第三章
第101話 惜春期① 老人とウニ
次の日の朝、僕はまた早く起きた。こうなってくるともはや
昨日模擬戦から帰ってきて疲れたから朝から睡眠。
昼過ぎまで寝て、それからモッシーアイランドでヒップドロップのキー入力タイミングを忘れないように思い出しプレイ&コイン集めコンププレイ。
その後普通に夜寝たもんだから睡眠時間を取り過ぎた玄白だったのだ。それゆえの早起きである。
ゲームの仕様だからと一般人の皆さんはお気付きになられないかもしれないけれど、モッシーは翼もなけりゃ科学技術も無い。ただ単に足のバタつきだけで暫く浮くことができる。
しかも!【ウニ】の様な敵も丸のみできて赤ちゃんを守る愛情にあふれた恐竜。言い換えるなら
【愛と根性の生き物】だ!
まぁそんな事はどうでも良くって、目的の一つは道場のある公園の外周を走る為だ。そして、もう一つの理由は。
「よぉ。おはよう!きたか。カガミだっけ?」
「呼びやすいのでいいよ。」
と、お互い笑い合いながら挨拶を交わす。
「おはよう
僕たちは何の打ち合わせも無く集まり、屈伸と伸脚をして、ツクモが
「古江も捻挫したみたいだし、首と名の付いてる場所くらいは
と言ってきたので首・手首・足首を何周かずつぐるぐる回して軽い準備体操をした後、ジョギングを始めた。
「あ、ツクモ、乳
「カガミってお笑い担当だったんだな。」
「ちげーよ!!」僕は同い年とわかったツクモに使う【気遣い】なんて持ち合わせちゃいなかった。
走り出してすぐに
「まさかドスコイがカガミ君だったなんてな。」と言われ
「??どう言う意味だ?と言うか相手がイチゴサイダーって言う事も初めから気づいてたのか?」と聞き返すと
「普通気付くだろ。でもテロが起こった時点でお互いを紹介して欲しかったよな。去年の夏、テロに巻き込まれてたんだろ?急に病院から安否確認が来た時はドキッとしたぜ。」
「あぁ。」僕は、そうか、ジルさん達はツクモチームに心配させない為にテロに巻き込まれてた事を言ってなかったんだなと思った。
「
「え?アオリちゃん?何て??」あ~カワイかったなぁアオリちゃん。。。いい匂いだし。
「カガミ君って男の子がイチゴサイダーにいるって。その子は凄いんだよって。確かにカガミは凄かったよ。俺と同じでガチの武器与えられてねーもんな。俺も結構、鍛えてたつもりなんだけど。
ドスコイが寿の言うカガミ君かなって思って戦った後カマかけちゃったけど正解だったわ。」
なんで僕の事そんなに知ってんだろ?と思っていたけどアオリちゃんがなんか知ってそうだな。
ツクモは話を続ける
「最初は目のキミドリ色の奴がカガミ君かと思ったんだけどなぁ。あいつはあいつで根性あったよ。敵にしたく無いタイプ。」
「竜二の事?竜二は絶対敵にゃならんよ!優しいしメチャクチャいい奴だし。」
僕は言うのが少し恥ずかしかったけどまぁ本音だから言ってみた。
「僕の一番の親友なんだ。」
「いいなそうゆーの。」バカにせず僕の目を見てほっこり笑うツクモは同い年なのにやっぱり年上の様でカッコよかった。こっちチームのヒカルみたいだ。
「あ、もう1人の奴もヤバかった。武器が特に。」
「ヒカルね。」
「ありゃ何だ?」
「ヒカルの武器でしょ?ありゃヤバい!!木刀に3段階変化能力があって
①木刀自身の硬化、ビスケット化だね。
②
③ツクモのマントを破った【エクステンダー】。最後のこれが一番凶悪。
②はエッチなヒカル向けだけど③は木刀先端の穴から液体金属を噴射させてすぐ硬化。木刀が30cmも長くなって突き刺さる。
あれ喰らったら死ねるよね。」
「地面に隠れてたし。変な匂いで気付かなかったからマジで怖かったぞ。上手にマントを狙われて無かったらケガしてた!!武器の強さなら断トツで最強かもな。」
「でもさぁ~僕ら2人の武器に異議ありだよね!
しゃもじは無いよ!!ツクモもあの木の棒には特に思い入れ無かったみたいだから模擬戦用にもらったんでしょ?」
僕はツクモが木の棒をボキッっと折って使ったのを見てそう思った。
「しゃもじ!ウケるよなぁ〜俺ゎプラッチック製の靴ベラを貰ったよ。研究所の誰かが五月先生に入れ知恵してそれになったらしい。父さんから聞いたんだけど。」
あ、ネネちゃんか。あっちチームにもいたずらしてたんだ。
走りながらの会話は楽しかったんだけど、ツクモは徐々にスピードを上げ出した。こんなにハイペースだと5周もたないぞ~。
「ツクモはやっぱり副センター長の息子さんだったんだね。
で、その入れ知恵の犯人はネネちゃんだよ。たぶん。佐井寺兄妹の妹。あのレフリーの子だよ。彼女もイチゴサイダーなんだぜ。」
そう言うと「佐井寺かぁ~。俺の母親がさぁ、佐井寺家に家政婦として働いていたんだよなぁ。昔。」
と言って走る速度を上げてきた。
「へ~~。!!!えっ!?ちょっと待って!そーなの?まって~~!!」
一周を終えて、汗だくになった二人は、今日はこれくらいにしとかね?とか言いながら腰かけて近くのベンチに座ったんだ。
「と言うかツクモなんで年齢一緒なのに高一なんだ?飛び級か?」
「あぁ。いわゆる飛び級だよ。とにかく強く、賢くならなきゃいけないんだ。」
僕は負けない様に最後の直線で本気で走ってツクモを抜かした、だからチョット悔しそうなツクモはベンチでハァハァ言いながら下を向いて、息を整えているようにしていた。
そしてしばらくして模擬戦で約束した自分の【生い立ち】を話し出した。
「俺の両親はさ、俺がT-SADってわかるか?裂傷性心房中隔欠損って、病気。」
「ああ、わかる。んでT-SADの
「そうだ。まぁ俺の病気がわかって仕事も辞めて、先が短い俺と精一杯、時間一杯、一緒の時間を過ごそうとしてくれたんだ。」
「両親はアティウスの研究員なんだろ?」ツクモは何で知ってんだ??って顔をしていたが特に触れず、
「
「今、お母さんは、主婦??」僕はツクモの手術も5歳で成功してるし、お父さんも正社員だからお母さんはゆっくりできてるのかと思ったんだけど。
ツクモは目をまっすぐ前に見据えて腹の底から出るような絞り出す声でこう言ったんだ。
「母さんは。ハイドラに・・・連れ去られた。」
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