第98話 会遇期⑬ 模擬戦10

「カキゴーリの古江さん???」僕は首をかしげる


「え、あ、こんばんわ。」丁寧にフードとマスクをはずし素顔で敵に頭を下げるヒカル。


何か聞いた事ある気が・・・あ、去年の美少女コンテストの時、気を失った僕を片手で運んでくれたパワー系女子!!!


「あちゃ~知ってたの!?あ!君!!あの時の!!っと!まぁ今は勝負だよねぇ~~!2対2になっただけだもんね!!」

竹を割ったようにハツラツとしたその性格はヒカルのエロジメジメとは正反対の様な気がした。

 

「フラッグはエーコちゃんが持ってんだろ!?」僕は鎌をかけたんだ。ヒカル判別ヨロ!!


「いいえ。私持ってない!」


「嘘つけ!!」僕はツクモが持ってない時点でまぁまぁ自信があったんだけどヒカルは、返事をしなかった。


真偽の判断に時間がかかってるな、そう思いヒカルの顔を見上げると、魅了されたように目がエーコちゃんを見てて、ありゃ?と思い

「・・・ヒカル心音。」と聞くと

「えっ?あ、ああ。ウソじゃない。」と返事が返って来た。かわいいからって意識をほうけてんじゃねーよ!!



でもその時、僕は何かが繋がった気がした!ヒカルにどう伝えるべきか?

「アーク!チームで接続ハンズフリー!!」

「仰せのままに。」

「どーした!!こっちは忙しいんだけど!!!」と竜二


ナイスレスポンス!!!竜二聞いてくれ!!


「敵ならどうする!?3人とも所在確認され陣地はがら空き!!全員対峙状態!後方から【でたらめ矢】。いや、上位スキル【心眼でたらめ矢】だ!!何本か頭の上を飛んでったんだ!!」


暗闇のデバフ状態でもでたらめに打つ矢が当たるロマンシングなゲームの技!!今のアークならわかるだろ!!


アークは「フラッグを私たちの陣地近くに飛ばしてたんですね。」と言った。


「僕もそう思う!!敵のフラッグを入れられて負ける!!」


くそ~~さすが頭脳ナンバーワンのチーム!!頭では負けてたか!!


2人の攻撃がエーコちゃん一人になる。もう一人の敵は?サーモで探してギリギリ見える、遠く陣地の方に逃げていった。


フラッグを僕らの陣地近くに落とすミッションをクリアしたからか防衛に徹する気だ!!


「竜二!どうする!?」

「俺はここで!諦めない!!!」

ヒカルと僕は頷き合って!


「じゃあいくぜ!僕があと一人を潰してフラッグを入れるまでの間、持ちこたえてくれ!!」と言い放つと最速で敵陣へ走り出した。


竜二が心配だ。けしかけとくか!

「竜二!!奥にはネネちゃんが居る!!ツクモはネネちゃんを見て何するかな!?」


「え?まじか??ツクモまじか?」竜二がスピーカー越しにビビってた。その後ろで


「あほか~ドスコイ!!!あとで覚えとけよ~!!」と突っ込むツクモ。


「まぁこれで竜二も本気出すだろうよ。」とヒカルに向けて言うと

「けしかけ方が悪人だよ。ホントカガミって、」

二人一緒に「正義じゃないな(よね)。」って言われた。


言いたい放題言いやがって!!

「違うぞ!2人とも!!世の中はな!!勝った方が!!!!正義なんだよ!!!!!」


スピーカー越しにツクモが

「そのとーりだ!!」って言って

うしろでエーコちゃんに笑われる声が聞こえた。なんやかんやでみんないい奴だ。さてあと一人。


どんな奴が待ってるんだ!!ツラを拝んでフラッグを先に入れてやる!!!僕は用無しのマントを脱いで最速で敵陣に向かった!




僕が最後の階段を登ろうとした時、敵陣のレフリーであるゴリ先がこっちを腕組みしながら見ていた。みんなが騙されて始まったこの模擬戦で言いたい事はたくさんあったけど今はこっちじゃない。


階段の最上部、フラッグを入れる傘立てを見つけたけど、その間に立ちふさがる最後の敵、

ボウガンは持ってない。僕を見て同じ様に硬化マントも脱ぎだした。


ダボっとしたパーカーとフードにマスク。

街灯の逆光で顔や表情が見えないけど、エーコちゃんより小柄な身長。それでいて発育のいいエクセレント級の何か。


あぁ!いいぜこいつ!わかってやがる!


フェアプレイの精神が!!(あと胸が!)僕の好感度をグッと上げる!


武器は?一体何なんだ?ビジョンで先を読もうと思ったんだ。



でも








そいつは僕に攻撃を仕掛けるでもなく、ビジョンで放つ攻撃を避ける訳でもない。

硬化マント無しの攻撃だぞ!殴っても蹴ってもそこそこ痛いはずだろ!?なんで避けない??僕が仕掛けない前提の動き???



僕は汗が噴き出ていた。ジリッと半歩後ろに下がる。こいつは何かを持ってる。何の強化感覚だ?!



今までで一番相性が悪い相手かも知れない。うかつに飛び込んでいいのか??


僕のビジョンを使って動揺させる能力?

惑わす何か?混乱系いや、誘導系?そんなのあるのか?


僕の中のゲーム知識がフル回転しても一体相手が何を考えているかこれっぽっちも分からないまま敵から一歩ずつゆっくり階段を下って寄ってくる!!


そこで最悪の通信が入ってしまう。

「カガミゴメン!!やられた!俺は・・・リタイアだ!」竜二の悔しそうな涙声が深夜の森に響く。

「ヤバい!」僕は焦りによってただただ時間を無駄にした事に気付いた。


でもそこで今度は朗報が飛び込んできた!


「カガミ!!まだか!!僕はさっきエーコちゃんをとらえた!!今からツクモを止めに行く!!」

「ヒカル!たのむ!!竜二の分まで頑張ってくれ!!」と返した。


目の前の敵は通信を聞いて「やっぱり。カガミ君。」と小さく言ってた。


ヒカルは勝ったんだ!二人の頑張りを無駄にしちゃいけないな!



遂に特攻の決心をした僕は走り出し相手に肉薄する!

直線距離にして5m!


そこで階段の高さ1mぐらいの所からあろうことか敵はジャンプして僕に飛びついてくるビジョンを見たんだ!これ避けたらケガするんじゃ?とっさに相手の心配をしてしまったが何かの思惑があるかもしれない、慎重に!!と思っていたら。


敵の女の子はこう言ったんだ













「やっと会えたね!カガミ君!」

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