第126話 連繋期① 鈍感マン

翌日。


人の気持ちを考える。

「う〜ん。今まで意識してやった事がなかったなぁ。」

独り言の様に地面を見てぼ〜っと歩いていると竜二の家に着いた。


「おはよー!天道てんどうマンでーす。チンチンドンドンチンドンドーンっと!」原家のチャイムを押して

某国民的アニメの真似をすると二階から竜二の兄貴の竜一が顔を出して!


「カガミー!そんなんじゃモテねーぞ〜。」と笑っていた。


僕はすかさず竜一に返事。

「モテたいっす〜!!」と言い笑いながら手を振った。


暫くすると竜二が出てきて。


「竜二おはよ!兄ちゃん休み?」


「昼から実力テストだって。おはよう!カガミ!聞いたぜ!昨日は急に帰ったから!ビックリしたよ。メールしても返信普通だしさぁ。


あ、港の話!ヤバかったんだろ?にしては無傷じゃん!何があったんだ?」


竜二は僕が大変な騒動に巻き込まれたなんてこれっぽっちも思っていなかったのか、ゴリ先からはハイドラへの注意と撫でるほど軽い僕の失態を掻い摘んで聞いただけのご様子。



「まぁ、簡単に言うと、もっと人の気持ちを考えろって怒られたワケよ。絶賛反省中。詳しくは昼休みに4人で集合した時に話すよ。まぁまぁ引くから覚悟しててね。」


「えー聞きたいんだけど。」竜二は不満そうに口を尖らした。


竜二は興味しかないなぁ。


「あっ!そうか!


色んなことに興味がある、

興味を持ったその中に人がいる。

その人が気になる。

その人の気持ちを考える。


やった!人の気持ちを考えるにあたってのロジックを理解してしまった!

僕がゲームにしか興味がないから人の気持ちを考えなかったんだ!」


「いや、それ違うと思うぞ。」と竜二。

「違うの?」


「うん。俺ならそこで終わらない。いい感情を持つか悪い感情を持つか、会話して相手の気持ちを考えると知らず知らずのうちに好き嫌いにぶち当たる気がするんだよなぁ。」


「好き嫌いかぁ。」


「カガミはその一点に関して徹底的に鈍感だろ?なぁ?【鈍感マン】!気を遣うのは上手いんだけど。」


「そうかなぁ。そこまで言われると凹むけど、心当たりが無いからわかんないや。」


竜二は僕見て一瞬止まるとため息をついて

「カガミ、中2だしさぁ、いったん好きな人でも探してみたらどうだ?」


「好きな人ねえ。アオリちゃんなんかタイプだと思うんだけど。あ!もしかしてこれって好きって事じゃ無いの!?」


「まだ違うと思うなぁ。」


「まだ?どこが違うんだよー。」誰か僕にヒントをおくれ!




なんでも無い午前の授業が終わり、昼休み。




ネネちゃんがなんだか楽しそうな目で寄ってきた。

「カガミ君!とうとうなのね!アオリちゃんの事はどう思ってるの!?」目がハートだ。

魅了の状態異常表示。竜二だな。



「えっ、ああ、アオリちゃんはかわいいよね。パチモンの服が似合ってたよ。それよかハイドラにやられてまたマント壊れちゃったよーーごめんねー。」


ネネちゃんは真顔で

「カワイソ。マントなんてどうでもいいんですけど。」


「なんで!なんでなの!教えて!ネネ様!上靴舐めますから!!」


「よけいに嫌よ!あのさぁ紳士!あ、そうだった思い出した。みんなの時間ある時、エーコちゃんとアオリちゃんの武器??相談したいんだけど。」あ、紳士って、呼び方変わった。


「えっ?なに!?何で本人に聞かないの?イメージ的には【ほのおタイプ】と【こおりタイプ】って感じで作って欲しいケド。というか僕の武器は何なの?教えてケロ!!」

もうやだよ〔しゃもじ〕は。


「お待たせ~っと。」

「またネネちゃんに嫌われたか?カガミ!」

ヒカルも竜二もお弁当を持ってやって来た。嫌われてねーし!え?嫌われてねーよね??



お昼ご飯を食べながら竜二が


「で、この前は何があったんだ??」とそこから始まる僕の話に3人ともしっかりドン引きしていたんだ。






「ってなわけで無事元気に帰ってこれましたとさ。めでたしめでたし。」僕は自分に拍手をして話を終わろうと思ったんだけど、


安全担当大臣ヒカルが

「ホントさぁ。巻き込まれ事故ってのはわかるんだけど、相談ないのはチョット悲しいよカガミ。ツクモの考えなしの行動が凄く気になるね。頭脳No.1なのにだ。」


「ネネも若干引いてます。そして頭脳No.2の私ですらツクモ君の行動には不可解さが残るわ。

そもそも何か得るものあったの??単純にやられ損のような話だし、私達の存在がバレたかもしれないからちょっと怒ってもいいかもって思ってきたわ。」


「だとよ。俺も納得いかないけど、終わった話だしカガミが単独で行ったからこそ、被害が最小限に抑えられたのかも知れない。今は後悔するんじゃなくって、次の為に何ができるかを話そうぜ。」


さっすが竜二!僕への信頼が厚すぎて期待に応えられないよ!!

二年になって学級委員長に推薦された竜二はクラスのみんなと仲良くやっててすべてを上手にこなしてる。


一言で言うとできる奴だった。そして委員長の一番の友達が僕である事を周りは不思議がっていた。OMG!



「まぁ、間違いなく。来るね。対策を立てなきゃ。僕がハイドラだったら報復に来るよ。少なくとも案内人の男は警察を連れてきたから消されるんじゃない??」とヒカル。真顔で言うんだね。



「ああ、だから今は警察に保護されてるよ。」と僕が言うと


「当然だよね。」とヒカル。


「警察も大失態じゃん。なんでみんな倒れたんだ?」


「いや、全くわからずじまい。次に同じ攻撃が来てもかわせる自信無いなぁ。想像さえついたらなぁ。帰ってアークに聞くよ。」といつもスマホを入れているズボンの右ポケットを探ってアークがいない事に気付き帰ったらだなぁ。と思っていたその時。



「あっ!アーク!!写真撮ってたかも!」急に思い出した。


「えー警察には写真撮れたこと言った?」


「テヘペロリン。」


忘れてました。

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