第97話 会遇期⑫ 模擬戦9
「カガミは西回り!俺とヒカルは東回り!北上開始!!」竜二のGOサインが出た。
陣地から走り始める3人。はじめだけ50m程の石畳の直線がある。そこまで並走していたが
ヒカルが「カガミはスマホ無いからなんかあったら大声で叫んでね。」と言ってきた。
「わかった!」
竜二は「俺たちはアークで3人分の声を持ってツクモを寄せ付ける。隠れてるヒカルが硬化マントを潰せたらエーコちゃんの方に行かせるからそれまで頑張れ!そろそろ分かれ道だ!」
3人は合わせても無いのに同じタイミングで頷いて僕は道を左に逸れて二人と別れた。
ある程度離れてから森の中をゆっくり歩く。1人敵が見えた。ツクモだ。戦いたいけどなぁ。土の上で転がって匂いを紛らわせたけど効果があるのかわからない。極力遠くで様子を伺おう。
すると暫くしてツクモに連絡が入ったのか、東方向に向かって走り出した。
僕はこっちにも誰かいるぞってアピールをする為に隠れながら木を何回か蹴って走り去るツクモを振り向かせたけどツクモの優先順位は竜二達に向いたみたいだ。代わりにエーコちゃんがやって来た!
よし!ここまでは布石通り!
僕は顔を見せないように暗い雑木林を選んでエーコちゃんと対峙する。場所的にはまだハーフライン。
そこへビジョンで矢が飛んできた。僕は硬化マントで防御できると思い硬化開始。ちょうどマントの
裾に着弾した。これならいくら来ても防げるな。と
ガンッ。裾に矢が当たり。僕の思っていたカツンって音じゃ無かった。
「あ、あれ?この矢ってまさか!!先端ビスケット!?」
これ刺さったら死ねるんですけど!!
近くに来たエーコちゃんが話し出した。
「あーあ、少しでも削れたら硬化できないんだよね?じゃ~あと10分くらいだね。そのマント。残念。」敵も狙いは同じだったか!!
「君は誰かな?ドスコイ君?それともカガミ君?後わぁ〜目のキミドリの誰か知らない子?」
??エーコちゃんはドスコイとカガミを別人だと思ってる??
「ツクモは全部を話してないのか?」
「あ〜ココを知ってるって事はー、 なんだっけ?ドスコイ君かな?」
僕は無視して
「こっちに2人はやだねぇ!」と言った。ツクモじゃないけど2対1かぁ・・・捌けるかなぁ。
エーコちゃんは「おっかしいなぁ〜あっちに3人いた気がしたんだけど。」
しめしめ掛かったね。【音で光を見誤った】な!
「こっちは4人パーティかもよ!」
僕の話に、頭を悩める様子もなく既に金属をまとったビスケットグローブを使って殴り掛かってきたんだ!!
「それは嫌だね!」そう言いながらもまっすぐ僕を捉えて来る。
僕は地面のを砂を握って目つぶし目的で飛ばし、スレスレで躱した。動きはかなり早い!
「うわ~女子に嫌な攻撃するねぇ~。」と言いながら髪の毛に付いた砂を払う為に脱いだフードから出た顔は将来間違いなくモテるって思えるくらいの【アカ】髪の美人だった!
「エーコちゃん美人だね!!ついでに誰がフラッグ持ってるか教えてケロ!」
僕はデリシャスカップの美人と勝負する事自体、全く心配は無かった。
なぜなら髪が【
ついでに言うとこっちが好きになったとして、このクラスの美人は僕なんかにゃ目もくれないだろう。僕は自分の顔面戦闘力の低さを呪った。関係ないけど死ね!ヒカル!
そんなことを考えながらも、僕は攻撃を避け続けていた。もう一人のボウガンか弓の矢が僕を足止めする為にザクザク地面に刺さる。
初手以外は矢は木の棒だったから少し安心したが、いつまた金属の矢が来るかと思うと気が抜けなかった。
なかなか二人のビジョンを見るのは大変だよね。何発か全然違う方向に飛んで行って適当に撃ってるのかとも思ったけど違和感を感じたんだ。相手の狙いは何だ?
エーコちゃんと見えない敵の戦いが続く!!
「ゴリ先に教わった型だね!喰らうと即終了の威力!!いいよエーコちゃん!!彼氏いるの?」
ギリギリ避けれるストレートがくる!!!顔反則だよーエーコちゃーん!
おっと、右頬を少し掠ったか!
「いないいない!!ドスコイも顔見せてよ!!」と、言い合いながら殴り合いが続く!
「顔出しNGっす!っと!」言いながら木を蹴ってエーコちゃんのわきを滑る様に避ける。
目の前に矢が着弾してクルッと回って防御体制をとったらマントに
それにしても、たった1人差だけどやっぱり数は力だな。
木剣で首を狙うもなかなか晒さないし行けると思ってもカウンター待ちで構えるビジョンや、矢で牽制されて近づけないビジョンが多かった。
でもうっかりしてやられるビジョンを見ちまった!相手の見えない2人分は先読みするの厳しーよ!!
僕は大声で「ヘルプミー!レスキューミーー!」と叫んだ。
2人に少し押され気味で防御に回る。
こりゃヒカル頼りだな。と思ったちょうどその時、ヒカルの大きな足跡が聞こえてきた!!
でも油断した僕はビジョン通り矢が膝にぶち当たった!!
「いてっ!!しまった!!」膝をついてしまった僕の腹に、エーコちゃんの凶悪な拳が叩きつけられそうになるビジョン!!
だがそれも
硬化した木刀で下から弾かれるビジョン!
「待ってたよ!!!ヒカル!!」
「カガミ!油断し過ぎ!!」
「ヒカルリンクして!!もう一人の居場所が知りたい!」そう言うとヒカルは立とうとした僕の首を猫のように掴んだ。え~ダサい。
「君がカガミ君だったの!?」弾かれた瞬間に警戒して距離をとってたけど、僕らの話を聞いてビックリするエーコちゃん。
ヒカルは竜二から預かった僕のスマホを手渡しで返してくれた。
「アーク役に立ったよ!ツクモのマントは じきにダメになる。竜二はたぶん勝てない。ライトニングで何とか防げるかどうかってとこ。
危ないけどツクモがフラッグを持っていない事が心音で分かったからここを防げば何とかなる!!」
「君が持ってんだよな!フラッグ!!ってえぇ~~~~~~~~!!!!!!」そう言いながらエーコちゃんを見つめるヒカルが大きな声を出して驚いた。
ヒカル驚きたくないんならリンク解除しなよ、アホなのか?
ヒカルは解除することも忘れてビックリしながらこう言ったんだ。
「カキゴーリの古江さん!!!!」
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