第54話 夏休期④ 三つ巴の予感
翌日、僕は竜二がケガだからってのもあって会えず。
僕も切り傷が何ヵ所もあって、後になって痛くなってきたから療養をする羽目に。
ちなみに竜二の母さんと僕の母さんが、なんか井戸端会議をする為に朝からカフェに行って帰ってきてない。たぶん長話になるんだろう。
と言う事で花火の日までお互いの親から自宅謹慎をくらっていた。
ヒカルとネネちゃん元気かなぁ。主にネネちゃん。
まぁ、メールとか電話したらいいんだろうけど、精神的ストレスってのは会社に行きたくなくなるくらいしんどいらしいから、そっとしておこう。
と言うかそんなストレス社会にこれから向かうと思うとゾッとするなぁ。ホワイト企業に入るか、なかなか無いんだよなぁ。だったら自分自身でホワイト企業にするか!
いやいや、ダークソームみたいに死んでまうよ。右手で太鼓を持って、左手でゴマをする、それが僕の生きる道かも知れない。
未来を考えて辛くなったからネネちゃんに貰った合宿の時の【ヒカルのケロケロ動画】でもみて笑おう。
「とりあえず夏休みの宿題も終わったし、ゲームでもしますか。」
ま、いつもの事なんだけど。今日の僕は食わず嫌いを克服するべく、苦手な色のゲームに手をつけ出した。偉い!
パッケージが【ミドリ】色の【剣の伝説2】だ。
第1作目はなかなか面白いアクションRPGだったんだけど、終盤の塔が崩れる時に仲間のマシーンが主人公を投げ飛ばして安全地帯に逃してくれたけど、共に闘ってきたマシーンはなんと
【ジャンプ機能が無い】事で塔とともに崩れ落ちたんだ。。。
あんなに頼りになるマシーンなのにジャンプ機能が無いなんて…。「ジャンプ出来ないって、、、」僕は思わず突っ込んでしまった記憶が蘇った。
そんなゲームの続編をやる気になったんだ。
初めて2時間、なかなか進んだぞ!一旦休憩してる時、竜二は何やってんだろうなぁ、と思ってメールしてみたら。
「ネネちゃんとチャットしてるんですが何か?」
って返ってきた。
はいはい邪魔しませんよ。
ヒカルは何してんだろ?
ハンカチの隅っこを噛んでネネちゃん横取りされる事に
暇だし連絡してやるか。
数コールするとヒカルが出てきた。
「あ、大阪府警です。」
「ピッ。プープー。」
切りやがった!女じゃないと出ないのか?むっつり野郎め!しつこくもう一度かけてみる。
あっ出た
「ヒカル切るなよ!」先手必勝!釘を刺す僕。
「タオルくわえてたから喋りにくくて、あと、大阪府警って言われたから。」
「あ、やっぱりタオルの隅っこ噛んでたんだ(笑)」
「やっぱり??窓拭きしてたんだよ。なんで知ってんだ?怖いんだけど。」と、ヒカル。
僕は「ちょっと兄さんオイラと話さないかい?」って言って
「カガミと2人かー…。じゃあうち来る??」
嫌なのか?!
「母さんに自宅謹慎させられてて、あ、でもヒカルがうち来たら良いんじゃね?ちょっと昼からどうよ?」
「自宅謹慎って。。わかった、僕も送ってもらえるか母さんに聞いてみるねー。」と言って電話が終わった。
母さんが帰ってくるまでに、お湯でも沸かしとくか。
僕は湯沸かし器に浄水をジョボジョボ入れて沸騰スイッチを押し、蕎麦の乾麺を出しておいた。そして冷蔵庫を覗いて
「麺つゆ よーし!」指差し確認。
昼前に母さんが帰ってきて
「ごめんごめん!原さんとつい話し込んじゃって!でもすごい情報を得たの!!」
と言いながらエプロンをつけたけど、台所に揃った準備を見て笑いながら、もう冷やし蕎麦でいっか、となって、昼はシンプルに冷やし蕎麦になった。
蕎麦を食べながら母さんは
「とうとう
まじか、ハイドラ以外に他の勢力から狙われたら厄介だなぁなんて思ってたら、
「またドラッグストアが近くにオープンするわ。」
と言い出した。僕はちょっと悩んでしまった自分を
「ムギ薬局とドコカラファイナルだけじゃ無いの?」
「ええ。原さんの情報によれば、ついにあの横にあった駐車場が取り壊されて地盤調査が入ったんだけど、キャリン堂がくるらしいの。」
「えーーー!!!!あの狭い場所に同業者3つ!!!」
僕は驚いてしまった。母さんは自分の勤めるムギ薬局の心配なんかどうでも良くて、第三者の目で見て楽しんでる。あ、第四者か。
昼からヒカルが家に来て良いか聞いたら
「佐井寺さん家が良いならうちはいいわよ。昼から仕事に顔出すから私はいないけど。6時には戻るわね!」って言ってそそくさと仕事の準備を始め出した。
ヒカルにメールしとこっと。
カ「いつでもOKです。」
光「わかったよ、30分後にいきまーす。」
母さんが仕事に出て5分後、インターフォンが鳴り、ヒカルを家に迎え入れる。
「お邪魔しまーす。 あ、誰もいないんだっけ?」
「そそ、気にせずどうぞ。」
ヒカルは僕の家をじろじろ見ながら部屋に入って座布団に座った。
「とりあえず、お茶どうぞ。」
「ん、あぁ、ありがと。めっちゃゲーム多いね!カガミの部屋。」
ヒカルはゲームの多さにビビっていたが、僕は小型ゲーム機の本体とカセットを見せてやると更に喜んでくれた。
「でヒカル、ケガどうよ?」
「うん、蹴られた所まぁまぁ痛いよ。青あざっぽくなってきてる。でもカガミに腹をガードしろって言われてなかったらたぶんこれだけで済まなかった気がするよ。ありがとね。」
僕は、後悔があったからすぐに返事できなくって
「いやいや、もっと早く気付けたら助けれたんだよ?敵の動きが思ったより早かった。ごねんね。」と返した。
ヒカルはハハハって笑って
「普通カガミの【ビジョン】だっけ?そんなの見えないからそれ以上の贅沢は言えないし、正直、僕らはカガミのおかげで助かった。謝る必要なんてこれぽっちも無いよ。」とヒカルに言われた。
「カガミ、ケガは?」
「あ、僕は切り傷が多数。結構あとあと痛いね傷って。」
「そうだね貰ってる
「ヒカルって薬詳しいよね。じゃあこれ知ってる?」僕は意味深な言い方に徹して真剣な顔で
「ドラッグが関与する
ヒカルは真剣な顔になって首を横に振り、片方の眼を僕に向けて緊張した
バカめ。
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