第62話 修練期② 人情の無い抜け方
そんな感じで昨日はアークにおちょくられながら夏休みが終わり、2学期初登校の日を迎えたのだが、
こんな何気ない日でも僕に試練は降りかかる。
「カガミ試作品の貰ってきたパン食べた~??感想頂戴ね~あと遅刻しても良いから事故だけはやめてよ~。」と母さんに言われて
僕は母さんに はいは~いと返事した後、部屋に戻って
「アーク起動 充電器に繋いどくから適当にインターネットサーフィン楽しんでね!」
「仰せのままに。」と無駄なやり取りをして、
宿題やら上履きやらを昨日準備するのを忘れた事に気付き、急いでカバンに色々ぶち込んで竜二の家に予定より少し遅くに着いた。
「りゅーじー!博士の家に御三家貰いにいこーぜ!」
急いで玄関から出てくる竜二
「お待たせ!カガミ今日遅い?ていうか俺別にパチモンマスター目指してないんですけど!」
OKOK!今日も調子いい感じだね!最初の一歩は3人で一緒に!って思ったけどアークは自宅警備で忙しいからいつも通りの2人での登校。とりあえず草むらは避けて、事故無く学校に着こう。
朝でもすぐに汗ばむ9月の始め、歩きながら僕は
「忘れもの多くて時間かかっちゃたよ!」
「あ、俺も俺も!だから遅れちゃって。」
「いやいや竜二はいつもギリじゃん!」
「てへぺろ。」かわいくねーよ!
信号待ちで電信柱にセミの抜け殻を見つけ
「むし、ゴーストタイプ発見!」
「それカガミの最初のパチモンな!」
「ゲッ、せめて3匹から選ばせろよ〜。」
とか言いながら竜二とすぐこの後の事について話した。
「始業式体育館だろ?」竜二はダルーって顔で僕に聞いてきた。
「そうだね、校庭だと暑くて病人出るから体育館なんじゃ無い?あそこはあそこで蒸して暑いんだけど。」
「なんか友達から聞いたんだけど部活の3年の先輩が去年、体育館に行かずに教室で隠れててバレなかったみたいだって!」
「へ~!竜二それって!」僕は目を見開いて竜二を見た
「ん?え?カガミ!やっちゃう??」竜二は驚いた後、イタズラな顔をこちらに向けて指をさしてきたが僕は
「いんや、友達いる自慢か??って聞きたかっただけ。」
謹慎で反省したんだ。リスクノーセンキューだよ。
「カガミひねくれすぎてねーか??」
学校について案の定 教室での出欠確認の後、体育館への移動を促された。僕はヒカルとネネちゃんに
「おっす!久しぶり!」とかなんとか言いながら挨拶しつつ、ぞろぞろとクラスのみんなに付いて行った。
教師たちは確かに忙しそうにしていて
「あ、こりゃ教室に何人かいても点呼する訳でもないし、バレないなぁ。」と前に並ぶヒカルに言うと
「え?教室にいるつもりだったの?今日は聞いた方が良いよ!」と言われた。
僕は最悪のケースを考えられる男だ。アティウスの件で危ない事をしたから怒られる可能性も考えていた。
「まじか!?心配はしてたんだけど、全校生徒の前で怒られたりする系??もしくは僕達、この前の事件関連で生徒指導受けなきゃいけない感じ??生徒指導室とか絶対行きたくないんだけど。」
しまった!絶対って言っちゃった!!フラグが回収されませんよーに。なんてね。
「いや、それは表向き内緒でしょ?僕らは関係ない事になってるって。」とヒカル
「え?じゃあなんで聞いた方が良いんだ?」
と話していると校長の話が始まった。
内容の要点としては
①僕たちの市でテロが起こった。十分に注意するように。夜間の外出は控えるように、塾などは親に連絡できるようにしてください。
②部活は当面中止です。可能な限り集団下校をするように、寄り道もダメです。
③臨時職員の体育の先生の補充要員が見つかったので、退職の挨拶をします。
と言って短い間教えてもらっていた教員が話し出した。
臨時で体育を受け持っていた者です。短い間でしたが皆さんとの思い出は忘れません。とかなんとか。
僕は へ~新しい職場見つかったのかなぁ、大変だねぇと思って鼻でもほじりながらネネちゃん今日もカワイイなぁと見ていたら、ネネちゃんの表情がビックリするビジョンを見たんだ!
え??なんで?後ろの竜二を見てもビックリして、しかも大声で
「ええ~~~!!」って体育館に響くくらい発声しちゃってるビジョンだった!僕もだけど。
こりゃただ事じゃね~!と思って僕はまず、前にいたヒカルと強制リンクして【驚かない】様にしだんだけど、片手では竜二の口を抑えられず、ヒカルとのリンクは解除!
両手で竜二の口を塞いで注目を浴びない様に事態を避ける試みをしたんだ!
体育館の壇上の横からドスドス歩いてくる人を見て、口が開いてる僕はヒカルとリンクできていない事に気づいて驚いてしまい
「ええ~~~!!!」
と言ってしまった。人の口は塞いでるのに自分は開放されたマヌケな状態で思った。
何で僕だけなんだよ!ここは竜二だけで良かった!!くそ~~。
というか、どういうことだ!!!!????
「そこ!一年生! 静かに!!次は臨時職員に変わって新たに教員の仲間入りをしていただきます。体育の先生です。」
周りの学生たちが僕を見て、壇上から怒られたことに対して笑っているが、ちょっとそんな事はどうでもいいくらい動揺してしまったんだ。
僕と竜二は目を見合わせてパニくり続けた。
僕は竜二に問う 「なんでいるの!?」
竜二は全くワカランって顔で首を横にブンブン振って返して来た。ヒカルめ!知ってたんだな!!
一蓮托生だろっ!?
壇上の先生が紹介を続ける「では、どうぞ。」
壇上の教壇にまでやってきて、そいつは僕らを見ながらニヤリと笑いこう言ったんだ。
「どうも、2学期から体育教師になります。
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