第80話 振返期⑤ 歩兵の使い方
母さんと自宅に帰って鍋の準備をしていたら、母さんが、
「カガミ、妹って、どう思う?」と聞いてきた。
僕は「え~~!!!」
と心の底からビックリしてしまった!
この年になって僕に妹が出来る?え?生まれるのか?もしかしたら女の子の連れ子がいる人と再婚するのか?あ、でもカワイイ妹が出来るならいいかも。
何も言わずに僕に付いてきて従順に言う事を聞いて服を引っ張って ネェネェお兄ちゃん。
とか聞いてくれる美少女。いいなぁ欲しいかも。。。
と考えたけど急すぎる!!
「どうしたの?カガミ。目がモリモッコリそっくりなんだけど。」
「どうしたの?じゃないよ!!ぃ、いや突然すぎるよ!!誰なの?!相手はだれなんだい!?」
「??え?相手?キャリン堂のエステしてもらってる女性店長さんよ。妹さんと昔からケンカしてて。それを今日相談されたんだけど、母さん一人っ子だったから気持ちがわかんないの。」
「・・・・。」早とちりしました。
「母さんさぁ、ムギの店長も話聞いてあげて、キャリン堂の店長も聞いてあげて、忙しくないの?もうほっといてもいいんじゃない?聞く義理無くない??」
「いや~そうは言うけど、困ってるとハゲでも聞いてあげちゃいたくなるのよ。もちろん自分のできる範囲はわきまえてるわよ。でもキャリン堂の店長さんがね、結構悩んでて、フェイシャルエステ中に悩み過ぎて顔パックで窒息しそうだったから。ついつい話聞いてあげちゃったのよ!」
「ダメじゃん!!殺人未遂じゃん!!エステの顔パックで窒息させる程悩んでるんだったらチェンジだよ!チェンジ無制限でしょ?あっ!」
「カガミ。母さんそういうエステに行くはずないんだけど・・・あなた、いかがわしいお店行ってないわよね?」細い目で僕を見てきた。でもまだ中一だよ!行ってないんだ濡れ衣だよ!!
「行かないよ!!竜二から聞いたんだよ!あ、竜一だったかな?いやゴリ先だったかもしれない!」
使える歩兵はすべて使う!スーハミウォーズで学んだ戦法だ!将棋じゃないけど、過去の振り返りを詰め込んだあのゲームはきっと将棋がルーツなんだろう。
「・・・。まあ行かないと言うか行けないか。」変な所で賢いな母さん。
「で、何の悩みなの?」すぐに軌道修正できる僕。前世は修正液だったかも知れない。薄っぺらいから修正テープかな?
「あ、それでね、キャリン堂の店長さんは巨乳で優しくってかわいいんだけど、貧乳の妹さんがね、お姉ちゃんに小さい頃から対抗してライバル心がすっごい強いんだって。あと貧乳なんだって。」
言ったよ!そんな2回も強調しなきゃいけない程貧乳なのか?それとも母さんの天然悪口か?
巨乳かぁ。「まぁ、今度挨拶に行くよ僕も。母が大変お世話になってますってね、でも二人ともいい大人でしょ?あんまり関わらなくていいじゃん!お互い距離を置いてさぁ。」
「そうもいかないのよ。カガミの想像しているよりもスケールの大きい事態に発展するかもしれないわ。」
「え~家族の愛憎劇的な?嫌だねぇ。」
「それだけで済んだらいいんだけど・・・。周りに妹いる人いないかなー。」
「結構いないもんなんだね。」
「一人だけ心当たりがあるんだけど。」
「だれだれ?僕もヒカルに聞いとくよ!あそこはあそこでネネちゃんが出来た妹だから問題とかなさそうだけど。貧乳以外は。」
「ドコファイの店長と副店長が兄妹で経営してて。一回聞きに行こうかしら?
それよりも
ネネちゃんの胸はこれからよ!発展途上!カガミはお友達をそういう目で見る時期なんだっけ?
アーク起動!カガミのアークに性教育矯正プログラム発動しといて!」
「かしこまりました。みかんさん。」
「やめーてーーーーーー!」
僕はご飯を終え部屋に帰りアークに話しかけた。
「アーク起動。折り入って話があるんだ。」
「はい!カガミさん改まってどうされたんですか?ちなみに今月のおすすめゲームは【振り返りません勝】」
「いやいやいや!今はおススメはいいから!さっきのあれ、性教育矯正プログラム?発動解除ってできる??」
「あぁ!あれはみかんさんと我々アーク達の冗談ですよ!」
「みぃかぁんめ~~~~!!!」僕よりアークを使いこなしてるじゃん!アドリブやべー!母さん機械音痴の癖に生意気な!!
2学期の終業式の日
僕らは4人は問題なく期末テストを終わらせ、冬休みを満喫していた。
わけでは無く。
テスト結果は散々なものだった。竜二たち1~3位の順位は変わらず、僕だけ12位と言うこれから階段を転げ落ちていく予感がする順位だった。
まぁ2学期は色々あったからね。
ゴリ先に合格をもらった後の訓練では更に厳しい武術の指導が待っていたのだ。
何の武術が知らないけど、テコンドー?ジークンドーだったかな?
大人の体格にまだなって無い僕らでも動けて戦えるヒットアンドアウェイが出来る動きを教わっていた。
拳の角度から蹴りのフォームまで事細かに僕達に教えるゴリ先の目的は一体何なのか?
気になる事はいっぱいあったけど熱心に教えてくれて、時には褒めてくれる。
3か月間の鬼の特訓を課してきた人間とは思えない様な彼の対応に、こちらも必死で答えなきゃ!そして力を合わせて次こそケガ人を出さないぞ!「強くなるんだ!」という気持ちにさせてくれて質問なんてする暇はなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます