第127話 連繋期② 脳内ニュースで逮捕

また訓練日でもないのに自転車に乗ってゴリ先に相談する為、道場を目指す。

ゴリ先も特オジも電話番号知らないんだよね~。


僕は港での事件でアークが写真を撮っていた事に気づいてゴリ先に報告にいったのだが・・・。



現地に着いてスマホを見た僕は


「あ、今、走ってる時間か。」

そこには、また入口でアイスを食べて外周マラソンを待つゴリ先がいた。



「どうした?天道。一緒にやるか??」


「先生!昨日はすいませんでした!」

ここは太鼓持ちの達人の腕の見せ所!


「あぁ~反省したふりか??ツクモも天道も無事だからもういいよ。あのあれだ。昨日は大きな声出して悪かった。」ゴリ先は軽いノリで謝ってくる


「え~~~!!ゴリ先らしくない一コマ!!」


また僕は片手でこめかみを掴まれました。


「ウソですウソです!!いててててっ!」




「で今日はなんだ?寿でも見に来たか??」


「え?何でアオリちゃんなんですか??」そう答えるとゴリ先も不思議そうな顔して


「え?いやなんでって、もしかして天道って究極のドンk」


その時丁度、外周を走って帰って来たツクモに

「おっす!」と言い「おっす!!」と返されて。

先生を一瞬無視したんだけど。


言いかけた言葉の続きを言ってはくれなかった。


究極のドン  なんだ?? ドン【キ】か?

激安の殿堂入り!


そうか、先日の模擬戦で実力を認められてゴリ先の中できっと殿堂入りしたんだ!


僕は知らないうちにドラッグ四天王でも倒したのかも知れないな。


初代パチモンの殿堂入りの部屋はあんなに広いのに誰が管理してるのかちょっと心配なんだよね。


パチモン研究第一人者の犬木戸博士が、ずっとあそこにいるってのは、考えずらいし。



とまたぶっ飛んだ妄想をしていると今度はエーコちゃんが外周マラソンから帰ってきた。



ツクモより少し遅れたエーコちゃんに手を振って。

「おつかれ様~」と言った後、


姿が見えないアオリちゃんを考えて

「アオリちゃん今日休みかなぁ。」と一人で呟くとエーコちゃんが寄ってきて、息継ぎをしながら


「アオリは持ってるモノが重くて、ちょっと遅いから手伝ってあげて!」と言いながら小走りで道場の建物に吸い込まれていった。


僕もそう言われると、荷物運びくらい手伝ってあげようかな。って気になって暫く待ってたんだ。



電柱の上でカラスがカァカァ言ってるのを暫く見てたらようやくアオリちゃんがやって来た!


僕は目の前までアオリちゃんが来るのをぼ~~~~~っと見てたんだ。


手を振ったらビックリしてこけそうになってた。



そして気付いた。アオリちゃん、何も持ってなくない??


近寄ってはぁはぁ言いながら息を整えるアオリちゃんに

「重いモノ持ってるアオリちゃんを手伝ってって、エーコちゃんに言われたんだけど。」置いてきたのか??


アオリちゃんは「へっ?」と言って


僕は、(あ、やっぱりどっかに荷物を置いてきたんだな。バツが悪いんだ。)

じゃあ尚更手伝ってあげようと思って


「持とうか?」と言うと


「イヤッ!」と言って


口を膨らまして泣き顔で睨みつつ「うぅ!エーコめー!」と怒りながら両手で胸を隠したんだ。



あ〜確かに重そうだ。。。じゃなくって!


やっちまった。




僕の脳内で夕方のニュース番組が始まった。


【本日未明、ハラスメント容疑では初の中学生が逮捕となりました。


カガミ被告は同級生のエクセレント級の胸を持とうか?などと言いながらハラスメント行為を繰り返す事18回。

警察に対して

「悪気は無かったが、持てるなら持ちたかった。今までモテなかった事の腹いせでやりました。」と供述しているとの事。刑の執行まであと18日です。】18(イヤ)だけに。


そーか。あと18日で世界が終わる。ルドランの秘宝と同じだね!

あ、

夕方のニュースを終わります。





いやいや!!やってねーよ!!




ズボンがもっこりなっていないか心配しながら、変な歩き方でアオリちゃんと一緒に道場に向かう。


道場でゴリ先を捕まえアークがハイドラの写真を撮った事を告げたんだ。するとゴリ先は

「なんで前会った時に言わないんだよ。」と言ってきた。


ですよね。

「すっかり忘れてて。」


道場を出て廊下で話す僕達を尻目に、ツクモとカキゴーリの二人はストレッチをして組み手の準備をしていた。


「アーク起動、この前の港で撮れた写真、ゴリ先に見せたいんだけど。」

すると写真を見せる為に立ち上げたアークが話し出す。


「こんばんわ。五月勝利さん。一連のご報告があります。」


僕もまさかアークがゴリ先に話しかけるなんて思ってもみなかったから、

「どーしたの!?」と聞き、先生も

「おっ、おお、こんばんわ。何だ??」


と焦っていた。

アークは僕らの反応は無視して


「まずは、桃山さんの調査依頼を受理していただき感謝を申し上げます。」

と改めてご挨拶をするとともに以前僕に話した内容である、【桃山一家失踪事件】を説明し出した。


「五月さんが東京で出くわした桃山一家の失踪ですが、かかりつけ医に、確認した所。


奥様が治療の為、薬剤を用いている事がわかりました。


そしてそれによってイチゴサイダーの皆様と同条件の、母体が出来上がり、そこをハイドラに狙われた可能性が、非常に高い事が分かったのです。ちなみに母体の赤ちゃんは心臓が未熟だった為、かかりつけ医の方はそれも心配していました。」


「そうだったのか・・・。赤ちゃんが狙いだったって事なんだな。ありがとう、アークさん。」



「加えて。桃山さん一家うち、1名の生存が確認できました。」と言ったんだ。



「えぇっ!!!」


「誰だ!!!!!太一タイチか!!?」ゴリ先は息を荒げて聞いてきている。


太一ってのは言い方からして知り合いの警察だな。


「いえ申し訳ありません。おおよその年齢と顔認識機能を用いて過去のニュースと照合した結果。」


2人同時に唾を飲んだ気がした。アークが算出した結果は一体何なんだ。





「桃山 太一巡査の当時 一人息子でした 皆様と同年代13から14歳の少年。



名をモモヤマ ショウ と言います。」



僕はハッとなり嫌な汗が出てきた。急に思い出される港での記憶。敵と認識してしまった彼の事。

「うそ、だろ。」



アークは淡々と情報をさらけ出す。


「先日港で起きた事件の、核となる人物。

ハイドラの何かしらの武器の使い手、恐らくハイエンドドライバーでしょうか?

現在の名は





【フォース】


グレイアッシュの髪のフォースです。」

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