第38話 遭遇期③ 代償

三人は顔を見合わせて「イチゴサイダー???」と言い。僕は何だか聞いた事あった気がしたけど

「なんじゃそら?」って言ってしまった。竜二も不思議そうな、何か考えるような顔をしていて、何の話のネタにもならなかったのでモヤモヤしつつも電源を切った。


佐井寺パパは

「京介は紅茶とコーヒーを飲んでたけど、実はサイダーが好きなのかい?」って聞かれたので

「僕は好きですけど、父さんは・・・わかんないです。」と答え、ちょうど「朝ごはんですよ~。」と春日さんの声によって会話に終止符が打たれて朝食となった。


朝食が終わり、

「今日の合宿メニューは川に行こう!」と僕がヒカルに言ってそれを聞いていた佐井寺パパが

「お昼、河原でバーベキューするからそこでいててね。」と言う事に。



早速、春日さんから今朝 乾いた水着を受け取って、身支度を済ませ子供達だけで川に向かう。先頭は無駄に木の棒を持って草むらをぺちぺち叩いている僕と竜二がいてこんな会話になった。


総入れ歯そういればさぁ。」

「はいはい、 ね、で何?」まだ朝だからか控えめなツッコミだね竜二。


「パチモンピンボールあるじゃん?」

「おーあれね!パチッとモンスター捕まえるゲームのピンボール版。それがどしたの?」

「あれネネちゃん気に入るかなぁ?」

「あ~なるほど。 ・・・どうかなぁ~あれってデジタルで確率決まってて【自分の腕一本でどうこうするモンじゃない】じゃん?そもそもネネちゃんの言ってるお祭りのピンボールって一回バネ引いたら穴に入るか下に来るまで何もしないで見てるだけだし。」

「なるほどシステム自体も大きな違いがあるからねぇ・・・。」


僕は不思議に感じた事をそのままに竜二に質問してみた。

「実際にピンボールを自分の手でするのと、ゲームで例えば同じシステムでバネを引くだけのものがあったとして、それってどこが違うの??」


竜二もそれにはえぇ~と困ってしまって

「そうだなぁ、アナログとデジタルの違いって事かなぁ?デジタルはそれ自体に製作者の意図が無ければ確率は一定だけど、あ、でも、そもそもアナログも確率は釘の角度一つで替えれるって考えると、さっき言ってた話もアナログこそ【自分の腕一本でどうこうするモンじゃない】ってなってアナログとデジタルが違うって前提の辻褄が合わなくなるんだよな~。」


「だろ?だから人が判断出来る事に上限があるかも知れないけどデジタル、アナログに関わらずピンボールの遊びに違いは無いんじゃないかなぁ。」



とことこ歩いていると昨日の海・川分岐点まで来た。「あ、こっち左ね。」僕は朝のランニングでマッピングを済ませたので先頭を歩いた。

ネネちゃんはセミがうるさいからヒカルとリンクをせず、ヒカルは後ろから付いてきてて、僕たちの話が【超聴覚】で聞こえてたみたいで途中参加してきた。


「さっきの二人の話だけど、カガミの【違いは無い】って言うのに僕も賛成かも。」


「そもそもデジタルとアナログの完璧な境界線ってあるのかなぁ?結局、がわかりやすくシンプルにしたのがデジタルってだけであって

【わかりやすく】に近づくと情報量が絞られて少なくって一方、

【わかりにくく】に近づくと情報量が多いわけだろ?」 ヒカルは立ち止まって 地面に僕のぺちぺちする木を借りて


わかる <------>わからない

情報少 <------>情報多

デジタル<------>アナログ


と書いて説明してきた

竜二は

「でもデジタルの方が情報量多いような気がするんだけど。」


ネネちゃんも地面の文字を見てヒカルとリンクして途中参戦してきた。

「処理的な観点で言うとデジタルの方は、時間あたりに得られるデータは多いかもだけど、いる情報いらない情報を無選別で多く持ってるのはアナログだよ!」


おっと僕の理解の範疇を超えだしそうだぞ。


「僕的に今の話を考えたんだけど、情報の多さはともかく、両者、視点で見れば違いは無いんじゃない??」

「そういう事だね。」と答えたヒカルにネネちゃんは「何の話??」って聞いて

「さぁ?」ってすっとぼけてくれた。



ヒカルは続けて

「処理って言えば、

僕たちの小学校の時に比べて天気予報ってメチャクチャ精度あがってない??あれは昔は過去のデータと人工衛星からの情報で天気を予報してたけど、今は多分スーパーコンピューターで解析してるのがほとんどじゃないかな?」


ネネちゃんは

「そうそう!スパコンの技術革新の賜物なのですっ!」

っと自分が作ったかの様に自慢してきて

「そうなんだーすげー!」と僕と竜二が答えた。


ここでネネちゃんの独自の理論が炸裂する。

「カガミ君のね、【少し先が見える】って現象をお兄ちゃんと一緒に考えてたんだけど、まぁ今の科学技術じゃ到底証明できないのはわかってるんだけど・・・さっき言ってた無選別で無限に近いアナログ情報を脳で必要な部分だけ選別出来て、スパコンの様に瞬時に解析して、天気予想みたいにをビジョンとして映像データで理解しているんじゃないか?って私は推察してる。」


「えぇ~~~~~!!すごっ!」竜二は大きな声で驚いた。


ヒカルも「なるほど。」と呟いたが僕はチョット釈然としなかった。


「そんなスパコンを人の脳が積めるのか?ってのと、もしそうだったとして、なんでそんな頭いいのにアティウスのテストは最下位なんだろ?誰か教えて。」


「そこなんだけど、僕ら色々多いだろ?【感覚】や【色】なんて欠けてたら生活に支障出るし。僕らの突出した能力や知能ってそのできない事がになって、そのコスト分で能力を上げてるのかも。って思うんだ。カガミの先読み出来るのなんて、コストかかりそうだけどその分、知能は据え置きでって感じ。で、何そのケロって?」ヒカルはマジメだなぁー


「そうなのかー。納得出来るような、したくない様な。あ、ケロってのは、」


「説明しよう!

技名【ケロ】は生き物の言葉でと同じ効果の水タイプの技だ。 5ターンの間、心の天候を雨にしてくれるんだ。洗われるだろ?ってやつだね。ヒカルもマジメすぎるから語尾に付けると良いよ。」


そうこうしてる間に、目的の河原が見えてきた。


ネネちゃんが

「お兄ちゃん小さい時ここで捕まえて育てようとしてたよね?」と言って

「あー小さいの手ですくってビニール袋に入れてたよなー」

って言ってて、それを聞いて僕も竜二と同じことを思ったのか


「語尾に【ケロ】って言うネタ、ヒカルに譲るから。あ、いーのいーの!僕らよく使ってたから。」

「遠慮すんなよ!ヒカルが適任だぜ!」

という流れに。


ヒカルは嫌ーな顔して

「絶対言わないから!」って言ってしまった。


ヒカル。【絶対に言わない】は【絶対に言う】のフラグだぜ。

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