第67話 修練期⑦ スタリオン
ゴリ先は僕の回答に対して
「急がなくていいと言った。いつでも変えられる。悩み考える事、それ自体が強くなる一歩だ。
まぁ具体的な目標だから良しとしよう。だが、お前が
ゴリ先は子供の意見を尊重する良い奴だと純粋に思った。言葉足らずの僕の表現に、理解を示してくれた。
竜二と、ヒカルも似たような後悔はあったかもしれない二人は畳を見つめ何かを考えているようだった。
「とりあえず、あんだけ動いた後にするのもなんだが、ストレッチをしよう。ケガしたら面倒だからな。明後日からは初めの30分間ストレッチと外周5周から始める。訓練は週3回 月水金だ。習い事は他の日に入れてくれ。」
「「ええ~」」 2人があからさまに嫌がる。
「バカだなぁ!竜二もヒカルも長距離苦手なんだ!(笑)僕はそこそこ走れるぞ! たぶんスタミナは君たちの2倍はある!ボッチの小学校時代、
「途中から
竜二!僕のボケに対するツッコミには君は必要不可欠だね!
ゴリ先の指導の下、ストレッチと明後日走るコースをゆっくり一周だけ走り、道場に戻って受け身の練習をしたら
あっという間に2時間が経過して帰り支度となった。
「ここの外周は約1.5㎞だ。5周で7~8㎞ある。無理は言わない。体を温める目的で40分以内に走れ。週3回は訓練に費やしていいと、親御さんから了承済だ。文句は親に頼む。以上、これからよろしくな。 じゃあ今日はこんな所で解散!」
「「「ありがとうございました!」」」と三人で言って先生と別れ着替え終わってトコトコ住宅街に入ると早速文句が出た。
「今日のメッチャきついんだけど。」「俺も」「いや僕もだよ!」
「僕たち何目指してんの?」
「全G1制覇?」
「いや、俺たち馬じゃねーし。」
と言いながら【何になりたいか】を再び考えてたんだろう、バイバイといってアスファルトを見ながら足だけ動かしてたら家に着いてた。
帰って夕飯を食べながら母さんに
「僕らの強化訓練。めっちゃしんどかったよ!うわーもう筋肉痛が!」
「今までゲームばっかりだったから良いじゃない!健康的な子になってね。あ、筋トレ的な事を想像してたからいるかなぁーと思って、
母さんあの【じょうーずに焼けました!】って言うこんがり肉はリアル世界じゃどこにも売ってませんよ!このポンコツ!!そしてそれを口には出さない優しい男。カガミ君。いつかモテ期が来るなこりゃ。
「ムギブランドだけど有効成分フェルビナクはCMしてるやつよりたくさん入ってるの!インドメタシンと悩んだんだけど。」
「さっすが母さん!でもなんか、【すばやさ】が上がるインドメタシンの方が僕には良かったかも。」
「京介くんもインドメタシンの方が好きって言ってだけど何?それって遺伝なの?」
僕は思った。(まぁゲーム好きはある意味遺伝かなぁ。)
「そうかも知れないね。あ、タウリンで攻撃力も上げれるなら尚良いかも。ムギブランドである?」
すると母さんは急に悲しい顔をして
「ごめんね。カガミ。」
「えっ?」
なんか変な事言ったか?まぁ、常に言ってるけど。
母さんを悲しませる様な事・・・。
冷静に考えると、中学生が【攻撃力上げたい】だなんて言わないよね。
つい先日、怖い思いしたのに乗り越えた僕らのこの先を心から心配してくれてるんだ。
あっ!!この強化訓練自体が僕が絶望を耐えなきゃいけない事だったのか!?この先何があるんだ!??そんなに苦しいのか?!
そうか!辛い訓練を受けなきゃいけない僕を憐れんで落ち込ませてしまったんだ。
僕は全力の笑顔で大丈夫だよ!って元気良く言おうとしたんだ。
すると
「ごめんね。ムギよりも、ドコカラファイナルのオリジナルブランドの方がタウリンの有効成分は1000mg多いのよ。タウリンに関してはドラッグ四天王の中でムギが最弱・・・。」
「・・・どーーーでもいいよ!!」
僕の心配返せよ!
なんで他社の製品まで詳しいんだよ!もう1店舗ドラッグストアが近くに出来るフラグ立てんなよ!!
夜、寝る前にアークとちょっとお話をしようと思った。
その日その日の備忘録として、思った事、気づけた事、感じた事を日記の様にアークに伝えられれば、道に迷った時、今の自分の位置がわかるんじゃないかって気がしたんだ。
「アーク起動。」
「こんばんは、カガミさん 用件を手短に話して良いですか?」
「えっどうしたの?突然。」
「五月 勝利について、過去の記事を検索していました。関連性が疑われる内容が2件。」
「えっ?えっ?意味わかんないんだけど。ゴリ先がどうしたの?」
「ゴリ先とは五月勝利の最初の【五】と最後【利】の文字をもじってのあだ名でしょうか?モジだけに。」
詳しく説明されるとなんだかスベってるみたいでやめて欲しいなぁ。
言われなきゃセンスがあってオモシロいとは思うんだけど名づけた人の顔が見たくなってきたなぁ。きっとイケメンでギャグセンスもある奴なんだろうなぁ。
僕ですがなにか? それにアークめ、まぁまぁ冗談ぶっこむようになってきたじゃん!いいよ君!
あ、そうだった言ってなかったね。
「そそ。と言うか、先生で赴任したんだよ、言ってなかったね。それよか、どうしたんだよアーク。」
「以前カガミさんが【五月 勝利】について調べて欲しいとの事で依頼された件ですが、情報のアップデートがありましたので、早急にお伝えしたいと思い、ご連絡差し上げました。」
「あー!・・・言ってたっけ?」
「はい。音声再生しますか?」
「いや、証拠とかは別にいいんだけど、でゴリ先がどうしたの?」
「はい。五月 勝利は8年前、東京で起きた一家失踪事件の現場でハイドラ、または前身のアザレア教と接触した可能性があります。」
「なんだって?!」
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