第82話 露見期② 面の話

「あっ!ホワイトタイガーだ!!うひゃー!!肉球でけー!!」

僕は猫の肉球しか触ったことがなかったからあのサイズを見て驚いてしまった。


「大豆と空豆くらいの差はあるなぁ。それ以上かも。フラミーと神獣?それはいい過ぎか。」



「カガミはみんなと着眼点違うよね。普通ホワイトタイガーだからホワイトに驚くんじゃ・・・。僕は色わかんないけど。」

「あ!ごめん!さっきのシアターもリンクすれば良かった。ほんとゴメン!!」


「いいよいいよ!慣れてるし。」

と言うヒカルに対して潜ませていた僕のリンクラインでホワイトタイガーを見せてあげたらヒカルは


「キレイなホワイトだね!」って言って来て


僕は「ほらこれ!普通のトラも見て見なよ!」

とヒカルがホワイトタイガーを見てる間にスマホで検索しといた普通の【トラ】を見せたら


「普通のトラの方が色がついててキレイなんだけど。」って斬新な返事をされちゃった。

いつも【色】を見てないんだったら普通のトラの方がキレイにみえるのかぁ。





なんて思ってたら後ろから

ラブラブカップルがトコトコ歩いてきた。どうせシアターでリンクしちゃってたんだろ?

ケッ!喰われちまえばいいんだ竜二め!


2人とも楽しそうにしてたけど今は集団行動だぞ!


竜二には4人で来てるんだから足並みそろえてつらそろえて行動しろよ!と言いたかった。

が、やっぱり二人にはうまくいって欲しいと頭の片隅に思う所があって。



面そろえる?そうか。今日も今日とて二人の未来を考える。

僕はきっと恋のルービックなんだろう。キューピッドだっけ?


恋愛はまだ未経験だけど結構、高難易度らしい。できない人はとことんできない。何かコツがあるんだろうけど攻略動画とかも相手が人間だから不確かだ。


その中でルービックキューブのめんを簡単に揃えるかの如く攻略している人もいるんだ。

なるほどな、恋愛はパズルゲーだったんだ!ここで気付けたことは大きいぞ!なんで早く言わなかったんだ竜二め!!

まぁ悔しいがヒントは奴から得た。あとはルービックキューブの攻略動画を見て数をこなすだけだな。

【アカ】と【ミドリ】がわかんないけど。





「僕の情報によればここでウォーターゼリーの販売所が。あったあった!食べる人〜?」



誰も手をあげない。



「あっ?アレ?みんな楽しみじゃないの??」

何でだ?観光地の名物は食べるべきモノじゃないの?


「ネネはいらない。喉乾いてないし。」と言って持ってきた特茶を飲んでて


「や、だってウォーターゼリーって、水だろ?味無いんじゃないの?むしろカガミ専用じゃね??」と竜二。



「なるほどなるほど。バカか!おまえら!!!」


「うるさいよ。いきなりキレるのやめてよ。」とヒカル。


ネネちゃんは

また始まったよ。みたいな目で見てきたけど僕は言うぞ!


「ここのウォーターゼリーはただの水じゃない!味付きだよ!ハハッ!無知って恥ずかしいよね!

僕はテストが終わって水族館に行くと決まった日から予習をしてきたんだ!ウォーターとは名ばかりで美味しい何かの味が付いてるんだ!食べる前から値踏みすんじゃねーよ!!」


「ハイハイ。まぁカガミがそんなに言うなら食べよっか。」

「わーい!たべよーたべよー!」手の平の返し方が凄いけど、かわいいねネネちゃん。

あー彼女欲しい。


ヒカルはしょうがないなぁと言った顔で売り場に並んでくれた。



「では。手を拭きましたか?皆さん心して。頂きなさい!」

「はーい。」

「はいよー。」

キレイな透明のゼリーを口に運んでもぐもぐする3人。


「え?思ってるよりおいしいんだけど。」とヒカル


「だから言ったじゃん!で何味なの??【コク】ってある??そもそも水って味あるの?硬いとかやわらかいとか言ってるのって何なの??柔軟剤が入ってるの??」


「カガミ!水に対しての質問が多すぎて入ってこないからやめろ!」

「柔軟剤!!あははは!!ウケる!!」とネネちゃんの横でヒカルは

「ブフッ!」って言ってむせてた。


その後、竜二のリンクを貰って名物ウォーターゼリーを食べてた僕は

「え!おいしいんですけど。」と言って母さんにお土産で買って帰りました。


小ぶりだったけど水族館を満喫した後僕らが向かった場所は出来立てのポテチが食べれるお店で、ポテチを作る過程を見ながらレジに並んでたら、中央広場でコンテストが開催される、みたいな放送が流れた。



僕ら4人組は当然広場にサササっと人手を掻い潜って向かい、何のコンテストかなぁ~と思いながら垂れ幕を見た。

「クリスマス直前!美少女コンテスト!」


「これは絶対見よう!」って言ってしまった。ネネちゃんも興味があったのか

「みたいみたい!!」と言ってくれてそのまま

「ありがとう!心の友よ!」とふざけていたからか、んだ。


クリスマスツリーとネネちゃんのコートの【ミドリ】と【アカ】のコントラストが目の前でチカチカしだして、子供の時ぶりに頭がクラクラっとなった。


だからクリスマスシーズンは嫌なんだよ。


どうしたらいいか全然わからなくなった僕は、せめて竜二のいるであろう方向に倒れようという自己防衛本能を働かし、


立ちくらみのように真っ白な視界に変わった後、そのまま意識を手放したんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る