第104話 惜春期④ リエ

僕はツクモに協力したい気持ちもあったけど、リスクノーセンキューの気持ちはブレず。

安全ルートの模索を考えた。


「心配なのは日本に僕達がいるって事をハイドラ関係者の【リエ】って奴に晒したことなんだろ?何か対策は?大人に相談は??」


「相談はしてない。一見危険そうだったんだが、リエのアイコンの『イチゴサイダー』が気になってる俺が日本にいるってバレてからも、一切アプローチが無いんだ。問題視されていないだけかもしれんが。


普通にメールを返してきて他愛のない内容で盛り上がったりしてる。この前なんか「愛って何でしょうか?って聞かれたぞ。」


「お~結構痛いね。ツクモみたいに飛び級じゃなかったらアメリカのハイスクール1年生ってたぶん僕らより年上だろ?

ただただ世間知らずで純粋な子って線もあるけど、病んでるって線もあるなぁ。」



「俺を油断させるつもりかもしれないけど、それにしては普通の女の子っぽい感じがするんだ。考えすぎると堂々巡りするんだが、リエって奴はハイドラとは全く関係ないか、もしくは関係はあるけど俺の情報を奴らに話していない。そんな気がする。」



「なるほどねぇ~ハイドラも一枚岩じゃないかも知れないしね、どうも内部分裂か上下関係のある組織、もしくはいくつかのセクションに分かれてる感じがする。 確認できてるだけでも『ザイドラ』って奴らと『レイドラ』って奴らが存在してるみたいだそうだよ。」


「カガミ・・・マジでなんでそんなに詳しいんだよ。」

疑いの目でみられてる。


「あ~」やべー喋りすぎた!しょうがないアークだけは話すか。


「I-AMSって解る?それを持ってる。インタラクティブ アーカイブメモリーシステムってやつ。」


「I-AMSなら去年の初めに発売してるよな?似たやつか??あれって企業用だったような・・・。」


「そそ!そんな感じの機械。それが僕にスマホで情報をくれる。かなり優秀なAIを積んだまるで人みたいなマシンだ。」


「何でそんなの持ってんだよ。結構デカいパソコンみたいなイメージなんだけど。

なんかカガミって色々とチート感あるよな!ずりーなぁ~。」と言いながらお腹をつついてきたのでやめてケロ~と言っておいた。



「まぁこれからはできる限り協力して頑張って行こうぜ!色々と詳しいカガミの力になれる事なんてたぶんないけど、敵さんに察知されるような邪魔だけは今後しないようにするつもりだからさっ!」


「あぁ。ツクモは強いから頼りにしてるよ!ありがとね!リエの情報また教えてよ。」

僕たちはそう言うと「じゃ、また夕方!」となってベンチを立ち解散となった。




朝みんなが起き始める時間。家に帰ると母さんがリビングでパソコンを前にうんうん唸っていた。

「おはよう!母さん朝から仕事?」


「あ、おはよう!今日もランニング?カガミなんか一昨日のキャンプからずっと楽しそうな顔ね。」


「あー母さんアレ、キャンプじゃなくて実践を交えた訓練だったんだけど。」


「そーなの!?あの植物園カガミが赤ちゃんの時に行ったのよ。もう最近めっきり行ってないけど。きっちり時間で閉まるからキャンプとか出来たっけ??と思ってたのよ!!」


「そーなんだ!あそこめっちゃ良いよ!有料だけど自然に囲まれてほのぼのしてて。デイキャンプできるならしてみたいよ。竜二達とカレーでも作ろう。」きっとリンクしたカレーはおいしいんだろう。


「早起きもそうだけど、カガミだんだんおじいちゃんみたいなこと言うようになってきたわね。」

残念そうな顔で僕を見る母さん。


「あ、カレーで思い出したんだけど、ムギ薬局のハゲがカレー作りが趣味で最近イヤイヤ食べてあげたんだけど香辛料の配合がメチャクチャ上手で悔しいけど褒めちゃったのよ。あんまりうちで食べないからおいしく感じただけかしら?」


あぁ~!あのへんなネクタイの柄!カレー作りが趣味だったなんて!!でも


「かあさんさぁ、店長さんいい人なんだからあんまり虐めない方がいいよ。何カレーなの?」



僕のせいでうちではあんまりカレーを見た事が無く、申し訳ないなぁ~と思って、スープカレーやキーマカレーとかなら見た目てきに食べれると思ったんだ。だから何カレーか聞いてみた。


母さんは少しだけ悩んで

「何カレーなんだろ??あえて言うなら薬膳カレー??」


「あ、食べた事ないわ。ほんとにおいしいなら一回食べたいけど。僕ちょっと苦手かも。」


「それよりも聞いた?原さんの奥さんがとびっきりのネタ入手してきたんだよ!」

「ねぇ、そもそも竜二の母さんって何してるの?父さんも見た事ないし。」


「え?知らないわ。ルポライターみたいに色んな情報持ってるもんだからついつい話こんじゃうのよねぇ。お父さんは海外商品を扱うお仕事だったかしら?小さな商会の社長だったかも知れない」


「で今回は何?」


母さんは嬉しそうな顔をして

「私たちの市を縦断してる高速道路のサービスエリアがこの春拡大されて、隣接地帯に巨大な配送センターができるんだって!


しかも母さんの職場の近くじゃない??namazonだったらどうしよ~~!!namazonパトローラーの私としては気になってます!!!

めっちゃ便利になるかも!!もし近くに来たらサブスクリプタ―として配送センター内の見学とか行かせてもらえるかしら??え~~どーしよCMとかに使われたら!

美容室でばっちり髪型決めて~キャリン堂でメイクしてもらって~モライザップって痩せの奥義をモラってから~」


また妄想が始まったよ。パトローラーかサブスクリプターなのかどっちなんだよ。

竜二達から見た僕ってこんなのなのかな??


「近くに配送センターできたからって早く来るわけじゃないんじゃないの?」


「そうかなぁ?近ければ近い程早く来るような。カガミは何が来て欲しい??」


「え~来て欲しい施設??じゃあ、中古ゲーム屋。日本橋のハイパーポテトみたいなレトロゲーにこだわりを持った店が良いなぁ。母さんは??」


「え?namazon以外??逆に来て欲しく無いものならあるけど・・・。」

「なになに!?」

「ドラッグストア。」まぁそうだよねと言うか


「もうこれ以上来ないでしょ、あんなムギ・ドコ・キャリンと3つも揃ってる所に。」

「万が一があるでしょ?万が一武道会が。」


「天下一武道会ね。L+Rを押しながらAを押すと隠しモードになる奴。母さんどこで知ったんだよ!」


「京介君がよく言ってたわ。」

「佐井寺パパ世代だね。ギャグが滑りすぎた玄白。」前も言ったが僕は一周回って好きだよ。






「ドコファイの店長には話聞けた?ほら何だっけ?妹と仲良くする方法。」


「まだ聞けてないのよ。敵対関係のドラッグストアにはそう簡単に行けないわ。」


「じゃあキャリン堂の女店長はまだ悩んでるの?」


「まぁ仕事は上の空って感じの時があるわね、この前は【シミ取り】してって言ったらいきなり【しりとり】始めてきたから。


あ!そうそう! 最近妹から連絡があって キャリン堂の女店長さんの妹さんが貧乳なんだけど、


その妹さんがドラッグストア業界最大手のウレェシアの店長になるらしいの。お姉ちゃんとしても鼻が高いですって言っててちょっと喜んでたわ。」



僕はその言葉を聞いてやさしい系天然巨乳姉に対抗心・嫉妬心を燃やす貧乳の妹を一瞬で想像してしまった。そして

僕の出した答えは




次はウレェシアが来るな。だった。


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