第92話 会遇期⑦ 模擬戦4

ヒカルが逸れた話からまた本題に戻して話し出す。


「敵との組み合わせで提案なんだけど


竜二vs男子(マント無しが前提)でライトニングは攻略に時間がかかるだろう。ソロで倒せないかもだけど持ちこたえてくれれば助かる。」


「いいぜ!耐電処理が一番やりづらいしマント破壊を手伝って貰えたら助かるよ!」と竜二。


「僕vsエーコって女子。ゴリ先には素手の敵は相性が悪いって言われたけど、

戦うと言うよりは僕も竜二も足止め目的だから第2形態で捕獲を考えてるんだ。」


「あのドッキリメカ!ビスケット第2形態ね!良いよそれ!拘束してエッチな事するなよ!」


「しないよ!」

ごめんごめん。


「最後に任せちゃって悪いんだけど、カガミにもう1人の女子?頼める?臨機応変さと運の良さでカガミにかなうキャラがいないんだ。」

 

「頑張りまーす。そろそろアークはヒカルの声複製できそう??」


「はい!出来そうです!」そう言うとアークは先程から集音したヒカルの声と瓜二つに再現してくれた。

ボイスチェンジ機能があるなんて!ステキ!!


「こんばんわ、僕が佐井寺ヒカルです。似てますか?あと口癖とかありますか?」とアーク。


「凄い!」「すげ〜!」


2人が関心している間、僕は咄嗟に口癖を考えた!


「『巨乳が好きだ。』これがヒカルの口癖だよアーク!」


「かしこまりま」

「かしこまらないで!!!」 「アハハハハ!」竜二が腹を押さえて笑っている時、僕はヒカルに睨まれてた。


「で、カガミのスマホは俺が持ってて良いんだよな?」

「そうだね。竜二がアーク起動して3人で行動してる感じを出しておく。

その影でヒカルは隠れて機をうかがい、マント撃破だったっけ?」



「そうそう。そっからはまぁ、各々おのおの頑張ろう!

もうすぐ暗くなる、不定期にちょっかいをかけるぞ!フラッグはひとまず竜二が預かっておいて!僕が一人で真ん中まで行ってくる!」


そう言うとヒカルは深呼吸をして木刀を持ちフードに3人お揃いの黒いマスク姿に変身して、走り出した。


20時



再び出動したヒカルが西ルートを練り歩きまわって初めて見つけた相手は体格からして女の子だったらしい。

ヒカルはサーモで先に見つけたみたいだ。スマホで僕らに


「単独行動で周りを警戒してる女の子を見つけた!たぶん武器を持ってないから【拳の女エーコ】かな?


僕はここで罠を作るフリをしておく。木刀で溝を作って無駄な警戒をさせたいけど、それで良い?」


と、リーダーに聞いてきた。


もちろん返事は

「OK!気をつけろよ!」と返す竜二。



陣営でまったりしてる僕らは雑談タイムだ

「【拳の女】ってごっついのかな?」

「いや、身長はあったけど腕は別段ぶっとい感じしなかったよ。胸はあった。たぶんデリシャス。」


「カガミそう言う所はメッチャ見てんのな。で、デリシャスってなんだ?」

「カップだよ。今やアルファベットでカップを表す時代はおわったのさ。」


「詳しく。」竜二もお年頃だね。


「諸説あるんだが、

A Angry    怒っていい

B Bud      悪い

C Cheap  安い

D Delicious おいしい

E Excellent  優れた

F Fantasy    幻想的な

G Grateful   感謝

と、まぁこんな感じ。」



「カガミ先生!ありがとうございます勉強になります!よしっ!次のちょっかいは俺が行こう!もう一人の女子を先に見てきてやる!」


「えーそんなんだったら僕が行くよ!」

ヒカルがスピーカーで


「あのさ!エッチな話丸聞こえなんだけど!あ、気付かれた!!」


「カムバーック!カムホーム!がんばれヒカル!」


「やば!走り早いかも!!」とヒカルが弱音を吐くから奮起するような応援をしたんだ。


「敵の男はハーレムだ!この悔しさをバネに走り抜けるんだ!!」


「りょーーーかーーい!!!」


程なくして敵を振り払い陣営まで無事帰って来れた。ヒカルはハァハァ息を切らしながら


「なんかカガミの応援で2倍早く走れたよ。」と言っていた。正直でよろしい!それでこそヒカルだよ。




22時、あたりが静まり返り植物園の周りを走る車の数も減ってきた。そろそろ体を動かしたいし、次のちょっかいは僕が行こうかな。


「リーダー!行ってまいります!!」

「どうしようかな?またヒカルに行ってもらった方が安全なのは安全なんだけど、どうヒカル?」


「カガミは温存したいけど、良くも悪くもカガミの行動はなんらかの流れを変える運を持ってるし観察の着眼点もゲームチックで作戦に反映しやすい。気分転換に一回行ってもらおうか?」


「ヒカルさんわかってるねー!いい?竜二。」



「そーだなすぐ帰ってこいよ!たのんだ!特攻兵!」

「直接的な死亡フラグありがとう!帰ったらビールで乾杯しようぜ!!」


僕は死亡フラグに、死亡フラグを、掛け合わせマイナス同士の掛け算でプラスにしてみました。



僕は足音を殺して走り出した。

しかし、この選択で僕らはお互いの情報を与えてしまうことになる。



途中まで敵が攻めてきていないか広範囲で蛇行を続けて2回も女子に会った。

僕を見ると一目散に逃げ出して陣営に帰る、このまま攻めようかな?と思うくらい警戒していたんだ。

逆に釣りか??


僕はもう居場所も特定されてるんじゃ無いかと思って

思い切って広場まで出たんだ。


見つけてくださいって感じで植物園の決して多くない街灯の下をふらふら歩いてた。

そしたら

敵と会話するビジョンが見えた。


僕は逃げようと思った。敵に当たらず適当に帰るのが『ちょっかい』の本懐だから。でも


気になる言葉を発してそいつは現れたんだ。


暗闇から低い音でだんだん早く迫ってくる緊迫感。



「声が似てる。

においも似てる。


焦ってるにおい。

気楽なにおい。

異様なのは

こんな状況でも

におい。


別人だったら悪いんだが、」


















「お前、ドスコイか?」



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