブザイヤー三年連続金賞!!
墓穴堀の名人とは僕の事だぜ!!ボケツホリダー
そこで仲間のはずだったアークが
「今日はみかんさんは遅いですよ。」と言ったんだ。
「へ?」
母さんなんかあるんだな?というかアーク同士でスケジュール同期してる疑惑も浮上。
それって今言わなくてもよくない??
「念の為ご連絡入れておきますので、五月先生に是非お付き合いください。」
ちょっと!!勝手だよアーク!自己チューは僕一人で十分なんですけど!!
次回 エゴナンジャゴ― 裏切りのAI編 突入!
来週もお楽しみに!!
いや違った。
嬉しくも無いのにゴリ先のサンドバックになる為、笑顔で返す。
「喜んで!」
きっと僕の将来は居酒屋の店員だね。
その日の訓練は巻き添えを喰らったツクモと一緒にやる気の出たゴリ先にボッコボコにやられて、青アザが数か所。
でも2人でゴリ先へ有効打が取れるくらいにはなって来たんだ。まぁまぁ強いねツクモも。
遠巻きにカキゴーリの二人も見て若干引いてた。
先生への先読みもかなり手数がわかって来たせいか前よりビジョンで有利に戦える。
少し驚かれたけど、やられ続ける事でアークの様に反復学習をして次回に生かしているのか?
僕はロボットなのか??
帰り道、バカなりに僕は自分が何なのか見つめ直していた。例えば自分がロボットだったら。
って【想像】からいつの間にか【妄想】に変わってて。
自転車を押しながらアークとボソボソと喋る。
「アーク起動。」
「訓練お疲れ様でした。ちなみに今日のオススメのゲームは100万トンのバ」
「いやいやいや!今はそうじゃなくって僕がロボットって可能性ない??」
「まぁ前例が無いものを無いと言い切る事はできませんので0%ではありませんね。俗にいう【悪魔の証明】というやつです。」
「やっぱり!まさかあのワイルドワームズの兵器だったのか!?ホムンクルスか? 無口な人間だと思ってたのに、実は作られた生き物だった。いや、生き物でもなかったのかもしれない。たしか人間型の兵器だった。」
アークが「またゲームの話で妄想してますね。」と言っているけど無視だ。
「あいつは優しい心があった。意志もあった。たった30体の仲間を自分以外全部壊されても前を向いてたぞ!
まぁ僕はそこまで頑張り屋じゃないからロボットとはやっぱ違うかな。でも人間だったらゴリ先にも言われたけどせめて【人の気持ちが、痛みがわかる人間】にならなきゃなぁ。」
よっぽどアークの方が目標に近い様な気がしてアークに聞いてみたんだ。
「ねぇロディ。」
「アークですがなんですか?」今日もいいレスポンスだね。
「アークはワイルドワームズの生体兵器を知ってる?」
「もちろんです。名作ですね。パレステ2でリメイクがありますが、カガミさんは本体を持っていないのでもしかして小型ゲーム機でアーカイブが出来る様にして欲しいなぁとお考えじゃないでしょか?」
「あんた天才だよ。そんな賢い案、思ってもなかったけど、今ちょうどその気持ちになった!」
「誘導してみました。」
「ケッ!操られてただけか。」
「冗談ですよ!メーカーに投書しておきます。」
「まぁいいよ、一つ聞きたいんだけど、あいつはどんな気持ちだったんだろう??」
「あいつと申しますとホムンクルス。つまり作られ物で、人の形をしているロディさんの事ですね。
難しいですねぇ。細かい設定をゲームクリエイター様がお考えならば、その方に直接聞くことが本来の正解だと判断しますが、
仮に立場が、当たらずと言えども遠からずの私が考えるのであれば、
私はメインプログラムとは関係なく、京介さんやカガミさんに優しくしてもらっているので、同じように頂いたやさしさをカガミさんや他の誰かに恩返しできれば一つのタスクは達成となります。
カガミさんを見ていて思う事は、なかなか優しさや愛とは他人には伝わらないものですね。
タスクの達成に
「うう~ん、アークちゃん。話ムズイ。タスクって?マイルストーンって??」
「タスクは我々コンピュータがよく使う【課題】の事で
マイルストーンと言いますのは鉄道などでマイル、
つまり距離の単位ですね、数マイルごとに置かれている標石の事ですがこの場合、タスク達成までの中間地点の意味です。」
あ~中間地点ね。なぜかキノコも取って無いのに中間地点を超えると大きくなるから最初は何でかわかんなかったんだよなぁ。
「ん~~つまり簡単に言うと?」
「ロディさんは別に世界を救おうなんて大それた目的やプログラムは無かったはず。
つらい過去は心にしまって、貰ったやさしさを着実に他人に恩返しすることで、【生きる】意味にしていた訳ですが
他人の痛みがわかるか?わからないか?
と言う点において決して人間である必要はないのです。
それがわかって行動に移せた彼は、同じ機械の私からすると
非常に暖かい気持ちだったんだと推察します。」
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