第61話 修練期① カスタムされる機械

中1の2学期が今日から始まり自宅謹慎が解除された僕は気分が晴れ晴れとしていた。


わけではなく・・・。

謹慎中にフォーカスが当てられたレイドラの「ゼロ」と言う人物の事を考えながら、登校前日、アークとこんな会話をしていた。


「アーク起動。早速質問があるんだけどいい?」


「どうぞカガミさん何なりと。」


「アークはあの動画を見て、あと僕らの会話内容とか諸々から考えて、僕みたいにゼロも行動を先読みできるように見えた??」


「申し訳ありません、京介さんはカガミさんのソレを【先行視覚】と名づけていましたが、あの動画だけでは、視覚なのか、聴覚なのかあるいは電気や磁気と言った無数のファクターが存在する理由で今の私では判別しかねます。少しでも違いのある同じようなシチュエーションをあと100回、いえ、1000回は反復学習する必要があります。」 



【先行視覚】ねぇ。横文字ルビ付きでカッコいい名前も考えておこう。

先行視覚と書いて【フューチャービジョン】と読む!とか?

いやまてよ、未来って程、先がわかる訳でもないよね?

いくつかの未来の中で一番有力な予測って言われたしなぁ・・・。

【少し】とか【いくつか】って意味で【a few】も加えて

【アフューチャービジョン】いや長いなぁ。略して 【アフュージョン】 なんか【アヒージョ】みたいだなぁ。やめとこう。


あ、こんな事口にしちゃったら中二病ってネネちゃんがバカにして笑った顔がよぎったなぁ、その横でヒカルは腹を抱えて転げてる。一生転がってろ! 


今の所、表面上ではACS(アンチ 中二 センサー)が働いているおかげで何とか笑われてないけど

もっと気を引き締めなきゃね!


乗客の皆様。今日もなかなかの迂回ルートを辿る脱線が見られました。遅延証明書が必要な方は窓口まで・・・いつまでやるんだよ!妄想めろよ自分!!




でなんだっけ アークじゃわかんないんだったな。


「そうか~1000回ねぇ。現実的じゃないねぇ。」


「ちなみに私からの質問はよろしいですか?」


「そんな確認 僕にはいらないよ!質問ならでもかかってきたまえ!」


「いえ、今はムギ・ドコ戦争の話では無いですよ。」



僕が一番知ってるよ!!くそー母さんのバカ!ドコカラファイナルに恨み持ちすぎてアークが染まっちゃってるよ!更生不可だよ!


一旦落ち着こう。



「うん。質問ドゾ。」


「カガミさんはゼロの立場で先行視覚を使った場合、垂水さんに撃とうとした銃を京介さんに撃ってしまう確率は高いですか?」


なるほど、ゼロと僕の精度の違いがあるか?つまり能力差はあるかって聞いてるんだね?


「うーん。先が見えたかって、正直その場じゃ無いとわかんないなぁ。見える時と見えない時があるんだよね。合宿で海に行けた時も、その後すぐシャチの浮き輪を枝に刺しちゃったし。」


「それは鍛えれば延ばせますか?」


「???鍛える?考えてもみなかったなぁ。アークの様に反復学習をして予想できる未来を具体的にしたり、二手先を意識的に考えると、できなくも無い様な気がしてきた。ありがとう!またアドバイス頂戴ね!」次の目標にしよう。


「良かったです!かしこまりました。」


「あ、アーク。そこは【仰せのままに】って返事でいこう!冗談も織り交ぜると尚、良いね。」


「仰せのままに。」

へへ 母さんみたいに僕風にアークをカスタマイズしていくんだ。既存の【I-AMS】をぶち壊して制作者を唖然とさせてやる!

母さんのアークはもうットとしてされ過ぎ(GX:ゴールの先のエクストラステージに行っ)てるかもしれない。

そう言う意味では母さんは利用者としてパイオニアの位置にいるなぁ。





「それよか、学校にスマホ持っていけないから明日から家で待ってもらうんだけど大丈夫?」


僕はアークをもはや機械だとは思わなくなっていたのか、日帰り旅行中にペットを心配する様な気持ちで本人に聞いてしまった。


「そのような事を言っていただけて嬉しいです。私は京介さんの指示で何年間もの間、凍結状態にあった為、待つことに関しては全く問題ありませんよ。」


「そうだけどさぁ~せっかく起きて戻ってこれたんだよ?僕が学校行ってる間に趣味でも見つける?やりたい事や知りたい事はある??」


「質問が難しいですね、私のやりたい事。。。カガミさんから何かご提案はありますか?」


「そこは賢いんだし自分で決めれるなら自分で。って言おうかと思ったけど、そうだね、初めての事だし何だってきっかけは必要だよね。僕なら学校が無くなって一日中することが出来るなら・・・

ゲームかな!」

 ↑ここで食い気味に

「そう来ると思ってました。」と言われちゃった。視覚の先行は僕で 発言の先行はアークの方が上か?



「この前の動画でね、父さんが監視カメラをアークにハックしてもらってたじゃん?あれって・・・OKなの?例えば街角の防犯カメラとかできるの??」


「言いずらい話ですが出来るかできないかで言うと可能です。ですがあの時は研究所自体がスタンドアローンによってネットワーク構築されておりましたのであれは研究所の物であり合法です。」


「僕としてはアークの好きな情報、知りたい情報をハックしてでもいいからよりどりみどりで集めて来て僕にも教えて欲しいんだけど。」


「ハックはしませんが、せっかくのインターネット接続型なので昨今の情報整理としてニュースを総ざらいするのもいいのではないかと思ってきました。カガミさんはアイデアマンですね♪」


「なんだか照れるけど、じゃあT-SAD関連やイチゴサイダー、ハイドラ関連なんでもいいから気が向いたら調べて教えてね!」


「いえ。」 え?出来るんじゃなかったの?!

「そのワードでは逆に検索されてこちらが特定される危険性がありますのでそれ以外で。」


「そうかぁ~、じゃあ 【レトロゲーム】 【お勧め】で。 あと警察はまずいかなぁ~?五月さんってなんで警察辞めたんだろう、疑問なんだよね、ちょこちょこ名前出てくるでしょ五月さん。」



「五月さんとは、ハイドラのエーセブンにケガを負わせた方ですね。」


「そうそう!たぶんジルさんのSPとして雇われた説のアラサーのごっつい日本人ニートだよ。」


「フルネームでお伺いしても?」


五月さつき 勝利しょうりだよ。」

「警察だ!(笑)ってカッコつけて言ってたけどNEET西日本だった(大笑)。」


「カガミさんも私の計算上このままですとNEETニートですよ。」


「嘘でしょ!?」


「冗談です。」  「・・・。」アークめ!応用力ありすぎた玄白。

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