第44話 遭遇期⑨ ユニークスキル

「何度もお邪魔しまーす!」僕らは佐井寺家に入るとすぐに歯ブラシをくわえて出迎えてくれたネネちゃんと出会った。

「ははふぃふん、はいへんほってひてふへは??」

ネネちゃんは竜二を見ると急いで歯ブラシを置きに行って滑る様に玄関に戻って

「カガミ君!配線持ってきてくれた!!??」と言い直した。

何だか目標を見つけるとまっすぐなんだねネネちゃんって。


竜二は「かわいいなぁ。」ってボソッと言ってたけどリンクしてないネネちゃんには聞こえにくい声だったのか、反応はしてなかった。

二階から小姑ヒカルが現れてその声を聞いていたが終始笑顔だった。ネネちゃんの保護者か!ヒカルめ。


昼からは結構 面白い事をしたんだ。

結果から言おう。ネネちゃんの考えた武器はこの先僕らにとって有用となるポテンシャルを過分に秘めたモノだった。


作り方はとっても簡単、ムギ薬局のあまりもので頂いた2〜3mほどの配線の両端を持つ。端っこは持ちにくいので金属のキーホルダーのリングに巻いて処理をした。構造は以上である。


何が出来るかって??離れてリンクが出来るんだよ!ネネちゃん凄い。シンプル過ぎて考えなかった。


「導電性が良い配線をもらえて良かったネ!問題なく使えるよ!キーリングは半周だけ絶縁のビニールテープで巻いたから持つ場所次第でON/OFF出来ると思う。やってみて??」


試しに僕と竜二がキーリングの端っこを持って金属に触れた状態になるとネネちゃんの仮説通りリンクできた。

竜二は

「お~急に触ってる感じがする。」って言ってON/OFF操作性と合わせて新感覚を楽しんでいたんだけど、その時


ネネちゃんとヒカルが目配せして僕と竜二を「ワッ!!」って驚かすビジョンが見えた。


あ、そろそろ来るね。

「ワッ!!」ネネちゃんとヒカルは同時に僕達を驚かしたが、

「うわ!ビックリした!どうしたんだよ急に!」驚く結果に。


なるほど佐井寺兄妹、考えることが賢いね。 僕のビジョンは竜二には見えなかった。それに今から聞かれるだろうけど、あ、ほらきた


「カガミ君って今【先のビジョン】を見て驚かなかったんだよね?ちなみにWi-Fiとか見える??」

「Wi-Fiも電気も見えないよ。要するに。ユニークスキルって事だね?」


ヒカルは「なるほど、か分かりやすいね。そう呼ぼう。」と言ってくれた。


竜二は一瞬取り残されたけど、やっとついてきて

「ビックリするからヒカルとカガミで検証してくれよ~。」と言うと

「や、ネタ知ってるしそもそも僕、驚かないから検証できなかったんだよ。」とヒカルに冷静に返された。


「ネネちゃんとヒカルのスキルは強化系であって、僕達も持ってる【見る】と【聞く】だからリンクして能力分配出来たんだね?じゃあ赤外線や紫外線は本来ぼくらも見る事が出来るって事??」


ヒカルが

「そうかもしれないし、違うかもしれない、現段階での仮説を言うよ。合宿でアナログとデジタルの話したよね?」僕らはうんうん。とうなずいた。


「人の目でわかる色ってたくさんあるけど、ざっくり虹の色で順に言うと波長が長いのが赤でそこから橙・黄・リョク・青・藍・紫に向かって波長が短くなる。


普通、人間が赤より長い波長の色を見ようとしても見えないし、同様に紫より短い波長の色も見えないから赤より(長い)外の線 を【赤外線】  逆に紫より(短い)外の線 【紫外線】と言ってとして認識せずにって呼んでいるんだけど、あ、カガミここまで大丈夫??」


「ご心配センキュー。何となくわかるよ。」ね。ヤキソバ面に出てきた敵の本名だっけ??


「ここでアナログとデジタルの話に戻ると、もっといろんな色は見えるけどアナログ情報を取りすぎて脳で処理。つまり理解できないのを防ぐためにあえてデジタルの様に必要情報だけ見ているんじゃないかな?ってネネと話してたんだ。つまり見えるけどサーモグラフィ画像は脳が処理落ち回避の為見てないのかもしれない。」


「サーモグラフィーが見える生き物。、何か知ってる?」

「プレデターとか??」

「いや、あれは宇宙人だから。」

「ヘビだっけ??」とネネちゃん。

「正解!熱感知する【ピット器官】ってのがあるんだけど、人間も全く熱源に感知出来てないわけじゃない。熱いものに近づいたらなんとなくわかるだろ?

人間でも熱感知の才能は微弱ながらあると考えてるんだ。」


「なるほど。だからサーモグラフィ画像がくっきり見える佐井寺兄妹とリンクしてる時には僕らにもスキル分配されるんだ。それに処理落ちしないだけの脳のスペックはT-SAD患者はあるって事か。

で、さらに個人的な意見を言い加えると、パーティ組むならユニークスキルよかノーマルスキルの方が仲間に汎用できるから、実用的だって事ね。」



「カガミが言うと一気にゲームっぽくなるけど、間違いでは無い所が悔しいよなぁ。」と竜二

佐井寺兄妹も「たしかに。」と言っていた。僕はあくまで自分にわかりやすくした解釈を口にしてるだけなんだけどなぁ。


「竜二君達が見えない2色も脳の処理落ち回避って事じゃない?何かスキルが働いてる時、必要の無い事に割くのはもったいないから。」


なるほどねー


「で、何て呼ぶ?この武器。」ヒカルが質問してきた。ここは慎重に、伝説の指輪とかけて・・・

「リンクするラインだから リンクラインでいいんじゃね?このままだとカガミに中二テイストの味付けされ兼ねないし。」と竜二

「「そうだね。」」

元々僕に解答権無かったのね。


僕らは左右の手でリンクできるように1人につき2個のリンクライン準備して。次の晴れた日に旧市民病院へ肝試しに向かう事になった。

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