第56話 夏休期⑥ 世界の半分

僕とヒカルは二人顔を見合わせて一瞬フリーズした。ワンテンポおいて僕は

「えーーーーーーーーーーーー!!!」と驚いた!


ヒカルは「声おおきいよ!」と耳を塞いでる。お互いの為に、驚かないヒカルとリンクしておくべきだった。


父さんと垂水さんはゼロってやつにのか!?


「カガミの父さんは事故で死んだんじゃ?いや、そういう事になってるって言ってたな!まさか殺されたなんて。。。でもカガミを救ったって言ってたよね??同時になのか!?どういう事だ?アークは知ってるの!?」ヒカルも驚きはないが、疑問の波に吞まれてパニックになりそうだった。


「もし、刺激が強ければ申し訳ありません。レーティングは13yo 最終確認です。閲覧許可しますか?」


僕らは二人して同時に唾を飲んで頷き「ああ!」「頼む!」と言った。

「確認できました。ファイル10」と言って動画を流し始めた。







場所は、、研究所か?広い。たくさんの機械が並んでいる、そこに若い研究員らしい服装をしている人がいた、

「天道さん!警備員が全員気絶させられました!もうすぐそこまで来ています!!!」


垂水たるみ!!!倉庫に隠れろ!!!アーク!!!その防犯カメラをハック!記録を頼む!!」こちらに向かって指をさす父さんがいた。


「ハック完了、30秒前より記録開始できました。」アークに似た声だ。


暫くして

誰かがドアから部屋に入って来た。クチバシのお面をつけてる!!!!

父さんが喋る「アザレア教か!?」


クチバシマスクの奴は「ジルを出せ。」と低い声で迫ってくる。

「ジルは今カナダだ!残念だったな。」と父さん


「嘘じゃないだろうな?  悪運の強い奴だ。まぁいい。極東が最後の場所だったが途中で巧妙に隠されたみたいだ。イチゴサイダーの居場所を教えれば見逃してやるが、どうせ知らないんだろうな。


わざわざ日本語で【イチゴサイダー】というマヌケな名前を付けられたんだ、回り道をさせる目的か?日本が囮に使われたのは同情するよ。アティウス一族のやりそうな事だ、だがここ世界の端からウィルスを撒かせてもらう。」


「!!!!!【ほろびのうた】か!?」父さんは恐怖と焦りで汗が滴っていた。


「なんだそれは?」


「T-SADウィルスの愛称さ。」


「なるほどアティウスは命名好きだな。だがいい響きだ。恐らくワクチンはもう手に入らない。今代のイチゴサイダーによって作られない限りはな。  お前、名はなんだ?」


「お前が名乗らないのにこっちが名乗るつもりは無い、それに、こっちは正体を明かせないヒーローなもんでね。」

そう言うとクチバシマスクは

「ハハハハハ!気に入ったよ。その目。守るものがあるんだな!俺は【レイドラ】のだ。我々と一緒に来ないか?」


「世界の半分をお前にやろう。じゃないんだな。」父さん!煽っちゃだめだよ!奴ぁ竜王じゃないんだ!


「何を言ってるんだ?」


「あぁ何でもない。だがお前の力にはなれない。目的はなんだ?」


「名前は聞いてるのに作用は知らない。か、不憫な奴だ。こちら側へ来ればすべてを知れるぞ。

 数百年前T-SADウィルスによってもたらされたものは何だと思う?」


「パンデミックだろ!」


「いや、ちがう。だ。」


「シナプス活性か!!!!」


「これだけで理解したのか!?やはりお前を仲間にしたくなってきたな!世界を回ってきたがここまでキレる奴は初めてだ!どうだ?ハイドラへ来ないか?」


「ハイドラ??アザレア教じゃないのか?」


「3司教の【ザイドラ】がイチゴサイダーの心筋組織を培養して心筋に移植をしている。


昇華後の人類、【ハイエンドドライバー】を量産しようとしている。いずれハイエンドドライバーの世界になるんだろう。さきがけの意味でアザレア教は【ハイドラ】となった。世界を牽引する。


我々レイドラはオリジナルを確保・保護することが目的だがアティウスに先を越された。お前が必要だ、俺と来い、見返りは十分にする。」


「断る。俺をここで殺すんだろ?」


「??何を言ってる?お前を殺すつもりは無い。」


そこで事態は急変する


「【ほろびのうた】で俺たちを殺すって言っただろ!!!!!!!! 」


そう言いながら垂水さんは隠れた場所から突然出て来てゼロを鈍器で叩きつけようとしたが、既にそちらの方向を向いている奴に躱され後頭部を掴まれて再び来た方へ蹴り飛ばされた。


?? 僕はゼロの行動に違和感を感じた。むしろ納得できるような違和感。動きがスムーズ過ぎる。まるで僕の動き様な・・・。


「残念だ。出てこなかったら気付かなかったのに。まだ人がいたのか、しょうがない予定通りいくか。極東が震源地となり世界を緩やかに蝕んでいくだろう。」

そう言うと諦めたような声になったゼロは銃を垂水さんに向けて

「お前がその発生源だ。」と言い銃を撃ち放った。のだが、



走って背中で庇った父さんに刺さった。銃ではなく麻酔銃の様な感じでそこには血は零れなかったんだ。


ゼロはクソ!と言ったが

父さんは痛みを我慢して睨みながら「【ほろびのうた】か?これは。」と聞き返した。


「そうだ、怖いか?」


「怖い?あぁ怖いさ、でも、・・・この先お前の分まで全部怖さを喰ってやった!」


父さんは防犯カメラのそう言った。 


 きっと未来の僕に無理した笑顔で話しかけてくれてたんだ。


「俺の分??」勘違いしてるゼロにはわからないだろう。


「対処法はジルに相談したぞ。ここで隔離してもらう!」


「新しい発想だな。苦しむことになる。周りがそれを見て見ぬふり出来るかな?ほら」


「天道さん!!!天道さん!!!!なんでなんでだよ!!!!くそ!ゼロォォォ!!!!!!!!!」

垂水さんは発狂しゼロにまた立ち向かうも合えなく腹を蹴られ撃沈。


「封じ込めたならそれこそ奇跡か魔法だな、世界はあらがえない事の方が多い。見守っておいてやるよ。」


「奇跡は願ってる。それに魔法なんて生きてくのに必要ないさ、イチゴサイダーは一人じゃないんだぜ?」またこっちを見た。


「??惜しい事をしたよ、だがもう会う事も無い。さらばだ。」

そう言うとゼロは静かに消えていった。



「垂水!大丈夫か!!垂水!今すぐ逃げるんだ!!準備してたアイソレータをすぐに起動しろ!!ここに人を入れるな!!!!

アーーーーーク!!!ここでスタンドアローンと情報遮断だ!!パスワード【イチゴサイダー】入力時まで完全凍結!!」

「かしこまりました。京介さん今まで、私を育ててくださって、ありがとうございました。遮断5秒前」

「ああ、こちらこそなアーク。頼みがある。お前がみかんとカガミの希望を繋ぐんだ。」



スマホは急に真っ黒になり、そこに映った僕が僕を見つめているようだった。





「以上がインターネット接続型の最後の映像となります。」とアークが話したが

過去の映像にどうする事もできないはずなのに僕は、何とかしなくちゃ!!!

って気持ちになって息が荒くなって、

ヒカルに「おい!!!カガミ!大丈夫か!?」と心配されていた。

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