第65話 修練期⑤ 修練初日
翌日からの僕は、学校のあらゆる所で噂の人となっていた。財布を手にした女子の誤情報によって噂され、教師も一丸となって付いたあだ名が
「変態紳士だってさ。みんなひどいよ。」
その横でネネちゃんは
「でもカガミ君ぴったりじゃん!あ、ウソウソ!大丈夫だよ!真実を知ってるネネの評価はぐんと上がったよ!」
「え?ホントに!?」ヒカルのおかげだよ!感謝しなきゃ!
「うん!-273ポイントから-200ポイントに上がった!!」
やった!絶対零度は避けられたか!
「ネネちゃん!どっちもそれマイナスなんだけど!」といいながら竜二は笑ってた。
ヒカルは「今日から放課後、道場だね。」と言い緊張していたが僕らバカ軍団は放課後の恐ろしいメニューをまだその時は知る由も無かったんだ。
放課後、ネネちゃんは帰宅してから研究所に行くらしく、僕たちはヒカルのスマホに誘導され道場のある運動施設に辿り着いた。
「ココが道場かぁ。社会人の夜の部の人たちが使うまで僕達が貸し切りで2、3時間みっちり使って良いらしいよ。」とヒカル。
そこはキレイな公園の中に結婚式場やテニス場、打ちっぱなしゴルフ場、バッティングセンターにレストランに小さな美術館があってその中の一角。
スポーツ施設は屋内のみで一階にはプールやジャグジーがある市民にとって憩いのオアシスだったのだが、二階にはバレイ教室の床が広がる練習場と僕たちの使う道場があり、僕らにとってそこは地獄の特訓場になる場所だった。
「おーし、時間通り来たかぁ~。」
先について手続きか何かを済ませていた先生が僕らを見つけてそう言ってきた。
「ゴリ先!今日はよろしくお願いします!!」
「何だか天道にだけはそう言われると若干イラつくのはなんでだろーなぁ?ハハハ!」
「えー先生、了承済みじゃないですか!武士に二言はないですよ!ってちょ、いたたた!」
頭を掴まれ片手の握力だけでアイアンクローされてしまった僕を横目に竜二達はバカにして笑ってきた。
その後、ゴリ先が更衣室はここだぞ~と言って付いて行く。 プールに入るおじちゃんらに見守られながら着替えをしてたんだけど、ゴリ先の半端ない傷跡が【強さ】を物語っていた。
みんなそれを見てビビりながら道場へ体操服と下がジャージ姿で向かうとそこは広々とした空間で、チョット強めに効いたクーラーが清涼感を醸し出し、すがすがしい雰囲気にしてくれていた。
僕は「おぉー!」と言って樹脂の畳にごろっと寝て仰向けになり、手を頭の下に組んで足も組んだ。
近くで見た畳にカラフルな色の髪の毛が落ちていたけど、既に外の暑さで汗だくの僕らはそんなの気にしない、開放感が
「気持ちいいなぁー。」と言って目を閉じようとすると冷汗が出たんだ!
ゴリ先が耳のすぐ横に本気のカカト落としをしてくるビジョンが見えた。
避けなきゃ!!と思う頃には、もう既にカカトが顔の前にあって、遅れて無駄に動いた顔が不幸
そう これが僕のファーストキスでした。
じゃなくって!!何なんだ?!
殺意が無かったから気付くのが遅かったのか?それとも単純に攻撃が早すぎたのか?
ゴリ先はこう言ったんだ。「立て。」僕はすぐに立った。
竜二とヒカルが「バカガミ!空気読め!!」「ふざけるからだよ!」と言ってきて。
僕はちゃんと反省しました。
「ここからはフザけるとケガをする。」学校の時の優しい目と打って変わって、少しだけエーセブンと戦った時の様な緊迫感を感じた。
「そうだ、自己紹介をしてもらえると助かる。俺もまだあんまりみんなの事を知らないんだ。」
そう言うと映画で外人が良くやる手のひらを天井に向けて軽く握り人差し指をぴょこぴょこ動かした。
かかってこいって事だ。
「とりあえず有効打、なんでも良い、遠慮はいらんから3人で攻撃してこい!攻撃しながら自己紹介だ!」
きっとここが僕らの成長点なんだろう。認識を改めた僕ら3人の目はゴリ先にどう映ったのか。
「いいねお前ら!教師になった甲斐があったぜ!」と言われた。
まず仕掛けたのは竜二だった。
あいつは僕が攻撃回避に特化してて、カカト落としなんかでケガさせられる訳ないと思ってくれてたに違いない。でも今回は違った。ゴリ先がわざと外さなかったら、一歩間違えるとグチャっと顔がトマトの様に潰されてたかもしれない。
それに対して
「俺は 原 竜ニ!電気が見える。触った感覚が無い。あと諦めない!好きな物はレトロゲー!」
殴り掛かるのをさらりと避けて「へー電気ね。」と言われながらパシッと手で払われた!
僕はその間コッソリゴリ先の死角に入りスライディング足払いをしたんだけど、ビジョン通り難なく躱された。悔しいから竜二にチャチャでも入れとくよ「好きな人は?」
竜二が「ブフッ!」って吹いたのをゴリ先が見ててその隙に次はヒカルが攻撃を仕掛けた。
けど、目が見ずらいヒカルにとって手足を伸ばして攻撃すること自体が苦手なんだろう。一番合理的な【体当たり】
で迫っていった。しかしやはりと言うべきか、案の定 簡単に躱され前転で立て直し自己紹介タイムとなった。
「佐井寺
そう言ってる間、僕はゴリ先が絡み手や寝技をしないと思って蹴りやらチョップなんかを十回以上放ったが、有効打と判定されずほとんど片手で弾かれ続けた。
ゴリ先は不敵な笑みを浮かべながら「へーなるほど、だから警察じゃないって言ったんだな。」と言いこっちを向いた。
「で、最後だ、お前は何なんだ?全てにおいて歪だ。はじめジルからも聞いてなかった。自己紹介をしてくれ変態紳士!」
「OK!天道 カガミ 通りすがりの」 後ろから2人でゴリ先を掴みかかるビジョン!!いける!
と思ったけど すぐ二人がやられるビジョン。
「お面ライダーは無しな!」竜二!せっかくの背後とれたのに!条件反射でツッコミやがって!バレたじゃん!!
それよりも!いつもおまえわ~~!!ネタは言わせろよ!予定変更!
「
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