第100話 会遇期⑮ 会遇
都市緑化植物園のゲートをくぐるとカキゴーリの二人がまだブロックに座ってた。
僕らは男子でワイワイしながら帰ろうかと思ってたけどエーコちゃんが足を挫いてる事を思い出して
「ゴリ先、何やってんだよ。」と言ってしまった。
竜二と僕はエーコちゃんに
「こいつヒカルって言うんだけど自転車の二人乗りが天才的に上手いんだ、よかったらエーコちゃん家まで送らせようか?」
「いやマジ上手すぎてヒカルの後部座席は平日2時間待ちなんすよ!」って冗談を言ったら
エーコちゃんだけメチャクチャ笑ってた。
「ありがとう。わたしは
何度か拳を交わしたし、はっきり顔を見たから分かる。天真爛漫で快活な女の子って感じ。
隣のアオリちゃんは小さな声で恥ずかしがりながら青い目を見開いて
「わたし、
と
エーコちゃんは「じゃあ、送って貰おうかな?いいの?」と聞いてきた。
戦闘中くくっていたお団子のアカ髪が今は纏まってなくて首を傾げた時に光を浴びてきれいに揺れたんだ。
ヒカルはそれを見て目を閉じ頷いた。
「2人乗りなんてした事ないけど、送るよ。どうぞ。」と言ってエスコートした。
「ありがとヒカル!」そう言うとエーコちゃんはヒカルが旧知の知り合いかの如く話しかけ、荷物を持ってヒカルの自転車に・・・は行かず、
僕を経由してヒカルの自転車へ。
僕に寄った時、大事なことを耳元でこそっと言われお馴染みのマヌケな
「えぇっ!?」って声を上げてしまった。
エーコちゃんはヒカルの自転車の後ろに乗ると進行方向を指さしてヒカルに確認すると
「ヒカル!責任を取るのだーー!」と楽しそうに帰って行く。
尻にひかれてらぁ。ざまぁみろヒカルめ!
去り際に
「アオリの事頼んだよ~カガミくーん!」と言われた。
竜二は「カガミも
僕はちょっと戸惑ったんだ。だってエーコちゃんには
「
少し思いを巡らした後「わかった。」と返事をした。
そうか。ビデオで父さんが言ってた【君自身が笑う感情も無いのに】ってのは喜びが無いアオリちゃんだったんだ。
君が僕たちの名前のきっかけを作ったんだね。
唯一父さんに担当されたアルビノのイチゴサイダーなんだね。
僕は柄にも無くアオリちゃんに会遇できた事に改めて感動したんだ。
「じゃあアオリちゃんお
その場で竜二に別れを告げて僕らは歩き出した。
感情がわかりづらいんだけど尻尾があったら振ってそうな猫の顔みたいだった。キルトのカバンにはあの時持っていた白猫のぬいぐるみが顔を覗かせていた。
無表情だけど嬉しそう。僕は小さい時アオリちゃんに病院であった時の事を不意に思い出したんだ。
あの時も楽しそうだけど表情は笑ってなかった。彼女は笑えない大変な人生を歩んできたんだ。
だからエーコちゃんとリンクして感情を分けてもらってたんだな。
何から話そう。あの頃から成長した顔を見たいなぁ。キレイな青い目を、僕を知らず知らず助けてくれてた白い髪を、ゆっくりみたいなぁ。
そう思ったけど逆に
ぼ~っと僕の方を見てきたから何だか恥ずかしくって目を反らして
「荷物前かごに入れていいよ??」としか言えなかった。
少し歩いてたら話しかけてきた
「あの、カガミ君にずっと会いたかったの。
何年も会って無いから抑えられなくって。飛びついてごめんなさい。
・・・あの良かったら私と、お友達になってください!!」
モジモジしながら話す癖に大胆に抱き着いたりもする。やばいギャップ萌えだわ。
「うわ~めっちゃ可愛い。あ、ゴメン心の声ダダ洩れだった?えっと、こちらこそ!友達になろう!」
アオリちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがってた。
「わたしね、カガミ君のお父さんにもう一度会ってご挨拶したかったの。でももう亡くなったんだよね。私のせいで。」
「いやいや何言ってんの!僕ら当時5歳だよ。何にも出来る訳」
「そうだけど!でも!・・・でも。」
突然遮る様に話すアオリちゃんの感情があまり見えなくて少し困ってしまう。
「でも今はカガミ君がここにいる。私達みんなまだ生きてる。だから7人揃った今から、がんばろーね!」
「あ、うん。」ちょっと話掴めない系女子か?言ってる事は至って真剣だから。僕の脳みそが足りないだけかも。
僕はアオリちゃんの笑顔が見たかった。喜びを塞がれているその感情をリンクで解放してあげたかった。
エーコちゃんの指示に従ってってのはこじ付けがましいから正直に言うと、僕自身の気持ちとして、アオリちゃんにリンクしようと思ったんだ。
いや、まてよ?急に女子に手に触るとか考えてたら、また変態扱いされそうな気がしたから自主規制で我慢しよう。悩んでる僕を見てかアオリちゃんから
「カガミ君、えとね、リンクしていい??」って上目遣いで首をかしげながら聞いてこられたんだ。
僕は間髪入れずに
「どうぞ!」と言ってしまった。だけど期待してたリンクと違って自転車のハンドルのアルミ部分をお互い触るだけだった。OMG。
「私ね、
僕はまたドキッとしたんだ、恐怖も無い?、同じだ。
でも僕は
「楽しく無いわけじゃ無いよ、さっき思い出したんだけど僕は昔、アオリちゃんとアイスを食べてる時めっちゃ嬉しかったんだと思う!あの日、初めて味を知ったんだ!」
「え!そうなの?じゃあよっぽど嬉しかったんだね!!そうか、エーコもたまに言うけどちょっとは楽しいんだぁ」
少しほっとした顔のアオリちゃんはさっきまで見れなかった笑顔の表情が少しずつ出て来てて見ていてすごく心が安らぐ顔だった。
「なんでカキゴーリって言われてるの??」
「えっとね、私表情が冷たいんだって。
だって笑えないんだもん、イチゴサイダーの話でエーコと盛り上がってる時に、男子にあだ名付けられちゃって、
それで髪の毛の色がアカと白、イチゴの話も相まって、イチゴの味のカキゴーリって言われました。カッコ悪いでしょ?」
「いや、まあ納得と言うか、あれ?そういえばお二人ってお付き合いされてるんですか?」
なにこの変な敬語。
「そんなわけないよ!面白いね!カガミ君って!」笑った顔のアオリちゃんは最高に可愛かったんだ。
アオリちゃんが家に近づいてきたのか
「帰り道わかる??」と聞いてきた。別れの時間まで一瞬だった。
帰り道2人の言いたい事はとめどなく溢れて来て、昔の事を2人で笑いながら話し合った。
僕は忘れていたけど(ゴメン)アオリちゃんはなぜかずっと覚えてくれてたみたい。
だから今更口にして友達にならなくても、小さい時からずっと友達のような気がした。
アイスの事、
スイカの事、
あの時既に『イチゴサイダー』って言葉を聞いていた事。
エーコちゃんと小学校で出会って
テストの順位がブービーで最下位が誰だろう?って2人で話し合った事。
その話で竜二に人柱として働いてもらった事。
朝焼けがキレイな街並みを二人で歩いてると急に男の子が出て来て
「おねーちゃん時間ぴったり!お!誰だれ!?彼氏??」と茶化す子供に絡まれた。
アオリちゃんは
「ごめんね弟なの。ヤマト!ご挨拶だよ!」
「あ、おはようございます!お兄ちゃんは?」
「天道だよ。よろしくね。」アオリちゃんには髪の色が違うせいか凄くは似てないんだけど雰囲気はやっぱり弟で優しそうな目つきは既に将来モテそうだなぁ~と思える感じがした。
「ここまで送ってくれてありがとう。」と言うと弟君も
「ありがとうございます。」と頭を下げてきた。
僕は
「いえいえ。じゃあまた明日ね!」と言ってアオリちゃんに別れを告げ手を振った時、
トットットと僕に近寄ってきて背伸びして耳元で小さく囁かれた
「カガミ君が
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